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長寿と画家 巨匠たちが晩年に描いたものとは?
 [芸術]

長寿と画家  ──巨匠たちが晩年に描いたものとは?  
河原啓子/著
出版社名:フィルムアート社
出版年月:2019年7月
ISBNコード:978-4-8459-1817-1
税込価格:1,980円
頁数・縦:211, 11p・19cm
 
 長生きした画家たちの生涯を、晩年を起点に描く。
 名を成した画家には、長寿を全うした者が多いように思う。同じ芸術家でも、詩人や小説家に比べると長寿率はかなり高いのではないだろうか。絵筆を手に創作に集中することが、ストレス回避につながるのか。また、ある程度スタイルを確立した後は、それにしたがって描けばよいので、心の葛藤も少ないのか? なかにはピカソのように、終生、新奇を追い求めた画家もいるけどね。
 
【目次】
フランシスコ・デ・ゴヤ(82歳没)「おれはまだ学ぶぞ」―聾者が見つめ続けた人間の真実
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(76歳没)「太陽は神だ」―自然を描きながら人間の内面を見つめる
エドガー・ドガ(83歳没)「何も完結しなかった」―無心に取り組むことで見出した“救い”
クロード・モネ(86歳没)「絵を描くとはどうしてここまで辛いのか」―老いてなお作品と格闘
ピエール=オーギュスト・ルノワール(78歳没)「幸福の絵画よ」―ありのままの自然に従う、幸せのかたち
エドヴァルド・ムンク(80歳没)「死を自覚したい」―人間の闇と苦悩を追求したその果てに
アンリ・マティス(84歳没)「うまくいかなくても満足できる」―単純化と鮮やかさから生まれる活力
ジョルジュ・ルオー(86歳没)「神よ、我を哀れみたまえ」―自らの神を探し求め、自分らしい絵を見出す
パブロ・ピカソ(91歳没)「すべては自分自身に返ってくる」―鬼画家が最後に見せた凄絶な精神
マルク・シャガール(97歳没)「分け隔てなく、世界を一つに」―人間社会の枠組みを越え、愛を謳う
伊藤若冲(84歳没)「わが道を行く」―好きなことに没頭し、オリジナリティを獲得
葛飾北斎(88歳没)「この道の改革者になる」―息絶えるまで本物になることに専念
横山大観(89歳没)「無窮を追う精神で歩みたい」―絶えず変化する自然と生命の姿を追い求めて
熊谷守一(97歳没)「石ころ一つとでも十分暮らせる」―自然とつながり、一体となった境地に生きる
岡本太郎(84歳没)「年とともにますますひらく」―常識の対極にある感覚に本質を見出す
 
【著者】
河原 啓子 (カワハラ ケイコ)
 博士(芸術学)。青山学院大学・立教大学兼任講師。武蔵野美術大学、国立音楽大学ほか非常勤講師。アートジャーナリスト。アートドキュメンタリー作家。"The Garden City Times"(Singapore)記者、『新美術新聞』記者を経て、現職。第三期東京都生涯学習審議会委員、練馬区行政評価委員ほか行政委員を歴任。単著、共著、論文多数。専門は、芸術社会学(アートマネジメント論)、博物館学、コミュニケーション論。大学教育のほか、2012年より行っている荒川区生涯学習講座は毎年好評を博しているほか、芸術活動をする人のための社会人教育や審査員にも携わる。
 
【抜書】
●印象派展(p41)
 正式名称は、「画家・彫刻家・版画家による共同出資会社展」という。
 エドガー・ドガ(1834‐1917)が、40歳の時にルノワール(1841-1919)やモネ(1840‐1926)とともに画家・彫刻家・版画家による共同出資会社を結成し、1874年に第1回展覧会を開催した。
 
●93回(p161)
 葛飾北斎(1760-1849)は、生涯で93回、転居した。1日に3回も引っ越したこともあった。
 
●酒(p179)
 横山大観(1868-1958)は、70歳で胃潰瘍になってから、消化器の衰弱に悩まされ、酒を米飯代わりにするようになった。
 87歳の時、一時危篤に陥った。意識があるかないかの状態で酒を所望し、1合服したところ、脈の乱れが収まり、医師も驚くほどの回復をした。
 その後は、朝1合、昼と晩は2合の酒を主食にして、室内を歩き、入浴するまでになった。そして、最後の作品といわれる「不二」を描いた。
 
(2019/10/24)KG
 
〈この本の詳細〉


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