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神社の起源と歴史
 [歴史・地理・民俗]

神社の起源と歴史
 
新谷尚紀/著
出版社名:吉川弘文館
出版年月:2021年7月
ISBNコード:978-4-642-08400-0
税込価格:2,200円
頁数・縦:245p・19cm
 
 日本で神をまつる形は、有史以前の磐座祭祀、禁足地祭祀から、神社(かみのやしろ)へと進化していった。その歴史をたどり、神を祀るとはどういうことか、日本の神社とは何かを解き明かす。
 
【目次】
神社の起源と歴史をどう読み解くか プロローグ
第1章 神社と古代王権
第2章 律令祭祀と伊勢神宮・出雲大社
第3章 平安時代の祭祀と神社
第4章 荘園鎮守社と氏神―隅田八幡神社の歴史と祭祀の変化
第5章 郷村神社の歴史の重層構造―毛利・吉川氏の足跡と神社
第6章 若狭のニソの杜―原初的な神祭りを伝える
神社の多様性が意味すること エピローグ
 
【著者】
新谷 尚紀 (シンタニ タカノリ)
 1948年、広島県に生まれる。1971年、早稲田大学第一文学部日本史学科卒業。1981年、早稲田大学大学院史学専攻博士後期課程単位取得退学。1998年、社会学博士(慶応義塾大学)。現在、国立歴史民俗博物館名誉教授、国立総合研究大学院大学名誉教授、元國學院大學文学部及び大学院教授。
 
【抜書】
●宮、社(p13)
 宮(みや)……大和王権では、「宮」に二つの意味がある。一つは、大和王権にとって重要と位置付けられた神の宮。出雲の大己貴神を祀る「天日隅宮(あめのひすみのみや)」「神之宮」、大和の三輪の大物主の「神の宮」、大和の石上の「神の宮」、伊勢の天照大神宮の「神の宮」、など。もう一つは、歴代の天皇の住む建物、それに関連して皇后をはじめ皇族の住む建物。〔この両者に、宮という呼称が共通して用いられていたことは、天皇が神と共通する存在と考えられていたことを意味している。
 社(やしろ)……人間の住まいではなく、自然の神、神霊をまつる場所もしくは建物という意味。
 折口信夫は、「やしろ=屋代」は神が来られたときに屋が立つ場所のこと。「みや=御屋」は常在される神の居られる建物のことであると説く(1950年「神々と民俗」神宮司庁講演筆記、『折口信夫全集』〈20巻、中央公論社、1956年〉所収)。やしろの神というものは、山野の精霊あるいは、自然庶物の精霊の祭祀から出ているものが多い。
 
●『日本書紀』α群、β群(p67)
 α群……『日本書紀』で、中国風の正格漢文で書かれた部分。巻14雄略紀から巻27天智紀まで。
 β群……α群とは全く異なる日本風の漢文で書かれた部分。巻1神代上から巻13允恭・安康紀までと、最新の巻28・29天武紀。
 α群の雄略紀が最も古い記述であり、β群の天武紀を編集した人材たちが、はるか上代の神話の時代もβ群の文章で書いて編集した。
 例外的なのは、巻22推古紀と巻23舒明紀。どちらもβ群になっている。
 7世紀末から8世紀初頭の最終段階で、新たにβ群の推古紀に差し替えられ、酢香手姫皇女の記事が削除され、皇女による日神奉祭についての記事を崇神紀・垂仁紀へと移行させた? 
 また、推古30年紀(622年)が1年まるごと抜けており、厩戸皇子の没年が他の記録情報と異なってしまっている。β群推古紀では、推古29年辛巳二月癸巳(621年2月5日)となっている。
 
●寺院建築、神社建築(p85)
 寺院建築は礎石が必須であり、神社建築は掘立柱が基本。
 
(2021/9/30)NM
 
〈この本の詳細〉

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