日本の動物絵画史
出版年月:2024年1月
ISBNコード:978-4-14-088713-4
税込価格:1,485円
頁数・縦:286p・18cm
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動物を題材とした日本の絵画史を概観する。
西洋とは異なり、日本では古代からさまざまな動物が絵画に登場した。
【目次】
1 信仰と動物、失われた美術―古代・中世
海を越えて来た動物の絵
“鳥獣戯画”のどこがすごいのか?
失われた愉快な世界
鹿と竜―神の使いと仏の守護神
涅槃図に描かれた動物
禅宗と動物の絵
2 平和な社会と多彩な動物絵画―近世
獅子と鳳凰
縁起物から生まれる創作
図鑑に心を遊ばせる
本物に迫る
花開く自由な造形
3 動物の心と人の心―近世~近代
「禅画の虎」の遺伝子
絵の中の動物を愛おしむ
禅画の動物が教えてくれること
仏の国の動物
動物を使った風刺画
近代の美術家と動物
【著者】
金子 信久 (カネコ ノブヒサ)
1962年、東京都生まれ。1985年、慶のことを指した。
應義塾大学文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。府中市美術館学芸員。専門は江戸時代絵画史。
【抜書】
●写生(p143)
円山応挙の本物のように描くスタイルは、当時「写生」という言葉で呼ばれていた。
しかし、スケッチという意味ではなく、立体感や奥行きのある描き方のこと。
●動物を描いた画家たち(p205)
円山応挙の子犬、長沢蘆雪の子犬と雀、森狙仙の猿、歌川国芳の猫、伊藤若冲の鶏。
●風刺画(p262)
〔 本章では、動物を使った風刺画をめぐって色々考えてみた。動物による風刺画が根を下ろさなかったことは、日本の動物絵画の歴史を考えるうえで重要なポイントになるのではないかと、私は感じている。動物に神聖さ、かわいらしさを感じて、それを絵画に表現してきた江戸時代までの歴史と、何か繋がりがあるかもしれない。〕
キリスト教西洋では、動物は人間より劣った存在としてとらえられている。しかし日本では、仏教の影響で多情仏心、動物にも人と同じ生命が宿ると考える。
(2024/2/29)NM
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