SSブログ

江戸のジャーナリスト葛飾北斎
 [芸術]

江戸のジャーナリスト 葛飾北斎
 
千野境子/著
出版社名:国土社
出版年月:2021年5月
ISBNコード:978-4-337-18764-1
税込価格:1,540円
頁数・縦:207p・20cm
 
 葛飾北斎、宝暦10年(1760年)9月23日、下総国本所割下水の近くで生まれる。現在の東京都墨田区亀沢1丁目~4丁目のあたり。
 嘉永2年(1849年)4月18日の七つ時(午前4時ごろ)没。
 北斎の生涯をたどり、主要作品を紹介する。丁寧にルビが施され、若い人向けに書かれている。
 
【目次】
1章 北斎を探る旅
2章 生い立ち・浮世絵師への道
3章 家族とその暮らしぶり
4章 海外情報への好奇心
5章 世界を魅了した『北斎漫画』
6章 生涯通しての現役絵師
7章 最晩年の日々
8章 北斎を復活させたロシア人
 
【著者】
千野 境子 (チノ ケイコ)
 横浜に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。1967年産経新聞社入社。マニラ特派員、ニューヨーク支局長、女性初の外信部長、論説委員長などを歴任。1997年度ボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『アメリカ風だより』(第32回青少年読書感想文全国コンクール課題図書)『紅茶が動かした世界の話』(第23回読書感想画中央コンクール課題図書)などがある。現在産経新聞客員論説委員。
 
【抜書】
●勝川春朗(p30)
 北斎は、10歳前後に貸本屋の小僧となる。義父中島伊勢の鏡師の仕事を継がなかった。
 14、5歳ごろから彫師について木版印刷の版木の文字彫りを始める。
 数えで19歳の時、当代一の人気浮世絵師勝川春章(かつかわしゅんしょう)に弟子入り。わずか一年で勝川春朗の雅号を与えられ、浮世絵師としてデビュー。三十代の半ばまで春朗として活躍。
 ひそかに狩野派の狩野融川(ゆうせん)の門をくぐっていたことが発覚、勝川派を破門される。春朗の名前も返上。
 
●俵屋宗理(p34)
 寛政6、7年(1794-5年)ごろ、光琳画法の継承者である俵屋宗理(たわらやそうり)を継ぐ。
 以後10年、「宗理様式の時代」。『中国武人図』『獅子図屏風』(東京国立博物館所蔵)などが、このころの作品。
 地本問屋(じほんどんや)の蔦屋重三郎のもとで、狂歌絵本の挿絵の仕事を始める。
 寛政10年、39歳、琳派を離れて独立。宗理の名も門人に譲る。
 北斎辰政(ときまさ)を名乗る。
 
●葛飾北斎(p37)
 文化3年(1806)、47歳、葛飾北斎を名乗る。
 
●琉球八景(p92)
 『琉球国誌略』を参考に、『琉球八景』を描く。城岳公園周辺(現那覇市楚辺)や、那覇港一帯を描く。浦添市にある県立美術館所蔵。
 
●ベロ藍(p98)
 浮世絵の世界に革命をもたらしたと言われる青色顔料。プルシアン・ブルー。
 北斎は、「北斎ブルー」と称されるほどベロ藍を取り入れ、浮世絵の価値を高めた。
 
●画狂老人卍(p134)
 天保5年(1834年)、75歳、雅号を為一(いいつ)から画狂老人卍に改める。その後15年にわたって使われる、北斎最後の雅号。
 『富嶽百景』(天保5年)のあとがき。「己六歳より物の形状(かたち)を写(うつす)の癖ありて……」「七十歳になるまでに描いたものは取るに足りないものばかりだった。七十三歳になって、生き物の造作や草木の生まれるを多少は知ることができた。それゆえ八十六歳になればますます上達し、九十歳で奥義をきわめ、百歳に至って正に人間の能力を超えた神妙の域に達するだろう。そして百十歳になって描く絵は一点が独自の格式を得て、あたかも命を得たかのように生きたものになるだろう。ねがわくは長寿の神様には、私のこのような予言が世迷いごとでないことをごらんいただきたいものである。」
 
●高井鴻山(p143)
 たかいこうざん。1806-1883年。信濃国小布施(おぶせ)の豪農商。塩や酒造業などを手広く営む高井家の11代目当主。
 北斎は、83歳から89歳までの間に、4回、小布施を訪れる。その際に住まいとアトリエ「碧漪軒(へきいけん)」を提供。
 北斎は小布施で、東町祭屋台に「龍」と「鳳凰」の天井画を、上町祭屋台に「男波(おなみ)」と「女波(めなみ)」の怒涛図を描く。また、曹洞宗岩松院の天井絵『八方睨み大鳳凰図』を描く。
 岩松院は、小林一茶ゆかりの寺。「やせ蛙まけるな一茶これにあり」の句が詠まれた蛙合戦の池が境内にある。
 
●『画本彩色通』(p158)
 弘化5年(1848年)、絵手本『画本彩色通(えほんさいしきつう)』(初編、二編)を発表。
 絵を描くための指南書。技法や絵の具の作り方などを具体的に述べた。
 『北斎漫画』は、デッサンを通じて弟子や絵師を志望する人々への手本。『画本彩色通』は、文章による解説の度合いが高い絵手本。
 
(2022/6/27)NM
 
〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。