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酒好き医師が教える最高の飲み方 太らない、翌日に残らない、病気にならない
 [食・料理]

酒好き医師が教える 最高の飲み方  太らない、翌日に残らない、病気にならない
 
葉石かおり/著 浅部伸一/監修
出版社名:日経BP社
出版年月:2017年11月
ISBNコード:978-4-8222-5893-1
税込価格:1,540円
頁数・縦:285p・19cm
 
 25名に及ぶ医師・研究者を取材してまとめた、アルコールに関するうんちく集。しかし、どの医師に聞いても、適量は日本酒1合程度というところが気になる。もっと飲んでも大丈夫だろ? 個人差があるはず。
 
【目次】
第1章 飲む人全員に知ってもらいたい“正しい”飲み方
第2章 酒に負けないためのセルフケア
第3章 飲んで病気にならないためのルール
第4章 検証!酒にまつわる「なぜ?ホント?」
第5章 最新科学で分かった「酒と病気」
第6章 飲んでよかった!酒の健康パワー
第7章 絶対NG!“危険な”飲み方
 
【著者】
葉石 かおり (ハイシ カオリ)
 エッセイスト・酒ジャーナリスト。一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーション理事長。1966年東京都練馬区生まれ。日本大学文理学部独文学科卒業。ラジオレポーター、女性週刊誌の記者を経て現職に至る。全国の日本酒蔵、本格焼酎・泡盛蔵を巡り、各メディアにコラム、コメントを寄せる。「酒と料理のペアリング」を核に、講演、セミナー活動、酒肴のレシピ提案を行う。2015年に一般社団法人ジャパン・サケ・アソシエーションを設立。国内外にて世界に通用する酒のプロ、サケ・エキスパートの育成に励み、各地で日本酒イベントをプロデュースする。
 
浅部 伸一 (アサベ シンイチ)
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授肝臓専門医。1990年、東京大学医学部卒業後、東京大学附属病院、虎の門病院消化器科等に勤務。国立がんセンター研究所で主に肝炎ウイルス研究に従事し、自治医科大学勤務を経て、アメリカ・サンディエゴのスクリプス研究所に肝炎免疫研究のため留学。帰国後、2010年より自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科に勤務。現在はアッヴィ合同会社所属。専門は肝臓病学、ウイルス学。
 
【抜書】
●ビタミンU(p15)
 ビタミンU=キャベジン。胃の粘膜表層のムチンを増やす働きがある。
 ビタミンUは、正式にビタミン類に分類されている成分ではない。
 ムチンは、粘膜から分泌される粘液の主成分で、粘膜を保護したり、細菌の侵入を防御する役目を担っている。
 飲酒1時間前に摂取しておくといい。アルコールによる刺激から胃を守ってくれる。
 キャベツ、ブロッコリー、アスパラガス等に豊富に含まれている。
 
●純アルコール量(p21)
 1時間で分解できる純アルコール量は、「体重(kg)×0.1」グラム。
 体重50kgの人の場合、5g。ビール中瓶の約四分の一。
 
●ペプチド、アルギニン(p28)
 日本酒から発見された活性ペプチドは、糖尿病患者のインスリンの感受性を改善し、高血圧や動脈硬化といった心疾患のリスクを軽減させる。
 日本酒に含まれるアルギニンも、糖尿病への効果が期待できる。
 
●70%(p57)
 純アルコールのカロリーは、1グラム当たり7.1Kcalになる。このうちおよそ70%は代謝で消費される。「アルコールはエンプティ・カロリー」と言われる理由の一つ。
 ただし、醸造酒に含まれる糖質、タンパク質などは、摂取カロリーの増加につながる。
 
●脂肪肝(p67)
 肝臓に運ばれたエタノールは、アルコール脱水素酵素(ADH1B)によってアセトアルデヒドとなり、次にアルデヒド脱水素酵素によって酢酸となる。その後、アセチルCoAを経て、最終的にエネルギーを生むとともに脂肪酸を生成する。脂肪酸は、中性脂肪の元になる。
 また、アルコールが肝臓で代謝されている間は、脂肪の燃焼が阻害される。
 以上の2点の理由により、酒飲みは脂肪肝になりやすい。
 
