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君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手
 [スポーツ]

君は山口高志を見たか 伝説の剛速球投手

鎮勝也/著
出版社名 : 講談社
出版年月 : 2014年10月
ISBNコード : 978-4-06-219260-6
税込価格 : 1,620円
頁数・縦 : 269p・20cm
 
 
■もっと見たかった
 広島カープがセリーグで初優勝し、私のプロ野球に対する関心がもっとも高かったころ、その男は彗星のように現れ、そして彗星のように消えていった。強烈なインパクトとともに。
 山口高志、1950年5月15日、兵庫県神戸市長田区宮川町生まれ。身長169cmの小柄ながら、時速160kmを超えていただろうと言われるほどの剛速球を投げ込んだ(当時、スピードガンは普及していなかった)。直球一本やりで常に真っ向勝負、歴代最速の呼び声高い名投手である。
 プロ8年間で、投球回数787回、自責点278、防御率3.18、奪三振600、50勝43敗44セーブだった。そのほとんど、47勝35セーブを、引退の原因となった腰痛を発症する前の4年間で稼いでいる。太く短く……。はかない栄光であった、と思う。しかし、その後も阪急/オリックスのコーチやスカウトとして、そして、65歳となった現在も阪神タイガースの投手コーチとして球界に籍を置いている。短かった現役を引退した後も、野球一筋の人生を全うしていると言ってよいだろう。
 1995年にヤクルトからオリックスに移籍し、50登板でリーグ制覇に貢献したリリーフ投手の鈴木平はこう語る。
 「みんな楽しいブルペンを失いたくなかった。だから頑張ったんです」(p.237)
 ブルペン担当の投手コーチとして、選手から慕われていた様子が伺えるエピソードだ。
 大学時代には、野手のトンネルに対して「俺がバットに当てさせたのが悪かった」と言い放ち、エラーを責めることはなかったという。現役時代も、仲間や監督から信頼されていた。
 阪神でスカウトやっていた時の同僚、菊地敏幸は評する。
 「タカシとは同じ五〇年生まれだけど、早生まれで二ヵ月だけ先輩の自分を立ててくれる。スーパースターは普通何か欠けているところがあるが、あいつはいつも自然体だった」(p.255)
 こんな「スーパースター」がいたんだ! 伝説の名投手、山口高志の偉業とすばらしい人間性を知ることのできる1冊である。

【目次】
1 衝撃
2 プロ入り拒否
3 誕生
4 葛藤
5 プロの壁
6 最盛期
7 阪急の悲願
8 引退
9 継承

【著者】
鎮 勝也 (シズメ カツヤ)
 1966年(昭和41)年生まれ。大阪府吹田市出身。スポーツライター。大阪府立摂津高校、立命館大学産業社会学部を卒業。デイリースポーツ、スポーツニッポン新聞社で整理、取材記者を経験する。スポーツ紙記者時代は主にアマ、プロ野球とラグビーを担当。野球は久保康生、薮恵壹、山田正雄各氏、ラグビーは坂田好弘氏に師事する。

【抜書】
●トンネル(p65)
 関西大学時代の達摩(だるま)省一監督の弁。「タカシがわしにかみついたことは一切あらへん。バックがスカタン(エラー)しても顔に出さん。野手のトンネルに『俺がバットに当てさせたのが悪かった』と言うとった。そんなセリフ、今まで聞いたことがない。みんなが信頼しとった。すごい奴やった」

(2015/7/12)KG

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