見えない戦争(インビジブルウォー)
[社会・政治・時事]
田中均/著
出版社名:中央公論新社(中公新書ラクレ 671)
出版年月:2019年11月
ISBNコード:978-4-12-150671-9
税込価格:902円
頁数・縦:205p・18cm
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冷戦が終結し、米国の一強体制も崩れたいま、世界は、いつ戦争が起きてもおかしくない危険な状態にある。「見えない戦争」がいたるところで勃発している。それを乗り越えるために、外交が力を発揮なければならない。……ということだろうか?
全体的に至極まっとうな論考ではあるが、「見えない戦争」の定義があいまいなので、どうも読後の納得感が薄い。訴えかけてくる力が弱い。テーマがうまく焦点を結ばない感が残る。冷戦時代のような対立点が明確ではなくなった現代の「見えない戦争」をまさに象徴している、ということか?
【目次】
1章 日本
グローバリゼーションの負の遺産
小選挙区制と未成熟な政権交代という弊害
ほか
2章 アメリカ
トランプは「分断」の結果であり原因ではない
トランプ政権の不確実性の高さ
ほか
3章 中国
日中関係の40年周期説
習近平の「中国の夢」
ほか
4章 朝鮮半島
韓国
北朝鮮
終章 日本の戦略と未来
終身雇用の崩壊
市場開放の持つ意味
ほか
【著者】
田中 均 (タナカ ヒトシ)
京都市生まれ。(株)日本総研国際戦略研究所理事長、(公財)日本国際交流センターシニア・フェロー。69年京都大学法学部卒業。外務省に入省後、72年にオックスフォード大学修士課程(哲学・政治・経済)修了。北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、在英大使館公使、総合外交政策局総務課長、北米局審議官、在サンフランシスコ総領事、経済局長、アジア大洋州局長を経て、2002年より外務審議官(政務担当)を務め、05年退官。東京大学公共政策大学院客員教授(2006-18年)。
【抜書】
●ICBM戦略論(p179)
プロフェッショナルとしてすべきこと、意識すること。そもそもは、外務官僚としての戦略指針だったが、すべての職業に通じる。
(1)Intelligence(情報)……情報の収集、分析、評価。〔情報の信頼度を検証し、過去の事例にあたり、交渉相手があるならばその経歴や性格を分析し、意図を探る。〕その分析に基づいて評価をする。
(2)Conviction(確信)……評価が定まったら、目的が立てられる。その目的に対して確信を持つことが重要。
(3)Big Picture(大きな絵)……戦略的思考を行う上で大切なのは、広い視野を持ち、過去と未来を見ながら、「大きな絵」を描くこと。大きな絵を描く際に重要なのは、時空を広げること。
(4)Might(力)……自分だけでなく、相手を取り巻く環境の力、力関係にも目を配り、それを利用することも重要。
(2020/3/28)KG
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