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離婚の経済学 愛と別れの論理
 [社会・政治・時事]

離婚の経済学 愛と別れの論理 (講談社現代新書)  
橘木俊詔/著 迫田さやか/著
出版社名:講談社(講談社現代新書 2570)
出版年月:2020年4月
ISBNコード:978-4-06-519151-4
税込価格:990円
頁数・縦:235p・18cm
 
 経済学や社会学の分野の離婚に関する書籍・論文などを参照し、学術的に離婚を分析する。
 「経済学」とうたっているが、正面切って「離婚の経済」を論じるのではなく、社会学的考察の比重が高いことに物足りなさを感じた。「あとがき」でも、「離婚がなぜこれほどまでに増加したかを明らかにし、かつ離婚したことで生じる生活の変化や心の問題について論じた。」(p.233)とある。経済中心に論じられなかった言い訳だろうか。
 おそらく、離婚の経済学的な研究というものがほとんど存在していないことの表れでもあるのだろう。離婚は主に心の問題なので、経済学的に分析した結果が出たとして、だからどうなの? という感想になりがちである。多分、そんな結果を知ったとして、何の解決にも、教訓にもならないだろう。だから研究する意義もない?
 
【目次】
プロローグ なぜ離婚を論じるか
第1章 年齢別離婚率から言えること
第2章 臨婚の国際比較
第3章 歴史から離婚を読み解く
第4章 不倫――「存在の耐えられない軽さ」か
第5章 なぜ女性から言い出すのか
第6章 養育費は払えないのか、払いたくないのか
第7章 働けど働けど我が暮らし楽にならず
第8章 離婚と幸福度――もう一度結婚したいですか?
エピローグ 離婚から見た現代日本
 
【著者】
橘木 俊詔 (タチバナキ トシアキ)
1943(昭和18)年、兵庫県生まれ。67年、小樽商科大学商学部卒業。69年、大阪大学大学院修士課程修了。73年、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了(Ph. D.)。京都大学経済研究所助教授。86年、同大学同研究所教授。2003年、同大学経済学研究科教授。この間、INEEE、OECD、大阪大学、スタンフォード大学、エセックス大学、London School of Economicsなどで教職と研究職を歴任。07年、同志社大学経済学部教授。元日本経済学会会長。現在は京都女子大学客員教授。
 
迫田 さやか (サコダ サヤカ)
 1986(昭和61)年、広島県生まれ。2009年、同志社大学経済学部卒業。11年、同大学経済学研究科博士前期課程修了。同後期課程退学。博士(経済学)。フランス国立社会科学高等研究所(EHESS)客員研究員や京都大学・同志社大学勤務などを経て、現在、日本学術振興会特別研究員(京都大学)。
 
【抜書】
●PACS(p60)
 フランスでは、1999年に民法を改定、PACS(Pacte Civil de solidarité: 民事連帯契約)という制度を定めた。
 異性ないし同性がカップルとなり、税や社会保険に関して夫婦なみの権利を享受できる制度。婚姻よりも規制が弱い。片方の申し出だけでカップル関係の解消ができる。
 2008年に、PACSの申請が14万6,030件、婚姻件数が約25万9千件だった。
 PACSの平均継続期間は33か月。その後、婚姻に至るのは38%(2011年)。
 サムボ……スウェーデンの制度。1988年施行。同棲にあるカップルにも、法律婚とほぼ同様の権利と保護を与える制度。サムボ後に法律婚に至るカップルは90%前後。サムボ解消後、子供の養育権は自動的に母親に与えられる(父親に養育費支払いの義務)。法律婚では、父母共同で養育権を持てる。
 
●養育費(p150)
 米国では、養育「義務者」(子を監護していない親)の捜索、養育費の天引きなどが、公約制度として行われている。
 日本には、養育費を一律に徴収する制度はない。
 
●ダグラス=有沢の第二法則(p162)
 夫の所得が高ければ妻は働かず、夫の所得が低ければ妻は働く、という法則。
 
(2020/10/11)KG
 
〈この本の詳細〉


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