●ALDH2(p94)
 体内に入ったアルコールの約9割は肝臓で代謝される。
 アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)には、3つの型がある。
 ALDH1とALDH3は個人差が少ないが、ALDH2は個人差が大きく、その差が酒に対する耐性を決める。
 活性型(NN型)……両親から、分解能力が高いN型を受け継いだ人。酒を飲んでも赤くならないノンフラッシャーがほとんど。黄色人種の50%。
 不活性型(ND型)……低活性型とも。全く飲めなくはないが、基本的に酒に弱くなる。黄色人種の40%。
 失活型(DD型)……全く飲めない。奈良漬けを食べた程度で真っ赤になってしまう。黄色人種の10%。
 白人や黒人は、ほぼ100%が活性型。
 
●芋焼酎・泡盛で血栓溶解(p191)
 芋焼酎と泡盛は、t-PAとウロキナーゼの分泌、活性を高める。最適の量は、純アルコール換算で1日30ml。
 「飲む」ことに加え、香りを「嗅ぐ」ことでも、t-PAを活性化させることができる。
 t-PA(組織プラスミノーゲン活性化因子)、ウロキナーゼ……血管内皮細胞から分泌され、血漿中に含まれる「プロスミノーゲン」という酵素に働きかけ、活性型の「プラスミン」という蛋白質分解酵素を作り出す。これが、血栓を大きくしていくフィブリンを分解し、血栓を溶解していく。
 
●リスベラトロール(p203)
 ブドウの果皮に含まれるポリフェノール。
 脳の機能を円滑にし、記憶力の回復やアルツハイマー病を予防する効果がある。
 ボルドー大学中央病院が、65歳以上3,777名を対象に、飲酒と死亡率、認知症、アルツハイマー病のリスクを3年間にわたって調査。ワインを毎日3~4杯飲んでいるグループは、非飲酒グループに比べて認知症が五分の一に、アルツハイマー病が四分の一に低下、死亡率も30%低下した。1997年発表。
 リスベラトロールが、外界刺激を伝達する酵素「MAPキナーゼ」を活性化するためだと考えられる。
 また、リスベラトロールが、老化を抑制する機能をもつサーチュイン遺伝子を活性化させ、寿命を延ばすという報告もある。
 
●純米酒すっぴん(p212)
 金沢の福光屋が開発した、美容用の純米酒。飲むこともできる。
 金沢のひがし茶屋街の芸妓の一言がきっかけとなった。その芸妓は、客の飲み残した日本酒を肌につけていた。とても肌が白くきめ細やかだった。その人の提案で、開発を始めた。
 一般的な日本酒よりもアミン酸の数値が高い。
 しかし、アルコール度数が13度あるため、酒屋でしか販売できない。
 2003年には、アルコールほぼ0%の「アミノリセ」を商品化。米を麹菌、酵母、乳酸菌で約40日間発酵させ、半年以上熟成させて造られたコメ発酵液。飲料用の日本酒の約3倍のアミノ酸を含む。
 
●イソα酸(p219)
 ビールに含まれるホップ由来の苦み成分。
 イソα(アルファ)酸には、アルツハイマー病の原因の一つであるアミロイドβなどの脳内の老廃物沈着の抑制効果や、脳内炎症の緩和効果がある。
 脳内の老廃物を食べて除去する、脳内唯一の免疫細胞「ミクログリア」を活性化させる。ミクログリアは、加齢により機能が低下する。
 つまり、ビールを飲むと認知機能の改善が期待できる。
 
(2019/10/12)KG
 
〈この本の詳細〉


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昆虫は美味い!
 [食・料理]

昆虫は美味い! (新潮新書)  
内山昭一/著
出版社名:新潮社(新潮新書 798)
出版年月:2019年1月
ISBNコード:978-4-10-610798-6
税込価格:821円
頁数・縦:214p・18cm
 
