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不思議な生き物 生命38億年の歴史と謎
 [自然科学]

不思議な生き物  生命38億年の歴史と謎

池田清彦/著
出版社名 : 角川学芸出版
出版年月 : 2013年4月
ISBNコード : 978-4-04-653275-6
税込価格 : 1,680円
頁数・縦 : 207p・19cm


【目次】
第1章 かたちの不思議―生き物たちの奇妙なかたち
 「トゲトゲ」はややこしい
 14億年かけた生き物の進化
  ほか
第2章 いのちの不思議―発生・再生・寿命のメカニズムをさぐる
 地球で最もタフな生き物、クマムシ
 生命誕生のシナリオを読み解く
  
第3章 生態の不思議―あたかも思考するがごとく
 はたして賢いのか、賢くないのか
 免疫というメカニズム
  ほか
第4章 進化の不思議―かたちをつくり、いのちを伝える細胞の力
 遺伝形質をさぐる
 獲得形質と遺伝
  ほか

【著者】
池田 清彦 (イケダ キヨヒコ)
 1947年、東京生まれ。生物学者。早稲田大学国際教養学部教授・山梨大学名誉教授。構造主義科学論・構造主義生物学の立場から、多彩な評論活動を行う。

【抜書】
●トゲトゲ(p24)
 トゲトゲ……ハムシの仲間。トゲハムシ。
 トゲナシトゲトゲ……東南アジアに生息する、とげのないトゲトゲ。
 トゲアリトゲナシトゲトゲ……タイで小宮義璋が発見。とげのあるトゲナシトゲトゲ。
 トゲナシトゲアリトゲナシトゲトゲ??……ニューギニアで発見。

●シアノバクテリア(p47)
 古細菌(アーキバクテリア)およびその先祖の原子生物は、強い宇宙線を避け、海底や土のなかなど、日の当たらないところにいた。宇宙線の非常に強い放射線がDNAを傷つけてしまうため。光合成ではなく、化学合成でエネルギーを得ていた。
 29億年前、地球に北極と南極ができ、表面に「マグネティック・バリア」が形成され、宇宙線をブロック。シアノバクテリアが登場し、毒であった光を有効利用(光合成)するようになる。28億年前に出現した単細胞の原核生物。DNA、リボゾーム、葉緑素からなる。現在の植物細胞にある葉緑体は、おそらくシアノバクテリアが入り込んで進化したもの。共生進化の一つ。
 同じ単細胞でも、ゾウリムシやアメーバ、ミドリムシは真核生物。
 シアノバクテリアは酸素を大量に生み出し、まわりの生物を死に追いやった。酸素は毒。生物の歴史上、最初で最大の環境破壊者?
 ミトコンドリアの祖先が誕生。酸素呼吸を始めたバクテリア。
 ミトコンドリアとシアノバクテリアの双方が入り込んだ生き物が、最終的に「植物」となり、ミトコンドリアの元になる酸素呼吸細菌だけが身体に入ってきた生き物が最終的に「動物」になった。
 真核生物にとりついたのはミトコンドリアのほうが先だったので、動物の祖先のほうが植物より先に出現した。
 多細胞の動物の誕生……6億年くらい前。
 多細胞の植物の出現……5億-4億5千万年前。

●ベルクマンの法則(p55)
 昆虫は、南に行くほど巨大化する。それとは逆に、動物は北に行くほど巨大化する。
 恒温動物は体内で熱を生産。体内での熱の生産量は体重に、体外に放出される熱量は体表面積にほぼ比例する。放熱量は体長の二乗に、熱生産量は体長の三乗に比例するため、体長が大きくなるに連れて、単位体重あたりの体表面積が小さくなる。つまり、体が大きいほうが、体内で作った熱を奪われる比率が低くなる。アペンディクス(体の表面に付加されている手足や耳など)は短いほうが良い。

