荒野の古本屋
[ 読書・出版・書店]
森岡督行/著
出版社名:小学館(小学館文庫 も27-1)
出版年月:2021年1月
ISBNコード:978-4-09-406861-0
税込価格:616円
頁数・縦:237p・15cm
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東京・銀座で、「1冊の本を売る」というコンセプトで書店、ギャラリー、スタジオを併設した「森岡書店」を経営する著者が、書店経営に至るまでの生き方と、その過程、その後に出会った人々について語る。古本屋とか写真集にかける熱い思いが伝わってくる。
本書に通底するテーマは「坑夫」である。大学卒業後に住んだ昭和レトロの中野ハウスに石炭置き場があったことをきっかに、「「坑夫」とのいくつかの出会いに思いをはせる。夏目漱石の小説や、子ども時代に収集した記念切手などだ。結局、古本屋という職業も、「坑夫」のように古書という深い鉱山を掘る仕事だ、という含意だろうか。
【目次】
1 「本」と「散歩」の日々
中野ハウス
古本を求めて神保町通い
予算は二〇〇〇円
ほか
2 「一誠堂書店」の日々
入社試験
配属は一階の売場
落丁調べとブラシ
ほか
3 「森岡書店」の日々
ここで古本屋をはじめたい
独立のスイッチ
買いつけはプラハとパリ
ほか
【著者】
森岡 督行 (モリオカ ヨシユキ)
1974年山形県生まれ。「一冊の本を売る書店」がテーマの株式会社森岡書店代表。
【抜書】
●一誠堂書店(p79)
一誠堂書店は明治36年創業。この店が母体となって、いまの神保町の礎が築かれた。『東西書肆街考』による。
東陽堂書店、八木書店、小宮山書店、山田書店、崇文荘書店、けやき書店などは、一誠堂書店から独立した店舗である。
独立した人物のなかでも特筆すべきは反町茂雄である。著書に平凡社『一古書肆の思い出』(全5巻)あり。一誠堂に入社したのは昭和2年。そのころは、社員全員が一誠堂の旧社屋に住んでいた。社員はみな好奇心旺盛で、「玉屑会(ぎょくせつかい)」という勉強会を組織し、仕事のあとも書誌学の知識を得たり、古書の評価について意見を交換していた。
(2021/5/24)NM
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