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校閲至極
 [ 読書・出版・書店]

校閲至極   
毎日新聞校閲センター/著
出版社名:毎日新聞出版
出版年月:2023年8月
ISBNコード:978-4-620-32787-7
税込価格:1,760円
頁数・縦:253p・19cm
 
 新聞校閲の現場で直面した問題を、校閲記者が解き明かしたエッセー集。『サンデー毎日』連載コラム「校閲至極」(2018年6月10日発行号より)を書籍化した。
 校閲とは、文字の間違いや言葉遣いを正すだけではなく、事実確認も重要な仕事の一つ。映画「男はつらいよ」シリーズの内容までチェックしなければならない! 新潟の駅で寅さんに行き先を聞かれ、「東京」と答えたのは男の子だったのか、女の子だったのか?(p.235)
 
【目次】
第1章 校閲って何?
第2章 同音の語があふれている
第3章 カタカナ語の落とし穴
第4章 「いかにもありそう」が命取り
第5章 問題は言い回しにあり!?
第6章 辞書の中の奥深い世界
第7章 ところ変われば…
第8章 名前は唯一無二のもの
第9章 確認は文字だけ?いえ無限です
 
【著者】
毎日新聞校閲センター
 2023年現在、東京本社に東京グループ、大阪本社に大阪グループと分かれ、新聞校閲作業を分担している。校閲部→編集総センター校閲グループ→校閲センターと名称変更を経たが、その間、紙面やウェブサイト「毎日ことば」(現・毎日ことばplus)、雑誌など多様な媒体で情報を発信。ツイッターのフォロワーは11万を超える(2023年7月現在)。著書に『新聞に見る日本語の大疑問』(東京書籍)、『読めば読むほど』(同)、『校閲記者の目 あらゆるミスを見逃さないプロの技術』(毎日新聞出版)。2023年に始めたオンライン講座「校閲力講座」も好評。
 
【抜書】
●品川駅(p110、新野信)
 「鉄道の日」は10月14日。鉄道の開業日1872年(明治5年)9月12日が新暦の10月14日にあたることから。
 しかし、先に工事が完了していた品川と横浜の間で仮開業して運行を始めたのは1872年5月7日(新暦では6月12日)。
 鉄道が開通した当時、新橋駅は現在の汐留シオサイトあたりにあった。横浜駅は、現在は桜木町駅と名前を変えている。
 品川駅は、当時とほぼ変わらない場所にあり、名前も変わっていない。つまり、品川駅は日本最古の駅と言える。
 品川駅の所在地は、品川区ではなく港区。駅名の由来は東海道の宿場「品川宿」だが、駅の所在地は品川宿より北になる。当初は品川宿に駅を設けることも考えられていたが、駅ができると宿場が廃れるとの反対意見が強く、いまは港区である高輪になった。鉄道開設の計画時には、高輪は「品川県」だった。
 所在地が駅名と異なる自治体になっている駅……目黒駅(品川区)、南新宿駅(渋谷区)、下板橋駅(豊島区)、厚木駅(神奈川県海老名市)、四条畷駅(大阪府大東市)。JR新宿駅は、所在地は新宿だが、駅構内は新宿区と渋谷区にまたがっている。南口側にあるバスタ新宿や新宿高島屋の所在地は渋谷区千駄ヶ谷。
 
●障害(p140、水上由布)
 障がい者、障碍者、障害者などと書かれるが、本来は「障碍」。常用漢字外なので書き替えられた。
 「障害」の真の意味は、動かない足や見えない目ではなく、車椅子では移動できない建物や、見えない目では危険なホームのほう。「障害者」とは、「身の回りに障害の多い人」なのである。
 
●字解き(p215、平山泉)
 類似した文字の違いを言葉で説明すること。
 熊「動物のクマ」、萌「くさかんむりに明るい」、竹「バンブーのたけ」、など。
 
(2023/12/14)NM
 
〈この本の詳細〉

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ネコはここまで考えている 動物心理学から読み解く心の進化
 [自然科学]

ネコはここまで考えている:動物心理学から読み解く心の進化
 
髙木佐保/著
出版社名:慶應義塾大学出版会
出版年月:2022年9月
ISBNコード:978-4-7664-2843-8
税込価格:2,200円
頁数・縦:116, 60p・20cm
 
 さまざまな動物心理学的実験を通して、猫の知性について分析する。
 
【目次】
第1章 動物はどのように考えるのか
 考えるのに言葉はいらない
 動物の思考研究3つの推論能力
  ほか
第2章 ネコはどこまで物理法則を理解しているのか
 動物はどのように“物理的に考える”のか
 ネコは本当に物理的な推論が苦手なのか
  ほか
第3章 ネコは“声”から“顔”を思い浮かべるのか
 ヒトと動物のクロスモーダルな推論能力
 ネコは“声”からあなたの“顔”を思い浮かべるのか
  ほか
第4章 ネコは“どこに”“何が”を思い出せるのか
 動物はどのように記憶するのか
 動物の“記憶”を探る方法
  ほか
終章 ネコの思考能力はどのように進化したのか
 ネコ研究の最前線
 ネコの思考能力はなぜ進化したのか
  ほか
 
【著者】髙木 佐保 (タカギ サホ)
 ネコ心理学者。日本学術振興会特別研究員(RPD)、麻布大学特別研究員。1991年生。2013年同志社大学心理学部卒業。2018年京都大学大学院文学研究科行動文化学専攻心理学専修博士課程修了。博士(文学)。本書の一部を成す業績により2017年度京都大学総長賞を受賞。
 
【抜書】
●物体の永続性(p44)
 目前にない物体の表象を持ち続けること。言葉を持たない動物の心を解き明かすうえで、重要な指標になる。
 ヒトは、生後4か月から8か月頃に、物体の永続性の能力が芽生える。
 物体の永続性は、いくつかの段階に分かれて発達するが、最終段階では、「見えないところで物体が移動したこと(invisible displacement)」を理解できるようになる。ヒトでは、生後18か月から24か月頃。
 
●ネオフィリア(p102)
 新しいことに興味を示すこと。
 家畜化によって現れる行動特性の変化の一つ。動物が家畜化され、食べ物や住居の安定した供給が保証されることで、生存に必要な情報以外に注意を向ける“余裕”が生まれたこと、成体になっても飼い主に甘えるといった子供のような性質を持ち続けること、などと関連する。
 
(2023/12/14)NM
 
〈この本の詳細〉


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