●DNA、遺伝子、染色体、ゲノム(p74)
 DNA……デオキシリボ核酸という物質。ここに遺伝情報が詰まっている。人間の体はおよそ60兆個の細胞でできており、細胞一つの中に核(0.005mm程度)がある。その中に2mに及ぶDNAが折りたたまれている。二重螺旋。A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)という塩基が約30億の対を成している。
 遺伝子……DNAの中にあり、「アミノ酸をつなげて、このタンパク質を作れ」という指示、情報を発信している部分。DNA全体の2~3%。平均して3,000塩基対程度の長さ。人間には2万2,000くらいある。
 ゲノム……遺伝子も遺伝子でない部分もすべて含めたDNA全塩基情報のこと。ヒトゲノム、ウシゲノム、イネゲノムなど、生物ごとに固有。
 染色体……ゲノムは何本かに分断されていて、その分かれた一つひとつの構造物が染色体。人間は、23対になった46本の染色体がある。染色体にはいろいろなタンパク質がくっついて、染色体の周りを保護している。
 免疫学者の多田富雄。「ゲノムは多くのカセットテープが詰まったボックス。染色体はカセット。DNAはテープ。遺伝子は録音部分」と解説。ちょっと違う?

●GADV仮説(p80)
 奈良女子大学名誉教授の池原健二。タンパク質ワールド仮説。
 G(グリシン)、A(アラニン)、D(アスパラギン酸)、V(パリン)という4種類の単純なアミノ酸が、原始の地球上で無機物から作られた。それらを含む海水が、干潟のようなところで蒸発と冠水を繰り返したり、熱水噴出孔の近くで熱水と冷水の間の行き来を繰り返したりすることで、ランダムに結合し、GADVペプチドが作られ、それらがさらに重合して「GADVタンパク質」ができた。
 GADVタンパク質には自分を「擬似複製」する能力がある。擬似複製を繰り返しているうちにRNAの元になるようなオリゴヌクレオチド(数個のヌクレオチドからなる鎖)を作る機能を持った分子が現れ、そのオリゴヌクレオチドとアミノ酸が重合してアミノ酸オリゴヌクレオチド複合体が生まれて最初の遺伝子コードになり、それが複雑化していって現在の遺伝子コードになった。

●テロメア(p85)
 アポトーシス……多細胞生物における細胞死の一つ。多細胞生物は、定められた回数の分裂を繰り返した後に死に至る。遺伝的にプログラムされた死。
 テロメア……細胞分裂に伴い、「テロメア」と呼ばれる部位がどんどん切れて短くなっていく。テロメアは特別なDNA配列からなる部位で、遺伝子ではない。アポトーシスを制御している遺伝子のそばにあり、テロメアが全部なくなって切断がそこまで及ぶと、アポトーシスを制御している遺伝子が壊れ、アポトーシスが発現する。

●オートポイエーシス(p95)
 オートポイエーシス……生物が自分で自分を修復する能力。昆虫の場合、この能力が成虫になった途端に失われてしまうので、短命である。
 昆虫は、幼虫の時はどんどん細胞が分裂し、成長していくオートポイエティックなシステムだが、蛹になり、アポトーシスを起こして周りの細胞が全部死んで新しい細胞で成虫の体を作った後は、もう細胞は分裂しない。新陳代謝がない。
 人間の場合、幹細胞があるため、新陳代謝によって新しい細胞を作ることができる。

●ヘテロクロニー(p99)
 ヘテロクロニー(異時生)……子孫における発生のタイミングが、祖先の発生プロセスに比べて変化した現象。ケネス・J・マクナマラによれば、以下の6つに類型化できる。
 (1)前転位……ある器官の成長が開始する時期が他の器官と比べて相対的に早まること。
 (2)後転位……ある器官の成長が開始する時期が他の器官と比べて相対的に遅くなること。
 (3)加速……祖先に比べて成長の速度が速まること。
 (4)ネオテニー(幼形成熟)……祖先に比べて成長の速度が遅くなること。
 (5)ハイパモルフォーシス(過形成)……祖先に比べて成長が止まる時期が遅くなること。
 (6)プロジェネシス(幼形早熟)……祖先に比べて成長が止まる時期が早まること。
 人間くらいのサイズの生物は、だいたい4~5歳で繁殖可能になる。しかし、他の霊長類に比べて成長に必要な遺伝子のスイッチが徐々に遅く入るように変わっていったことで、長寿になった。

