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会社がなくなる!
 [社会・政治・時事]

会社がなくなる! (講談社現代新書)
 
丹羽宇一郎/著
出版社名:講談社(講談社現代新書 2632)
出版年月:2021年9月
ISBNコード:978-4-06-524959-8
税込価格:924円
頁数・縦:204p・18cm
 
 「会社がなくなる」という漠然としたタイトルであるが、内容的には現状の日本を憂い、将来の日本の方向性を示す提言である。現在のような大企業を中心とした会社組織がなくなり、人々の働き方が変わる、という展望はごく一部。今後、世界に伍していくための日本の処方箋を示す、といった内容が主である。
 
【目次】
序章 すぐそこにある「コロナ以上の危機」―会社が成長し続けるために必要なこと
第1章 「SDGs」「ESG」の看板にだまされるな!―会社にとって大事なのは「中身」と「実行力」
第2章 GAFAも長くは続かない!―これから世界を支配するのは中小企業だ
第3章 いつまで上座・下座にこだわっているのか!―「タテ型組織」を変革して会社を新生せよ
第4章 アメリカと中国、真の覇権国はどっちか?―米中衝突時代に求められる日本企業の役割
終章 中小企業が世界を翔ける!―「信用・信頼」こそ日本の力
 
【著者】
丹羽 宇一郎 (ニワ ウイチロウ)
 元伊藤忠商事株式会社会長。元中華人民共和国特命全権大使。1939年、愛知県生まれ。名古屋大学法学部を卒業後、伊藤忠商事に入社。1998年、社長に就任。1999年、約4000億円の不良資産を一括処理し、翌年度の決算で同社史上最高益(当時)を記録。2004年、会長に就任。内閣府経済財政諮問会議議員、内閣府地方分権改革推進委員会委員長、日本郵政取締役、国際連合世界食糧計画(WFP)協会会長などを歴任し、2010年、民間出身では初の駐中国大使に就任。現在、公益社団法人日本中国友好協会会長、一般社団法人グローバルビジネス学会名誉会長、福井県立大学客員教授、伊藤忠商事名誉理事。著書多数。
 
【抜書】
●フリードマン(p40)
 ミルトン・フリードマン「企業の社会的責任は利益を増やすこと」(『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』、1970年)。
〔 要約すれば、企業の経営者は雇い主たる株主の代理人として、その利益に奉仕する責任以外は持たなくていい。企業に人種問題や環境保全などの社会的責任を求めるのは、経営者に政府と同様の働きを求めることだ。それは資本主義ではなく社会主義だ――そう主張しました。〕
 以後、「企業経営者の使命は株主利益の最優先と最大化」という経営理念が米国の資本主義の中核をなし、1980年代からは大幅な規制緩和と市場原理主義の重視を特徴とする「新自由主義」に基づく経営が世界を席巻する。
 
●新修正資本主義(p68)
〔 株価が最高値を付けるような経営を求める株主資本主義は、そのまま放置すれば資本主義そのものを破壊させるのではなか、と私は思います。
 これからの世界は資本主義の暴走を食い止める経済体制、資本主義と社会主義の長所を取り込んだ経済システム、いわゆる「新修正資本主義」が必要なのではないでしょうか。「社会主義」といういと、すぐさま旧ソ連や中国のような一党独裁による強権国家を思い浮かべる人がいるかもしれませんが、もちろんそうではなりません。
 ここでの社会主義は、個人主義的な自由主義経済に対して、より平等で公正な社会を目指す思想、運動、体制です。平たくいえば「自分のためだけではなく、社会全体のために、さまざまな意見に耳を傾け、議論を尽くし、権限と責任を明確にして決定する」という考えに基づく体制です。
 資本主義にもいろいろあり、社会主義にもいろいろあって、呼ぶ名前はどうでもいい。いずれにしても「これまでの資本主義では世界はもうやっていけない」ということは確かでしょう。〕
 
●三つの条件(p178)
 米中のはざまで日本が今後取るべき方向性。
 (1)日本が大国に影響しうる力(存在感)を持つこと。それは人間力。人としての信用・信頼。
 (2)相手について十分に理解すること。互いに理解し、絶えず顔を合わせていれば、相互信頼が生まれる。
 (3)他国と異なる最も重要な役割として、「戦争に近づかない」こと。
 
●衰退途上国(p186)
〔 人口は国力の源です。人口が急速に減りつつある日本は「先進国」ではなく、残念ながら「衰退途上国」と位置付ける人もいます。〕
 
●信頼(p198)
〔 日本人は信用・信頼を得るためのすぐれた国民性を持っていると思います。勤勉さ、やさしさ、モラルの高さは、他国に引けを取らない日本の強みです。〕
 
(2023/8/3)NM
 
〈この本の詳細〉


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