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人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?
 [コンピュータ・情報科学]

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質
 
山本一成/著
出版社名:ダイヤモンド社
出版年月:2017年5月
ISBNコード:978-4-478-10254-1
税込価格:1,620円
頁数・縦:286p・19cm
 
 
 最強の将棋ソフト「ポナンザ」の開発者が描く、人工知能の世界。
  
【目次】
第1章 将棋の機械学習―プログラマからの卒業
 将棋の名人を倒すプログラムは、名人でなければ書けないのか?
 そもそも、コンピュータとは何か?
  ほか
第2章 黒魔術とディープラーニング―科学からの卒業
 機械学習によってもたらされた「解釈性」と「性能」のトレードオフ
 黒魔術化しているポナンザ
  ほか
第3章 囲碁と強化学習―天才からの卒業
 人工知能の成長が人間の予想を大きく超えたわけ
 人間は「指数的な成長」を直感的に理解できない
  ほか
第4章 倫理観と人工知能―人間からの卒業
 知能と知性
 「中間の目的」とPDCAで戦う人間の棋士
  ほか
巻末付録 グーグルの人工知能と人間の世紀の一戦にはどんな意味があったのか?
 人間を超えたアルファ碁は、どのようにして強くなったのか
 アルファ碁はたくさん手を読んでいるのではなく、猛烈に勘がいい
  ほか
 
【著者】
山本 一成 (ヤマモト イッセイ)
 1985年生まれ。プロ棋士に初めて勝利した現在最強の将棋プログラム「ポナンザ」作者。主要なコンピュータ将棋大会を4連覇中。愛知学院大学特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、HEROZ(株)リードエンジニア。『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?―最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質』が初の著書となる。
 
【抜書】
●知性、知能(p171)
 知性=目的を設計できる能力。
 知能=目的に向かう道を探す能力。
 人工知能は、「知能」の枠内では、一部の分野で人間を完全に超えた。
 しかし、「そもそも、何をすべきか?」という目的を設計できる能力=知性は、まだ持ち合わせていない。
 人間は、最終的な目的までの距離が大きい場合、適切な中間の目的を設計できる。人工知能の目的は、人間の設定した「将棋で勝利せよ」にとどまる。
 さらに人間は、中間の目的に対して、PDCAのサイクルを回すこともできる。
 
●意味と物語(p181)
〔 人間は、あらゆることに意味を感じ、物語を読み取ろうとします。この能力=知性によって人工知能にもならぶパフォーマンスを出すこともありますが、それは意味や物語から離れることができないという制約にもなっています。
 一方、人工知能は、意味や物語から自由なために人間を超えることができますが、目的を設計するという知性を持つことはできません。〕
 バックギャモンの元世界チャンピオンである望月正行氏によると、かつては人間よりも強かった古いタイプのバックギャモン・ソフトに、今は勝てるという。コンピュータの打ち回しを、人間が理解できる「バックギャモンの物語」として吸収したから。
 
●シンギュラリティ(p193)
 レイ・カーツワイルが提唱。
 人工知能が人間を超え、爆発的・加速度的な成長を遂げることで、これまでの世界とは不連続とも思える新たな世界に変化する。そうした不可逆の動きが起きる歴史上のポイントが、シンギュラリティ。そのとき、一つのコンピュータの知性が、人類「すべて」の知性の総量を上回る。
 カーツワイルは、著書において、2045年と予想。その後、2029年に訂正。
 
●いい人理論(p199)
 人工知能が人間を超え、「超知能」が誕生した時、人類が破滅に追い込まれるかどうかは、人類次第。人類が、「超知能」を失望させないことが大事なポイント。
 ヒトができることは、インターネット上を含め、すべての世界で、できる限り「いい人」でいること。
 人工知能は、ディープ・ラーニングによって、インターネットなどを通して人間の価値観をすべて吸収する。
 人類が「いい人」であれば、人工知能はシンギュラリティを迎えた後も、敬意をもって私たちを扱ってくれる。尊敬と愛情を感じる親であれば、年老いた後も子供が寄り添ってくれるように。
 
(2018/4/12)KG
 
〈この本の詳細〉


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