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「水」が教えてくれる東京の微地形の秘密 カラー版
 [歴史・地理・民俗]

カラー版 「水」が教えてくれる東京の微地形の秘密 (じっぴコンパクト新書)
 
内田宗治/著
出版社名:実業之日本社(じっぴコンパクト新書 367)
出版年月:2019年7月
ISBNコード:978-4-408-33869-9
税込価格:1,100円
頁数・縦:191p・18cm
 
 都内を流れる川や暗渠、「廃川路」をてがかりに、東京の地理を描く。
 
【目次】
第1章―江戸城建造の濠と水源
 東京の地下鉄が地上に顔を出す理由―徳川家康の都市づくりのせいだった
 東京駅は入江の中、銀座は半島だった―中世末期と明治初期の海岸線比較
 城と町、大土木工事の開始―日本橋方面へと川を大移動
 内濠建設では半蔵濠に注目―千鳥ヶ淵と桜田濠へのそれぞれの水源とは
 地形がいかにも不自然!―御茶ノ水駅付近の神田川は幕府の洪水対策
 明治時代、都心屈指の難工事区間―18年かけて御茶ノ水付近の線路が完成
 外濠造成も二つの川を利用―四ツ谷と赤坂見附の間にある分水界
 特集 マイナスの標高と「水」(東京下町低地の「海面より低い土地」―荒川氾濫では浸水が長期にわたる地も)
第2章 川を見下ろす権力の館
 神田川を見下ろす高台その1―東京一、深山幽谷を感じさせる地
 神田川を見下ろす高台その2―総理大臣の邸宅が連なる南向きの丘
 神田上水―日本で初めて作られた都市水道 拝まれる対象から疫病神への転落
 小石川・大塚界隈―今はなき、大邸宅にあった池の数々
第3章 複雑な谷が生んだ文化
 古川沿岸、古い地形の台地概説―「無秩序に多い坂」に育まれた港区文化
 麻布、六本木、飯倉界隈―丘上の屋敷町と丘下の庶民の町
 古川沿岸低地、麻布十番商店街―都電廃止で衰退から賑わい復活まで
 白金、高輪、御殿山、島津山―工場地帯を見下ろす企業家の邸宅群
第4章 廃川跡と江戸の上水道
 渋谷・原宿・新宿御苑―地下に潜った渋谷川を遡って源流部へ
 神田川から目黒川、呑川、渋谷川へ―水がないのに清流のある川のからくり
 石神井川が王子の台地を突き破った!?―上流を奪われた藍染川、渓谷美の滝野川
 玉川上水―「奇跡の地形」が可能にした江戸の上水道 
 
【著者】
内田 宗治 (ウチダ ムネハル)
 地形散歩ライター、フリーライター。1957年東京生まれ。実業之日本社で旅行ガイドブックシリーズ編集長などを経てフリーに。旅と散歩、鉄道、自然災害、産業遺産に関するテーマで主に執筆。廃線跡歩きと廃川(はいせん)跡歩き、「歩き鉄」(歴史ある路線沿いを歩き尽くす)を実践中。
 
【抜書】
●淵、濠(p50)
 江戸城内堀には、「○○淵」と「○○濠」の2種類がある。
 淵……流れる水を堰き止めて造ったもの。
 濠……上記以外。
 
●見附(p52)
 江戸城は、内郭・外郭の城門を含めて俗に「三十六見附」と言われていた。
 見附……城門のすぐ外側で見張りの者が監視した所。
 
●神田上水(p102)
 江戸幕府初期、神田上水を作った。日本で初めて作られた都市水道。
 神田川からの取水地として「関口大洗堰(せきぐちおおあらいせき)」と呼ばれた堰を設け、神田川の流れを二筋に分けた。現在の文京区関口、大滝橋付近。
 堰で水位の上がった所で取水された水の流れが神田上水。
 残りの水は堰から大滝となって落ち、そのまま神田川を下った。
 水道橋……神田上水は、水戸徳川家上屋敷(現・小石川後楽園と東京ドーム)の中を通り、水道橋駅付近の御茶ノ水寄り地点で神田川を木製の樋の橋で越えた。これが「水道橋」の地名の語源。
 
●渋谷川(p159)
 渋谷駅付近より上流の渋谷川本流(現・キャットストリート)や宇田川は、現在もそれぞれの地下を下水が流れ、かつての合流点付近の地下で一緒になっている。
 渋谷川が地表に顔を出す渋谷リバーストリートあたりは、豪雨の時以外は水量が少なく、水も澄んでいる。
 下水は、合流するとすぐに明治通りの地下に新たに作られた大口径の下水道管へと導かれ、芝浦水再生センターへと流れていく。
 〔明治神宮や新宿御苑から流れ出た湧水は、その敷地から出るやすぐに地下に入り、他の下水と一緒にさせられた後、まったく日の目を見ないまま、水再生センター―(下水処理場)へと直結されるのだった。〕
 渋谷リバーストリートの下で渋谷川を流れている水は、落合水再生センターでアユなどの魚が棲めるレベルにまで高度処理された下水が、ポンプで圧力をかけられて、地下深くに作られた水路を10km以上たどってやってくる。この水路は、途中、地下鉄東西線、丸の内線、千代田線、半蔵門線、大江戸線、副都心線のさらに下を通っている。
 
●玉川上水(p186)
 羽村堰で取水された水の一部は、500mほど先の地下水路によって村山貯水池へ運ばれる。
 その他の水は、西武拝島線玉川上水駅近くの小平監視所から、地下の水道管で東村山浄水場へ運ばれ、都民の水道水となっていく。
 小平監視所から下流の水は、多摩川上流水再生センターで高度処理された下水の一部が地下の水道管で送られ、玉川上水へと流されている。放水量は、子供が川に落ちても溺れない程度として管理されている。
 
(2019/10/22)KG
 
〈この本の詳細〉


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