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クロード・シャノン情報時代を発明した男
 [コンピュータ・情報科学]

クロード・シャノン 情報時代を発明した男 (単行本)
 
ジミー・ソニ/著 ロブ・グッドマン/著 小坂恵理/訳
出版社名:筑摩書房
出版年月:2019年6月
ISBNコード:978-4-480-83720-2
税込価格:2,700円
頁数・縦:430p・19cm
 
 クロード・シャノンの伝記。
 クロードは、2度結婚している。1度目は、1940年1月、20歳のノーマ・レボーと。しかし、1年で破局を迎えた。
 2度目は、ベル研究所で出会った若きアナリスト、6歳年下のベティ・ムーアと、1949年に結婚した。彼女は終生クロードに寄り添い、アルツハイマー病を発症した夫を、2001年2月24日の臨終まで献身的に介護した。ウィンチェスターの自宅エントロピーハウスの一室を夫のために改造し、そして夫が介護サービス付きの高齢者集合住宅に移ったときには毎日2回、訪問した。
 
【目次】
1 内気な天才数学者
 発明家の遺伝子
 工学か数学か
 部屋いっぱいの特大の頭脳
  ほか
2 天才の孤独
 大西洋横断通信への挑戦
 インテリジェンスから情報へ
 爆弾級の発見
  ほか
3 遊ぶ天才
 シャノン教授
 内部情報
 からくり好きの天国
  ほか
 
【著者】
ソニ,ジミー (Soni, Jimmy)
 編集者、ジャーナリスト、ライター。ハフィントン・ポスト元編集長。スピーチライターやニュース番組のコメンテイターとしても活躍している。
 
グッドマン,ロブ (Goodman, Rob)
 元スピーチライター。
 
小坂 恵理 (コサカ エリ)
 翻訳家。慶應義塾大学文学部英米文学科卒業。訳書多数。
 
【抜書】
●1916年(p22)
 1916年、ミシガン州北部中央台地の中心に位置する町ゲイロードにて、クロード・シニアとメイベルとの間に、クロード・シャノンが生まれる。
 1910年には、姉のキャサリンが生まれている。
 両親とも、メソジスト派で、町の名士。父親は家具店と葬儀屋を経営、フリーメイソンに所属。母親は教師で、ゲイロード高校の校長を7年間務めた。
 
●ヴァネヴァー・ブッシュ(p37)
 MIT時代からのクロード・シャノンの恩師。1936年、シャノンは、MITにて大学院生としてブッシュの微分解析機開発の助手を務めることになった。
 
●修士論文(p63)
 1937年、「継電器と開閉回路の記号的解析」というタイトルで、修士論文を発表する。
 ブール代数を利用することで、回路を規則正しく科学的に設計できるようになった。
 
●アフレッド・ノーブル賞(p75)
 工学の世界でのブッシュの大きな影響力のおかげで、シャノンの論文は「アルフレッド・ノーブル賞」を受賞した。
 アメリカ土木学会が、30歳未満の研究者によって執筆された最も素晴らしい論文に与える賞。専門分野で若くして花開いた才能を称えることが目的。
 この不幸な名の賞は、「アルフレッド・ノーベルの賞とは無関係である」と必ず付記しなければならなかった。
 
●産業数学者(p104)
 ソーントン・フライが提唱した「新種の人材」。
 「夢想家で、世俗的な事柄にあまり関心がなく、研究成果が売れればどれだけ儲かるのかを考えようとしない」のが典型的な数学者。しかし、一部の数学者は、正しい環境を与えてやれば、「日常的な問題」に注目し、「具体的な利用法」を考案するなど、現実的な問題に取り組むのではないかと推測。ベル研究所に「数学グループ」を創設。
 
●暗号機(p137)
 第二次世界大戦当初から暗号機が活躍し、ENIGMA、ENIAC、MANIAC、TUNNY、BOMBE、COLOSSUS、SIGSALYといったコードネームを持つものがある。
 
●真珠湾(p138)
 1941年12月7日、米国陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルは、日本との戦争の可能性が現実味を増したという情報を太平洋方面軍に伝える必要に迫られた。
 当時、米国の軍事指導者や政治指導者が利用できる唯一のシステムは、安全性に問題があるとみなされてきた。そのため、メッセージはかなりスピードの遅い無線電信機で送られた。メッセージが届いたときには、真珠湾攻撃が終了していた。
 太平洋艦隊がほぼ壊滅したことが何よりの衝撃となって、米国の暗号開発者は目を覚ましたのである。
 
●『通信の数学的基礎』(p190)
 あらゆる通信システムは、ごくシンプルな要素にまとめられる。
 ・情報源はメッセージを作成する。
 ・通信機はメッセージをコード化し、送信可能な信号へと変換する。
 ・通信機は信号が通過する媒体である。
 ・雑音源は受信機へ向かっている信号に歪みや乱れを発生させる。
 ・受信機はメッセージを解読し、送信機とは逆の操作を行う。
 ・受信者はメッセージを受け取る。
 
●手数料(p328)
 シャノンは、MITで株式市場について講演した。
 彼は、価値が減少している銘柄から投資家が利益を引き出せる理論について紹介した。取引をコンスタントに繰り返し、価格の変動をうまく利用するのである。
 聴衆から真っ先に、この理論を自分の投資活動に利用しましたか、という質問が飛び出した。
 「いや、手数料が馬鹿にならない」。
 
●京都賞(p364)
 1885年、シャノンは京都賞を受賞する。
 京都で、「通信ならびにコンピューティングの発達と私の趣味」というタイトルで、生涯最後の講演を行った。
 「日本で歴史がどのように教えられているのか知りませんが、アメリカでは私の大学時代、歴史の授業では政治指導者や戦争についての内容がほとんどでした。カエサル、ナポレオン、ヒトラーのような人物ばかりが取り上げられましたが、これは全面的に間違っていると思います。歴史上の重要人物として重要な出来事に関わっているのは思想家やイノベーターであり、ダーウィンやニュートン、ベートーベンのような人物の功績が、良い影響を与え続けています。」
 
【赤入れ寸評】
・ヴェネヴァー・ブッシュ(p37)
 いきなり「黒いスーツの男の名はヴェネヴァー・ブッシュ」と出てくるが、他の個所では、ほとんどが「ヴァネーヴァー・ブッシュ」となっている。
 綴りは「Vannevar Bush」のようである。
 
(2019/9/22)KG
 
〈この本の詳細〉


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