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世界のすごいお葬式
 [哲学・心理・宗教]

世界のすごいお葬式
 
ケイトリン・ドーティ/著 池田真紀子/訳
出版社名:新潮社
出版年月:2019年2月
ISBNコード:978-4-10-507091-5
税込価格:1,836円
頁数・縦:238p・20cm
 
 
 世界中の様々な葬儀、死者に関する祭りの様子をレポート。死と葬送に関して考察する。
 
【目次】
アメリカ・コロラド州クレストン―住民参加の野外火葬
インドネシア・南スラウェシ―トラジャ族、秘境の水牛とミイラ
メキシコ・ミチョアカン―ガイコツと花の祝祭の陰に
アメリカ・ノースカロライナ州カロウィー―死体で肥料を作る研究
スペイン・バルセロナ―地中海の陽光あふれる葬儀社
日本・東京―高齢化と仏教とテクノロジー
ボリビア・ラパス―頭蓋骨が取り持つ信者と神のあいだ
アメリカ・カリフォルニア州ジョシュアツリー―理想の死に方、葬られ方
 
【著者】
ドーティ,ケイトリン (Doughty, Caitlin)
 1984年米ハワイ州オアフ島生まれ。ロサンゼルス在住。シカゴ大学で中世史を学び、卒業後、サンフランシスコの葬儀社に就職した。サイプレス・カレッジ葬儀学校にて「葬儀ディレクター」の資格を取得し、複数の葬儀社を経た後、土葬、火葬、直葬、自然葬など多様な、故人や遺族の希望に沿った葬儀を実現する葬儀会社「アンダーテイキングLA」を2015年に設立した。
 
池田 真紀子 (イケダ マキコ)
 1966年東京生まれ。上智大学卒業。
 
【抜書】
●2017年(p32)
 米国で初めて「近代的で科学的な」火葬が実施されたのは1876年12月。オーストリア生まれの没落貴族、ジョセフ・ヘンリー・ルイス・チャールズ・デ・パーム男爵。
 2017年、米国では火葬件数が土葬を上回った。
 
●葬儀費用(p43)
 米国で葬儀にかかる費用は、平均8,000~1万ドル。墓地の使用権購入や管理費は含まれない。
 クレストン・エンド・オブ・ライフ・プロジェクトの野外火葬は、名目上の「謝礼」の500ドルのみ。薪代、消防車の待機費用、ストレッチャー、土地使用代がすべて賄われる。
 
●アルクトドロ教(p50)
 インドネシアのスラウェシュ島のタナトラジャの辺鄙な山間地帯に住むトラジャ族は、1900年代初頭にオランダ人がキリスト教を持ち込むまで、アルクトドロ教(祖先の教え)という土着のアニミズムを信仰していた。
 
●マネネ(p67)
 トラジャ族の祭り(?)。
 遺族が死んだ家族のミイラを墓から取り出し、「一緒に過ごす」。刷毛で遺体についた汚れを落としたり、着替えをさせたりもする。
 
●死者の日のパレード(p79)
 死者の日のパレード(ディア・デ・ロス・ムエルトス)。メキシコシティで年1回行われる。
 007シリーズ『007 スペクター』(2015年公開)の冒頭で、パレードのさなか、タキシード姿に骸骨の仮面をつけたジェームズ・ボンドが、仮面をつけた女性の手を引き、パレードの雑踏を抜けてホテルに入るシーンがある。
 しかし、パレードは架空のものだった。メキシコ政府が、映画のヒットを受け、1,200人のボランティアを集め、準備に1年間をかけて4時間のパレードを再現した。
 「死者の日」とは、元来、12月1日、2日に家に帰ってくるとされる先祖を、生前の好物を用意してにぎやかに出迎えようという趣旨の行事。家族ごとに行われるごく内輪のお祭り。
 
●鯨骨生物群集(p105)
 カリフォルニア沿岸から数十キロの沖合で死んだコククジラは、通常、最初は海面近くを漂う。体の内部で筋肉などの組織やタンパク質が腐敗し、内臓は液化する。ガスもたまっていく。脂肪がたっぷりついた外皮をガスが膨らませ、風船のようになる。ガスは少しずつ抜けていき、風船はしぼみ、死骸は、海底目指してゆっくりと沈んでいく。
 太陽光が届かない漸深層と呼ばれる深さの海底にたどり着いたコククジラの死骸は、死骸を中心とした閉鎖生態系を作り出す。
 鯨骨生物群集。まず、深海のオンデンザメ、ヌタウナギ、カニ類、ギンザメ、等が、1日に最大60kgほどの腐肉を消費する。
 骨だけになると、軟体動物や甲殻類が棲みつき、海洋虫(オセダックス)が骨に潜り込んで内部の油や脂肪を食べる。
 鯨骨生物群集で見つかる硫黄還元細菌は、深海の熱水噴出孔で見つかるものと酷似している。
 
●FOREST(p111)
 ウェスタンカロライナ大学法医骨学研究所(FOREST)……人間の死体を野外に放置し、腐敗の過程を観察して、法医学研究や警察機関の研修に役立てている施設。
 FORESTでは、人間の死体の堆肥化の実験にも協力している。
 リコンポジション……分解生成。死体の堆肥化。
 
●水銀アマルガム(p135)
 歯科治療に使われる水銀アマルガムに含まれる毒物が、火葬によって大気中に排出される。
 死体の堆肥化の研究では、水銀アマルガムの詰め物が堆肥化の過程でどのように変化するかの研究も行われている。
 
●ナティタス(p186)
 ナティタス……ボリビアで信仰されている、生者と死者とを取り持つ特殊な能力をもった頭蓋骨。「ぺしゃ鼻ちゃん」「ちっちゃなパグ鼻くん」といった意味。
 家に保管し、必要な時にお伺いを立てる。
 
(2019/5/25)KG
 
〈この本の詳細〉


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