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ミャンマー現代史
 [社会・政治・時事]

ミャンマー現代史 (岩波新書)
 
中西嘉宏/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1939)
出版年月:2022年8月
ISBNコード:978-4-00-431939-9
税込価格:946円
頁数・縦:281, 17p・18cm
 
 2021年2月、ミャンマーで国軍によるクーデターが発生した。民主化に向かっていたミャンマーで、なぜ?
 本書は、軍事政権と民主化をめぐる、1988年以降のミャンマーの現代史を解説し、問題の所在を明らかにする。
 
【目次】
序章 ミャンマーをどう考えるか
第1章 民主化運動の挑戦(一九八八‐二〇一一)
第2章 軍事政権の強権と停滞(一九八八‐二〇一一)
第3章 独裁の終わり、予期せぬ改革(二〇一一‐一六)
第4章 だましだましの民主主義(二〇一六‐二一)
第5章 クーデターから混迷へ(二〇二一‐)
第6章 ミャンマー危機の国際政治(一九八八‐二〇二一)
終章 忘れられた紛争国になるのか
 
【著者】
中西 嘉宏 (ナカニシ ヨシヒロ)
 1977年生まれ。東北大学法学部卒業。京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科にて博士(地域研究)取得。日本貿易振興機構・アジア経済研究所研究員、京都大学東南アジア研究所准教授などを経て、現在、京都大学東南アジア地域研究研究所准教授。専攻、ミャンマー政治、東南アジア地域研究、比較政治学。
 
【抜書】
●ミャンマーの政治経済体制(p10)
  時代区分 ー 指導者 ー 指導原理/正統性 ー 政治体制 ー 経済体制 
 ① 政党政治の時代(1948-1962) ー ウー・ヌー ー 強い首相/民主主義 ー 議院内閣制 ー 市場経済
 ② 社会主義的軍事政権の時代(前期1962-1974) ネーウィン ー 独裁/ビルマ式社会主義 ー 軍事評議会 ー 計画経済
 ③ 社会主義的軍事政権の時代(後期1974-1988) ネーウィン ー 独裁/ビルマ式社会主義 ー 一党制/軍参加(民政移管) ー 計画経済
 ④ 直接軍事政権の時代(1988-2011) ー タンシュエ ー 独裁/国家の危機 ー 軍事評議会 ー 市場経済
 ⑤ 権力分有の時代(前期2011-2016) ー テインセイン ー 集団指導/規律と繁栄 ー 大統領制/軍参加(民政移管) ー 市場経済
 ⑥ 権力分有の時代(後期2016-2021) ー アウンサンスーチー ー 強い国家顧問/民主化 ー 変則大統領制/軍参加(選挙) ー 市場経済
 ⑦ 新たな直接軍事政権の時代(2021- ) ー ミンアウンフライン ー 独裁/2008年憲法護持と暫定政権 ー 軍事評議会 ー 市場経済
 
●1ペーの民主化(p134)
 1ペー……1フィート、約30cm。
 スーチー政権の発足により、道路工事のやり方が変わった。
 それまでは、計画された舗装道路の幅のうち、両脇1ペーは舗装しなかった。請求は計画された幅でなされるが、両脇1ペー分は支払われなったため。官僚によって着服されていた?
 
●国民統一政府(p180)
 国民統一政府(NUG)。オンライン上の政府。
 2021年2月1日、国軍のクーデターにより、アウンサンスーチーら、NLD(国民民主連盟)の幹部が拘束された。
 残されたNLDの議員たちは、4月16日、NUGを結成する。軍の政権掌握を否定し、自らを真の政権だと主張。
 トップは、拘束されたアウンサンスーチー。役職は国家顧問。同じく拘束されたウィンミン大統領も、そのままNUGの大統領に就任。
 実質的な最高責任者は、NUG副大統領に就任したドゥワ・ライラ。NLDの党員ではなく、カチン州やシャン州で長年にわたり慈善活動や文化活動に従事してきたカチン人の社会指導者。首相には、NLDの元議員で上院議長でもあった、カイン人のマンウィンカインタンが就任。
 
●人民防衛軍(p194)
 2021年5月、NUGは、人民防衛軍(PDF)という軍事部門を結成。
 カレン民族同盟(KNU)とカチン独立機構(KIO)が、PDFの若者たちに軍事訓練を実施、武器の入手を支援。
 
(2022/11/14)NM
 
〈この本の詳細〉


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