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ヒッタイトに魅せられて 考古学者に漫画家が質問!!
 [歴史・地理・民俗]

ヒッタイトに魅せられて: 考古学者に漫画家が質問!!
 
大村幸弘/著 篠原千絵/著
出版社名:山川出版社
出版年月:2022年11月
ISBNコード:978-4-634-15190-1
税込価格:1,980円
頁数・縦:285p・21cm
 
 古代オリエントに勃興したヒッタイト帝国の魅力と発掘調査の醍醐味について、考古学者と漫画家が対談形式で語る。
 
【目次】
1章 考古学青年、アナトリアの大地へ“立志編”
2章 大村博士、カマン・カレホユック遺跡を掘る“奮闘編”
3章 「文化編年の構築」と地域にやさしい考古学“開拓者編”
4章 ヒッタイト帝国の謎にせまる!“前編”
5章 ヒッタイト帝国の謎にせまる!“後編”
6章 「鉄」を生み出したのはだれ?ヒッタイトと鉄の謎にせまる
7章 ヒッタイトよりも謎に包まれた幻の王国 ミタンニにせまる!
 
【著者】
大村 幸弘 (オオムラ サチヒロ)
 岩手県生まれ。1972年以来、トルコ各地の発掘調査に参加、現在、アナトリア考古学研究所所長。著書・訳書に『鉄を生みだした帝国―ヒッタイト発掘』(講談社ノンフィクション賞受賞)、『アナトリア発掘記―カマン・カレホユック遺跡の二十年』、『ヒッタイト王国の発見』、『トロイアの真実―アナトリアの発掘現場からシュリーマンの実像を踏査する』など。
 
篠原 千絵 (シノハラ チエ)
 神奈川県生まれ。1981年に『赤い伝説』で漫画家としてデビュー。『闇のパープル・アイ』、『天は赤い河のほとり』で小学館漫画賞受賞。
 
【抜書】
●カマン・カレホユック(p66)
 アンカラの南東100kmの小都市カマンのはずれにある、人口1,000人足らずのチャウルカン村の北約1.5kmにある円形の遺丘。直径280m、高さ16m。クズルウルマック河に囲まれた、ヒッタイト古王国の範囲内にある。
 カレ=城壁、ホユック=遺丘。
 中近東文化センター附属アナトリア考古学研究所にて、1985年から発掘調査を行っている。
 
●へテ人(p144)
 へてびと。ヒッタイトの人々のこと。旧約聖書に出てくる。
 
●ボアズキョイ文書(p145)
 20世紀初頭、ドイツの言語学者ヴィンクラーが、アンカラの東約150kmにあるボアズキョイという村の遺跡で発見した膨大な数の粘土板。そこがヒッタイト帝国の首都ハットゥシャ(ハットゥサ)であったことが判明。
 
●キュルテペ文書(p155)
 かつてはカッパドキア文書と呼ばれていた。
 アッシリア商人の居留区の中心であったキュルテペのカールムから出土した文書。彼らの活動、歴史を知ることができる。
 カールム……アッシリア人の商業居留地。(p150)
 
●シュッピルリウマ1世(p159)
 在位BC1380-1346年。ヒッタイトを一王国からエジプト王国と比肩する大帝国の地位にまで引き上げた。
 カルケミシュで、エジプトのアンケセナーメン妃(ツタンカーメンと死別)から、ヒッタイト王の息子を夫として迎えたいという申し出を受ける。シュッピルリウマはエジプトに息子ザナンザを送ったが、途次に暗殺されてしまう。
 
●カデシュの戦い(p166)
 ヒッタイト帝国とエジプト王国(ラムセス2世)の戦争。シリアをめぐってBC1274年頃に勃発。ラムセス2世と、ムワタリ2世の弟にあたるハットゥシリ3世との間で結ばれた和平条約(BC1259年)によって終結。
 文献に残る、世界史上最古の大国同士の戦争。
 
●パンクス、タワナンナ(p174)
 ヒッタイト帝国において、王族で構成される「元老院」。
 国家としての決断が、パンクスとタバルナ(王)、タワナンナ(王妃)の承認があって可決される仕組みとなっている。
 ヒッタイトでは、議会と王妃というポジションが、政治システムのなかにしっかり存在していた。
 
●賠償(p182)
 古代オリエント世界には、ハンムラビ法典に見られるような「目には目を、歯には歯を」という考え方が広がっている。
 しかし、ヒッタイトでは「賠償による償い」が基本。
 
●古ドイツ語(p182)
 ヒッタイト民族は印欧語族。古ドイツ語とも結びつきがある。
 
●ギリシャ、ローマ(p189)
 ヒッタイト帝国が滅亡した時期、BC12世紀頃にエーゲ海周辺に古代ギリシャの都市国家ポリスが形成され始める。ヒッタイトの文化的影響がその後のギリシャ文明に引き継がれ、ローマ、ヨーロッパへと流れていった。
 
●ホルス(p197)
 オルタキョイ遺跡(中央アナトリア北部のチョルム県)で、エジプト新王国の装身具類や、青銅製板をくり抜いてかたどったホルスが見つかっている。
 ホルス……鷹の姿をした古代エジプトの男神。原語は「遠くにあるもの」を意味し、天空神、太陽神として崇拝を集めた。その両目は太陽と耳とみなされ、「ホルスの瞳」を表した護符も用いられた。(注より)
 
【ツッコミ処】
・カデシュの戦い(p166)
 篠原〔ムルシリ二世の息子がムワタリ二世(在位前一三一五~一二八二頃)として王位を継承しますが、ムワタリ二世の時代の出来事といったら、なんといってもエジプトとの間に起こった「カデシュの戦い」でしょうか。〕
 大村〔シリアをめぐって前一二七四年頃にカデシュ(シリア)で勃発したのが「カデシュの戦い」で、文献に残るものとしては世界史上、最古の大国同士の戦争といわれています。〕
  ↓
 BC1274年は、すでにムワタリ2世の後の世になっている? 篠原さんの勘違いか。
 
(2023/5/22)NM
 
〈この本の詳細〉


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