黙ってられるか
[スポーツ]
川淵三郎/著
出版社名:新潮社(新潮新書 776)
出版年月:2018年8月
ISBNコード:978-4-10-610776-4
税込価格:799円
頁数・縦:206p・18cm
川淵三郎が、Jリーグについて、Bリーグについて、スポーツ全体について、言いたい放題。随所に正鵠を得た指摘がちりばめられていて、読んでいて気持ち良い。特に、日本トップリーグ連携機構会長として、ホッケー、バレーバール、ハンドボールの各協会の問題点を突き、改革を求めるくだりは、本書の焦眉と言えよう。
また、渡邉恒雄との対談も一読の価値あり。お互いに高齢ではあるが、頭がしっかりしていて元気なうちに本心をさらけ出して対談することができ、本当によかった。
【目次】
人材は、なかなかいない
自分の価値を見極める
マスコミの価値を知る
何もしないセルフプロデュース術
指導者でチームは変わる
サッカー界の人材
日本におけるスポーツ
引き際の美学
特別対談 渡邉恒雄vs.川淵三郎―一度きちんと話してみたかった
【著者】
川淵 三郎 (カワブチ サブロウ)
1936(昭和11)年大阪府生まれ。早稲田大学在学時にサッカー日本代表に選出。64年東京五輪に出場。日本代表監督などを経て、91年Jリーグ初代チェアマン、2002年日本サッカー協会会長に就任。現在は同協会相談役、日本トップリーグ連携機構会長など。
【抜書】
●トルシエ(p86)
〔 2002年ワールドカップの監督は、ベンゲルに断られたため、フランスサッカー連盟の紹介でフィリップ・トルシエになったが、彼の指導にどうしても納得できないところがあった。許せなかったのは、選手に手やユニフォームを引っ張れとか、アンフェアなプレーを指示していたことだ。
それは指導者がすることではない。僕はクラマーさんの薫陶を受けたこともあって、とにかくフェアプレーが一番だと思っている。
もちろん試合はきれい事だけでは済まない。相手に自由にプレーさせないために、反則ぎりぎりのところを、選手が自身の判断でトライするのはいいと思う。
しかし、指導者自らが、手をひっぱれ、などと指導するとは何たることだ。トルシエの指導は、監督としてはするべきことではなかったと思っている。
もう一つ付け加えれば、日本人を見下したようなところも気に入らなかった。黙って俺の言うことを聞け、聞いていれば間違いないんだという、頭ごなしの態度も許しがたかった。〕
(2018/12/13)KG
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