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見えない絶景 深海底巨大地形
 [自然科学]

見えない絶景 深海底巨大地形 (ブルーバックス)
 
藤岡換太郎/著
出版社名:講談社(ブルーバックス B-2116)
出版年月:2020年5月
ISBNコード:978-4-06-517904-8
税込価格:1,100円
頁数・縦:254p・18cm
 
 深海底の巨大地形を、潜水艇「ヴァーチャル・ブルー」に乗ってめぐる、仮想の世界一周「海底2万里」の旅。
 タイトルどおり、海溝、深海大平原、海嶺、海台などの海底巨大地形の生成がテーマなのだが、抜き書きでは地球の成り立ちにばかり興味がいったようだ。ブルーバックスの1冊ということもあり、平易で分かりやすい解説だった。
 
【目次】
第1章 深海底世界一周
 世界一周のロードマップ
 日本海溝
 深海大平原
 シャツキー海台
 ハワイ諸島ホットスポット
 巨大断裂帯
 東太平洋海膨
 チリ海溝
 大西洋中央海嶺
 中央インド洋海嶺
 坂東深海盆
第2章 深海底巨大地形の謎に挑む
 巨大地形はなぜ深海底に多いのか
 海溝はなぜ太平洋に多いのか
  ほか
第3章 プレートテクトニクスのはじまり
 プレートテクトニクスはいかにして始まったのか
 マグマオーシャン仮説の登場
  ほか
第4章 冥王代の物語
 元素ができるまで
 鉱物ができるまで
  ほか
終章 深海底と宇宙
 深海底に巨大地形ができるまで
 「斉一説」と「天変地異説」
  ほか
 
【著者】
藤岡 換太郎 (フジオカ カンタロウ)
 1946年京都市生まれ。東京大学理学系大学院修士課程修了。理学博士。専門は地球科学。東京大学海洋研究所助手、海洋科学技術センター深海研究部研究主幹、グローバルオーシャンディベロップメント観測研究部部長、海洋研究開発機構特任上席研究員を歴任。現在は神奈川大学などで非常勤講師。「しんかい6500」に51回乗船し、太平洋、大西洋、インド洋の三大洋初潜航を達成。海底地形名小委員会における長年の功績から2012年に海上保安庁長官表彰。
 
【抜書】
●地殻、マントル、核(p55)
 モホロビチッチ不連続面……地下70km。地殻とマントルの境界。
 グーテンベルク不連続面……地下2,900km付近。マントルと核の境界。
 レーマン不連続面……地下5,100km付近。外核と内核の境界。
 外核のみ流体。
 
●スケーリーフット(p126)
 日本名ウロコフネタマガイ。
 鉄と硫黄からなる硫化鉄を「鎧」のように身にまとった巻貝。蓋がなく、敵に襲われたときには硫化鉄の鱗でびっしり覆われた足をすぼめ、殻の外側に向けて身を守る。
 2001年、アメリカの研究チームが、インド洋のロドリゲス海嶺三重点にある熱水噴出域で発見。ここでしか見つかっていない。
 
●コマチアイト(p183)
 表面に木の枝か草のような紋様(正体は橄欖石の強大な結晶)があるので、日本では竹葉石(ちくようせき)とも呼ばれる。
 南アフリカのバーバートン緑色岩帯を流れるコマチ川に沿って露出するコマチ層という地層で見つかった。ここは、40億年ほども前の古い地質帯。
 二酸化ケイ素の割合がかなり小さい(45%以下)、超塩基性岩。火山岩のなかで、玄武岩(塩基性岩に分類)よりも二酸化ケイ素が少ない。マグネシウムや鉄に富んでいるので、超苦鉄質岩とも言われる。
 玄武岩の融点は約1,200℃。コマチアイトは1,650℃。
 冥王代の地層からよく見つかる。当時のマグマオーシャンにて、マグマの温度が少し冷えたとき、真っ先に結晶化して地表に出てきたと考えられる。
 
●鉄、マグネシウム(p205)
 太陽系で最も多い元素は、水素、ヘリウムで、99%に達する。酸素は3番目、ケイ素は8番目。
 地球では、鉄、酸素、ケイ素、マグネシウムの順。
 原始太陽ができたころ、引力に引き寄せられた塵などが集まって原始太陽の周りを回っていた。密度の小さい物質ほど、遠くに分布していた。その後、少しずつ集まって惑星となる。
 地球型惑星(水星、金星、地球、火星)は、比較的重い物質からなる。
 木星型惑星(木星、土星)は、水素やヘリウムなどの軽いガスからできている。
 巨大氷惑星(天王星、海王星)は、メタンを含む氷からできている。
 鉱物で作られている地球型惑星のなかでも、地球にはバラエティ豊かな岩石を作り出している。
 
●隕石重爆撃期(p216)
 46億年前以降、地球が火星ぐらいの大きさにまで成長すると、その引力で周辺にあった微惑星を引き付けるようになった。隕石の落下。地球に数えきれないほどの隕石が衝突したこの時期を、「隕石重爆撃期」と呼ぶ。
 ものが衝突すると熱が発生する。
 隕石の衝突によってサイズが大きくなると、自重によって収縮する。
 収縮することでさらに熱が発生し、地球の表面はマグマで覆いつくされた。マグマオーシャン。
 マグマオーシャンこそ、地球で最初の海だった?
 
●月の誕生(p224)
 (1)兄弟説……地球と同様なプロセスで月ができた。
 (2)親子説……地球の一部が飛び出して月になった。
 (3)捕獲説……ほかの場所にあった天体が地球に捕獲された。
 (4)ジャイアント・インパクト説……地球に巨大な天体が衝突してできた。
 現在では、(4)がほとんど定説となっている。
 45億3,000万年前ころ、地球に「テイア」と呼ばれる巨大な天体が衝突した。テイアは、月の女神セレネの母の名前(ギリシャ神話)。テイアの直径は7,000km、火星と同じくらいだった。
 テイアと地球は融合した。その時の破片がまとまって月となった。そのため、月の組成がマントルに似ている。
 そのころから、地球には核ができていたので、表層にあった軽いマントルのみが飛び散った。月には核がほとんどない。
 
(2020/10/17)KG
 
〈この本の詳細〉


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