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小沢でなければ日本は滅ぶ 「政治の悪霊」と戦い続ける男
 [社会・政治・時事]

小沢でなければ日本は滅ぶ 「政治の悪霊」と戦い続ける男

平野貞夫/著
出版社名 : イースト・プレス
出版年月 : 2012年11月
ISBNコード : 978-4-7816-0873-0
税込価格 : 1,575円
頁数・縦 : 319p・20cm

 
■小沢一郎は吉田松陰になれ?
 小沢一郎の知恵袋といわれた男による、小沢一郎論である。マスコミで目にする「小沢一郎」とは異なる、おそらく素に近い小沢一郎の姿が描かれている。海部政権時の自民党幹事長時代から、民主党離党までの小沢一郎の「ブレない」政治姿勢を強調する。そして、豪腕政治家と評される面とは異なる、繊細で人情味豊かで控えめな真の小沢一郎の姿を見せてくれる。
 小沢一郎が目指しているのは、「21世紀の人間のための健全な資本主義」であり、「日本型共生資本主義社会」である。これは、まさに政権交代時に民主党が掲げたマニフェスト、「国民の生活が第一」の根幹をなす思想である。しかし、この主張は結局のところ受け入れられなかった。潰したのは、既得権益を守ろうとする政界、財界、マスコミなどの支配層であり、小沢を排除しようと躍起になった民主党主流派である。この点は、さまざまな人が書いていることと共通する見方だ。
 小沢一郎もすでに70歳を超えた。彼の目指す21世紀型の新国家を実現するには時間が足りない。民主党時代に2回、総理大臣になるチャンスがあったが、実現しなかったのが残念でならない。この先、残された道は、「小沢一郎国家観」を共有し、リーダーシップを発揮できる後進を育てることではないだろうか。松下村塾ならぬ「小下村塾」を興してもらいたいものだ。

【目次】
序章 されど小沢一郎は決して死なず
 小沢一郎の離党・新党結成の真相
 民主党の堕落
  ほか
第1章 いま語る五五年体制崩壊の「真実」
 政治改革と経世会の騒動
 金まみれの五五年体制の「裏側」
  ほか
第2章 「政界再編」、知られざる舞台裏
 国民に意識改革を求めた『日本改造計画』
 想定外の自民党分裂、新生党結成
  ほか
第3章 小沢一郎と私、その原点
 衆議院事務局という世界
 イメージとまるで違った「国会の仕事」
  ほか
第4章 新進党、そして自由党へと至るイバラ道
 村山首相のサプライズ辞任と「住専国会」
 「日本版ペコラ委員会」で梯子を外された小沢一郎
  ほか
第5章 民主党、その栄枯盛衰のすべて
 民自合流への紆余曲折
 「小沢代表」就任が潰えた理由
  ほか

【著者】
平野 貞夫 (ヒラノ サダオ)
 1935年、高知県出身。法政大学大学院社会科学研究科政治学専攻修士課程修了。衆議院事務局に入局。30歳で園田直・衆院副議長の秘書に抜擢され、その後も前尾繁三郎・衆院議長の秘書や委員部長を歴任。ロッキード事件後の政治倫理制度や、政治改革の実現をめぐって当時衆院議院運営委員長だった小沢一郎を補佐し、政策立案や国会運営の面から黒子役として彼を支える。92年、衆院事務局を退職して参議院議員に当選。以降自由民主党、新生党、新進党、自由党、民主党と一貫して小沢と行動をともにし、「小沢の知恵袋」「懐刀」と称された。有限会社土佐南学会代表、日本一新の会代表。

【抜書】
●意識改革(p2)
〔 なぜ、日本の支配層はこうまで小沢さんを排除しようとするのか。それは彼が、「いまや時代は変わった。日本型民主主義では内外の変化に対応できなくなった」「真に自由で民主的な社会を形成し、国家として自立するには、個人の自立をはからなければならない」(『日本改造計画』講談社)と主張し、国民の“意識改革”を訴えたことが原因である。〕

●日本型共生資本主義社会(p15)
 民主党のマニフェスト「国民の生活が第一」。
〔 平成一九年の参議院選挙の直前、小沢さんは私に、
「混迷する資本主義に対応しうる、日本でのセーフティーネットを早急につくる必要がある。同時に国民の生活を向上させ消費を増進させ、経済を活性化させるのが基本政策だ。財源はこれまでの予算の総点検と制度の入れ替えで捻出できる」
 と語っていた。そして、「これをスタートに、早い機会に健全な日本型共生資本主義社会をつくりたい」と熱弁をふるっていたことを思い出す。
 彼のこの発言の根底には、「基礎的社会保障は国が責任を持つ」「地球環境保全を市場経済原理に優先させる」「国連を改革して国際社会の安全保障を確立する」という国家観がある。これは、自由党時代の小沢さんが掲げていた「日本一新新十一基本法案」から変わっていない。小沢一郎という男の“ブレなさ”がよくわかるというものだ。〕

●脱原発、消費税(p23)
〔 問題は、民主党から離脱して「国民の生活が第一」を結成した人たちが、野田政権を非難し、首相官邸を取り囲んだ二〇万人デモの受け皿になることができるかどうかだ。「消費税反対」「脱原発」「生命と暮らしを守る政治を」という民衆の願いを実現することが、小沢一郎の使命である。
 新党結成に先立つ六月九日(引用者注:2012年)、小沢さんは宇都宮で、
「消費税、原発放射能の問題が国民的、世界的なテーマだ。文明のもたらした結果も国民生活のためでなければならない」
 と述べている。この小沢さんの見識をどれだけの国会議員が理解しているだろうか。
 私は、消費税と原発・放射能問題を世界的なテーマとして捉え、文明の課題と論じるところに、小沢一郎という政治家の凄さがあると考えている。大半の人は、消費税と原発・放射能は別々の問題だと考える。この問題に共通する本質を理解できない政治家や有識者が闊歩していることが、今日のわが国の劣化の原因といえる。
「消費税」と「原発・放射能問題」の本質に共通するのは、「国民の生活」の危機に関わるテーマであること、さらに進めていえば「人間の生命」に関わる課題であるということである。こういう捉え方をしなくては、問題の本質的解決にならない。つまり、先に述べた「二〇世紀の崩壊した資本主義」をどのように改革して、「二一世紀の人間のための健全な資本主義」を創造するかということになる。〕

(2013/5/24)KG

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