 
 昆虫食が地球を救う!
 動物食に比べていかに昆虫食が優れているかを説きつつ、実際にどんな昆虫がどこで、どのように食べられているかを紹介する。
 
【目次】
第1部 昆虫を味わう
 東京郊外でザザムシを喰らう
 カイコは味も糸を引く
 フタホシコオロギ味比べ
 クツワムシの鳴き声はうるさいが、味は優しい
 ウナギ不足はハチの子で解決
  ほか
第2部 古今東西、そして未来の昆虫食
 人類発祥とともにあった昆虫食文化
 世界では二〇〇〇種類近くの昆虫が食べられている
 今なぜ昆虫食が注目されているのか
 昆虫食の明日
 
【著者】
内山 昭一 (ウチヤマ ショウイチ)
 1950(昭和25)年、長野県生まれ。昆虫料理研究家、昆虫料理研究会代表。NPO法人食用昆虫科学研究会理事。
 
【抜書】
●ゴトウムシ(p48)
 シロスジカミキリの幼虫(あるいはカミキリムシ全般の幼虫)。信州の言い方。
 成虫の食べ方。頭をひねってちぎり、中身が出ないように胴体を囲炉裏の熱い灰にさらす。クツクツと煮えて香ばしい匂いがしてきたら、灰から取り出し、背中の硬い翅をむしり取り、サジ代わりにしてドロドロのクリーム状の中身をすくって食べる。
 漫画『本多勝一のこんなものを食べてきた!』による。本多は、長野県出身。
 
●虫糞茶(p87)
 中国の一部の地域では、中国茶の一種として虫糞茶が飲まれている。
 ヤガ科とメイガ科の蛾の幼虫にコナシや茶などの葉を食べさせてつくる。
 サクラケムシは、桜の香りがして美味。茹でても炒っても良い。
 また、虫糞茶にして香りを楽しむのも良い。捕まえたサクラケムシをしばらく飼育し、糞を集めて乾燥させて作る。お茶パックに入れおけば、淹れるときに糞が散らばらない。桜茶のような味で、葉っぱの青臭さがなく、上品な香りがする。
 
●マンナ(p157)
 カイガラムシが排泄する甘露。
 シナイ半島の砂漠地帯で、薄茶色で、風で飛ぶほど軽く、豆粒くらいの大きさになる甘い物質が岩の表面についていることがある。これが「マンナ」。
 タマリスクにつくタマカイガラムシのマンナが有名。
 旧約聖書に出てくる「manna」と同じものだと言われている。
 森永のビスケット「マンナ」の名前の由来。
 
●メスカル(p164)
 メキシコの酒。リュウゼツランの花柄を開花直前に根際で切り、葉を除去した後の球状の茎を焼き、細かく切って汁を絞り、発酵させ、2回蒸留して作る。テキーラもメスカルの一種。
 瓶の中に、リュウゼツランにつくボクトウガの幼虫を1匹ずつ入れる。
 香りや味を抽出するためではない。アルコール濃度の指標。幼虫がしっかりした形を保っていれば、アルコール度数は十分高い。
 
●FAO(p169)
 2013年5月、国連食糧農業機関(FAO)の報告書「食用昆虫――食料と飼料の安全保障に向けた将来の展望」(Edible insects: Future prospects for food and feed security)。持続可能な食料として、家畜に比べた昆虫の環境的優位性を強調。
 (1) 飼育変換効率がよい……肉1kg増やすのに、牛は10kgの餌が必要。コオロギは2kgで済む。基礎代謝率では、恒温動物は変温動物の30倍のエネルギーを使う。
 (2) 昆虫は可食部分が大きい……牛の可食部分は40%。コオロギは脚と外骨格部分を除いた体重の80%。
 (3) 温室効果ガスの放出量が少ない……温室効果ガスの発生源は主に反芻動物の腸内発酵や糞尿。昆虫は、河川や海の富栄養化と土壌の酸化を引き起こすアンモニアの放出も極めて少ない。
 (4) 有機廃棄物で飼育できる。
 (5) 人間の食べ物と重ならない。
 (6) 高栄養食品……タンパク質は家畜と同等で60%。必須アミノ酸のバランスも良い。脂肪は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸など、不飽和脂肪酸を多く含む。ビタミンは、チアミン、リボフラビン、ビオチンなどB群が豊富。ミネラルは、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、リンなど。
 
(2019/4/6)KG
 
〈この本の詳細〉


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