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世界を支配するベイズの定理 スパムメールの仕分けから人類の終焉までを予測する究極の方程式
 [コンピュータ・情報科学]

世界を支配するベイズの定理 スパムメールの仕分けから人類の終焉までを予測する究極の方程式  
ウィリアム・パウンドストーン/著 飯嶋貴子/訳
出版社名:青土社
出版年月:2020年1月
ISBNコード:978-4-7917-7240-7
税込価格:2,860円
頁数・縦:346p, 25p・19cm
 
 ベイズの定理をめぐって、縦横無尽に知的世界を渉猟する学術的エッセー?
 「ベイズの定理とは何ぞや?」ということが知りたかったのだが、さらなる「?」となり、謎は深まるばかり。
 「デルタt論法」のような推論方法をベイズの定理というのか??
 
【目次】
第1部 レミングを考える
 すべてを予測する方法
 スフィンクスの謎
 タンブリッジ・ウェルズの牧師
 厳格な計算の歴史
 終末論法がまちがいである12の理由
 アルバカーキの24匹の犬
 赤ちゃんの名前と爆弾片
 「眠り姫」問題
 おせっかいな哲学者
 ターザン、ジェーンと出会う
 射撃室
 ガムボールマシンの形而上学
第2部 生命、心、宇宙
 シミュレーション仮説
 フェルミの問い
 塔のなかの王女
 地球外生命体へのふたつの質問
 パンドラの箱
 多世界における生と死
 1/137
 悪魔を呼びだす
 現在地
 
【著者】
パウンドストーン,ウィリアム (Poundstone, William)
 MITで物理学を学ぶ。専門は物理学と情報理論。
 
飯嶋 貴子 (イイジマ タカコ)
翻訳家。
 
【抜書】
●デルタt論法(p21)
 J・リチャード・ゴットは、1969年夏、ベルリンの壁を訪れた際、この壁が存続する年数を計算。すくなくともあと2年8か月は存在するが、24年以上は存続しない、と結論(50%の確率)。21年後の1990年から1992年にかけて、壁は取り壊された。
 50%の確度で考えた場合、現在地(時)は、全体の25%から75%の位置にいる可能性が高い。現在地(時)が開始地(時)点の25%の位置なら、残りは75%、すなわちこれまでの時間の3倍が残されている。75%の位置にいるならば、未来は25%、すなわち過去の三分の一しか残されていない。
 95%の確度で考えた場合は、過去の持続期間は2.5%、未来の持続期間は97.5%となる。すなわち、95%の信頼区間は、過去の持続時間の1/39~39倍ということになる。
 この計算方法を、「デルタt論法」と名付けた。「デルタt」とは、時間における変化のこと。
 また、「コペルニクス的方法」としても知られる。
 1993年に、『ネイチャー』に論文を発表した。
 
●ベイズ(p44)
 トーマス・ベイズ(1701-1761)、長老派の非国教徒。エディンバラ大学で神学と論理を学んだ後、1733-34年ごろにタンブリッジ・ウェルズに移転し、マウント・シオン・チャペルの牧師になる。
 ベイズの定理について書かれた論文「偶然論における一問題を解くための試論」は、ベイズの死後、リチャード・プライスが発見した。
 
●エディントンの網(p59)
 観測選択効果。
 イギリスの物理学者アーサー・エディントン『物理科学の哲学』(1939年)に挙げた例。
 池の中の一番小さな魚の大きさを知りたいと思い、網を手に取り、ランダムに魚を100匹すくい上げ、1匹ずつ計測した。一番小さな魚は15cmだった。この池では、15cmより小さい魚は珍しいか、存在しない? この網は、15cm以上の魚しかすくうことができないものだった。
 
●リンディ効果(p114)
 リンディ効果、または、リンディの法則。
 他より長い過去を持つ企業、市場、経営者には、より長い未来がある可能性が高い。
 
●ドレイクの方程式(p217)
 アメリカ人の電波天文学者フランク・ドレイクが、1961年、ある会議で、私たちの銀河系にどれくらい知的な種が存在するか(それらの種と交信できるか)を示した。その数は、七つの未知数の積となる。
 (1)年間いくつの恒星が、我々の銀家系に誕生しているか
 (2)それらの恒星のいくつに惑星があるか
 (3)典型的な恒星系にはいくつの惑星が存在するか
 (4)そのような惑星のいくつに生命体が発生しているか
 (5)そうした生命体がいる惑星のどれくらいが知的生命体を進化させているか
 (6)どれくらいの知的な種が無線信号を送っているか(さもなければ、その存在を明らかにしているか)
 (7)知的な種の通信はどれくらいの期間存続するか
 
●微細構造定数(p288)
 1/137……微細構造定数。電磁力がどれほど強いかを測る尺度。この定数が観測された値と大きく異なる場合、そこに原子は存在しない。「物理学史上最大の、とんでもなく不可解な謎の一つ」(リチャード・ファインマン)。
 
●知能爆発(p314)
 I・J(アーヴィング・ジョン)・グッド、またの名(出生時)はイザドア・ジェイコブ・グダック。ケンブリッジ大学で数学を学び、戦時中、アラン・チューリングの暗号解読仲間に加わった。
 1965年の論文で以下のように書いた。
 「趙知的マシンを、どれほど頭のいい人間でも、そのあらゆる知的活動をはるかに凌駕することのできるマシンだと定義しよう。このマシンの設計はこうした知的活動の一つであるため、趙知的マシンはさらに高度なマシンを設計することができる。そうすればまちがいなく「知能爆発」が起こり、人間の知能ははるかかなたに置き去りにされるだろう。こうして最初の趙知的マシンは、人間がつくる必要のある最後の発明となる。ただし、これを管理下に置く方法を私たちに教えてくれるほど、これが従順であればの話だが。」
 
【ツッコミ処】
・ジェフリーズの事前分析(p127)
 なんと、「ズ」の字が網掛け文字になっている! おそらく特段の理由もなく。非常に珍しい誤植(?)である。
 
(2020/3/20)KG
 
〈この本の詳細〉


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