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でたらめの科学 サイコロから量子コンピューターまで
 [コンピュータ・情報科学]

でたらめの科学 サイコロから量子コンピューターまで (朝日新書)
 
勝田敏彦/著
出版社名:朝日新聞出版(朝日新書 796)
出版年月;2020年12月
ISBNコード:978-4-02-295104-4-5
税込価格:869円
頁数・縦:221p・18cm
 
 乱数に関して、その生成方法から性質、活用法まで、蘊蓄を語る。
 分かりきったことを妙に丁寧に解説したり、肝となる部分の説明が省略されていたり分かりづらかったり、全体にアンバランスな印象を受けた。
 
【目次】
第1章 でたらめをつくる
 でたらめづくりの歩み
 世界最速のサイコロ
 「1+1=0」の異世界にて
第2章 でたらめをつかう
 真実に迫るでたらめ
 情報を守る乱数
 乱数を売る・操る
第3章 でたらめの未来
 1000兆個の乱数で
 物理乱数の夢
 進化する乱数
 
【著者】
勝田 敏彦 (カツダ トシヒコ)
 1962年、兵庫県生まれ。朝日新聞東京本社科学医療部次長。京都大学理学部卒、同大学院工学研究科数理工学専攻修了。89年朝日新聞社入社、週刊朝日編集部、東京・大阪の旧科学部、米CNN派遣、アメリカ総局員、メディアラボ室長補佐、ソーシャルメディアエディターなどを経て現職。
 
【抜書】
●乱数の定義(p4)
 「その数字を並べる以上に短くその数列を記述できる方法がない」。
 何らかの規則性が見つかれば短く記述できて圧縮できるが、乱数とはそうしたルールや特徴がなくて圧縮できない。つまり、覚えるとしたら丸暗記するしか方法のない数の並び。
 「コルモゴロフ・チャイティンによる定義」。ロシアの数学者アンドレイ・コルモゴロフと、情報理論を研究しているアルゼンチンの数学者グレゴリー・チャイティンにちなむ。
 
●乱数本(p24)
 1955年、米国のランド研究所が「A Million Random Digits With 100,000 Normal Deviates」という本を刊行した。
 600ぺーじのうち、400ページにわたって100万個の乱数が並び、200ページにわたって統計でよく使われる「正規分布乱数」が並んでいる。
 
●世論調査(p111)
 朝日新聞による郵送調査のやり方。
 人口や産業構造を考慮しながら市区町村を選ぶ。
 市区町村から選挙の投票所を300ほど選ぶ(投票所は全国に約4万7000箇所ある)。
 各投票所からどれくらいサンプルを抽出するかを決める。
 市区町村の選挙管理委員会に行き、各投票所に投票に行く有権者の名簿から、ランダムに名前と住所を書き取っていく。例えば1,000人の名から10人を選ぶ場合、最初の人を乱数で決め、その人から100人おきに書き取っていく。
 
●モンテカルロ法(p161)
 豆落とし法で円の面積を求める。
 一辺2の正方形を作り、その中にすっぽり入るような半径1の円を描く。
 上から何度か豆を落とし、円の内側に豆が入る確率を計算する。その確率✕正方形の面積が、円の面積となる。
 この方法は、モンテカルロ法という。複雑な図形の面積を求めるときに役立つ。
 豆を落とす回数が増えれば、正確な面積に近づいていく。計算の誤差は、1/√N。Nは、豆を投げた回数。
 
●酔歩(p170)
 ブラウン運動は、「ランダム・ウォーク」または「酔歩」ともいう。
 
【ツッコミ処】
・タイヤ四つ=直方体?(p18)
〔 昔のサイコロは立方体とも限らない。アストラガルスといって、山羊など後ろ脚のくるぶしの近くにある距骨と呼ばれる骨もサイコロとして使われていた。大英博物館には、距骨のサイコロも収蔵されている。紀元前8世紀ごろから栄えた地中海のロドス島の都市、カメイロスで見つかったもので、見た目は立方体というより、ミニカーのタイヤを四つまとめて接着したような形だ。直方体に近い形なので4面サイコロとして利用されていたらしい。〕
  ↓
 丸いタイヤをどうやって四つつなげると直方体になるのだろうか? 不思議。写真か図版で見たかった。
 
(2021/4/16)NM
 
〈この本の詳細〉

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