●遺伝的同化(p155)
 遺伝的同化=ジェネティック・アシミレーション。
 ショウジョウバエのバイソラックス……通常は1対(2枚)しかない翅が、2対(4枚)生えるという遺伝的変異を起こした個体。ホメオティック遺伝子の突然変異で起こる。
 ホメオティック遺伝子……基本構造を作る初期の段階での調節遺伝子。
 イギリスの生物学者C・H・ウォディントンの実験。産卵後2.5~3.5時間のショウジョウバエの卵を短時間、エーテル蒸気にさらすと、約25%の個体がバイソラックスになった。 → 環境的なバイアスにより、ある遺伝子のスイッチがオンになったりオフになったりして突然変異が生じる。
 人工的につくったバイソラックス同士を交配させ、得られた卵に再度エーテルを作用させる、という実験を繰り返すと、徐々にバイソラックスの出現頻度が高まり、10世代以上繰り返すと、ついにエーテルを作用させなくてもバイソラックスになるものが出現した。
 〔この場合、ホメオティック遺伝子そのものは正常で、それとは別の、働かないで眠っていた遺伝子が、環境的なバイアスによって発現し、人為的な選択が強力にかかった後で、表現型(形質)として固定したものである。
 親が産むのはDNAではなく細胞であり、遺伝されるのはDNAとそれを解釈する文脈(解釈系)の両方なのである。〕
 〔表現型模写が適応的であるなら、遺伝的同化は環境の変化に反応した速い進化のプロセスとなろう。〕

●内部選択説(p172)
 L・L・ホワイトの唱えた内部選択説。
 〔細胞内で発生する遺伝的変異は、細胞内や個体内ですでに機能している生命維持機構に調和する時にだけ受け入れられる。そうでない時は細胞や個体が死んでしまい、結果、次世代に遺伝することはない。〕
 変異は細胞のシステムによって選別される。生命システムが許容する範囲内でのみ変異が起こる。生まれ出る変異はすでにランダムではない。
〔 いわゆる自然選択とは、内部選択の結果、生き残って出現したさまざまな変異体にかかってくる事後的なプロセスであり、ひと言でいえば、進化が起きた後のマイナーな微調整になのである。〕

●エボデボ(p176)
 進化発生生物学(Evolutionary Developmental Biology)=エボデボ。
 進化を発生プロセスの変更という立場から解明することを目指し、比較形態学や比較発生学を分子レベルで研究する分野。DNAの突然変異を超える形態形成システムがどうやって進化したか、というようなことを研究。

●生物の複雑化(p193)
 〔形態変化の中には、後戻り不可能なものと可能なものがある。
 たとえば、いったん脊椎動物になると、脊椎動物以外のものになるのは難しい。そういう変化が起きても、おそらくは発生プロセスの途中で死んでしまうのだろう。複雑になった生物は細胞相互や高分子間のネットワークの数がきわめて多く、これを根本的に変えることは難しい。複雑になるには、既存のシステムに矛盾せずにシステムの末端に新しいやり方を付加すればいい。ところが、根元的に変えようとするには、既存のシステムとは矛盾する新しいシステムを構築する必要があり、多くの場合、システムは崩壊して生物は死ぬ。
 生物は複雑になるのは簡単だが、単純になるのは難しいようにできているのだ。複雑に分化してしまった生き物は、進化の工程を後戻りできないのである。〕
 「門」レベルの進化が、カンブリア紀(あるいはその少し後くらいまで)以降、おそらく起きていない。

(2013/9/6)KG

〈この本の詳細〉


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ScottKeyNc

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