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サボり上手な動物たち 海の中から新発見!
 [自然科学]

サボり上手な動物たち――海の中から新発見! (岩波科学ライブラリー)

佐藤克文/著 森阪匡通/著
出版社名 : 岩波書店(岩波科学ライブラリー 201)
出版年月 : 2013年2月
ISBNコード : 978-4-00-029601-4
税込価格 : 1,575
頁数・縦 : 118,2p・19cm


 バイオロギングという手法で明らかになった海の生物たちの生態を紹介。そこには、効率的にサボって生きる野生の姿があった。

【目次】
1 実は見えない海の中
 見えるようで見えない海の動物
 陸上動物研究では観察が主体
  ほか
2 他者に依存する海鳥―動物カメラで調べる
 動物はなぜ潜るのか
 周辺の餌分布状況を調べたい
  ほか
3 盗み聞きするイルカ―音で調べる
 カメラも万能ではない
 海は「音の世界」だった
  ほか
4 らせん状に沈むアザラシ―加速度で調べる
 それは日本から始まった
 浮力を使って浮上するペンギン
  ほか
5 野生動物はサボりの達人だった!
 不純な動機
 深海のチーター
  ほか

【著者】
佐藤 克文 (サトウ カツフミ)
 1967年宮城県生まれ。1995年京都大学大学院農学研究科修了(農学博士)。日本学術振興会特別研究員、国立極地研究所助手を経て、2004年より東京大学大気海洋研究所准教授。専門は動物行動学、動物生理生態学など。著書に『ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ―ハイテク海洋動物学への招待』(光文社新書、2008年講談社科学出版賞)など。

森阪 匡通 (モリサカ タダミチ)
 1976年大阪府生まれ。2005年京都大学大学院理学研究科修了(理学博士)。京都大学理学研究科リサーチフェロー。日本学術振興会特別研究員、東京大学大気海洋研究所特任研究員などを経て、2010年12月より京都大学野生動物研究センター特定助教。専門は動物音響学。

【抜書】
●バイオロギング(p10)
 動物に小型の記録計を取りつけて野外の生息環境下における動物の生態を調べる。
 アメリカ人のジェラルド・クーイマンが始めた方法。1963~5年、アメリカ南極基地のあるマクマード湾にてウェッデルアザラシの背中に深度記録計を取りつけて測定、350mまで潜ることを発見。
 「バイオロギング」という名称は、日本で考案。2003年、第1回のシンポジウムを日本で開催。
 装置の小型化、深度や温度以外にも新しいパラメータを設定できる装置を次々と開発。カメラ、音、加速度など。

●エコーロケーション(p44)
 音を出し、対象物に跳ね返った音を再度聞くことで情報を得る。
 水中で、音は、水温20度で1秒間に約1500m進む。空気中では約340m。
 イルカのエコーロケーションの音=クリックス。種によっては、人間の耳で「カチ・カチ・カチ」「ギー」と聞こえる。この間隔が短いほど、近くにいる。
 イルカは、〔鼻で鳴いてあごで聞く〕。鼻の穴の上の奥あたりで鳴音を出す。下あごから音が入り、下あご後方の骨が薄くなった部分から内部の脂肪層などを通じて耳小骨や渦巻き管に伝わる。
 イルカは、他の個体のエコーロケーションを盗み聞きしている。横一列に並んで泳いでいる時など。
 一部の小型イルカは、シャチに聞こえない100kHz
以上の音のみが含まれるクリックスを出す。ラプラタカワイルカ科、ネズミイルカ科、コマッコウ科、セッパリイルカ属など。20kHz以下のコミュニケーション用の音(ホイッスル)も出さない。

●イルカのコミュニケーション(p60)
 〔小笠原や御蔵島のような静かな海では、イルカの鳴音は周波数が高く、複雑で、音の大きさは小さい。一方、海がうるさい天草では、鳴音が低く単調で、音量は大きい〕。天草は、テッポウエビなどのテンプラノイズ(パチパチという雑音)が多い。
 天草では、300mしか鳴音が届かない(他の地域では1km)。イルカの群れも、お互いに300m程度しか離れない。

(2013/5/6)KG

〈この本の詳細〉


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