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古代オリエント史講義 シュメールの王権のあり方と社会の形成
 [歴史・地理・民俗]

古代オリエント史講義: シュメールの王権のあり方と社会の形成
 
前田徹/著
出版社名:山川出版社
出版年月:2020年10月
ISBNコード:978-4-634-64091-7
税込価格:3,300円
頁数・縦:255p・19cm
 
 メソポタミアの紀元前三千年紀の社会を、行政経済文書の分析をよりどころとして描く。初期王朝時代からウル第三王朝の約千年間の古代社会である。
 メソポタミア文明について語るとき、王の事跡を中心とした政治史や神話を中心に置くことが多いが、それとは異なる手法で古代史を垣間見させてくれる。
 
【目次】
第1部 歴史に接近する
 シュメール史へのいざない
 一九世紀的思潮とアッシリア学
 年表をつくる
 時代を区切る
第2部 シュメールの王権
 王の二大責務と王号
 王の軍事権と祭儀権
 王家の死者供養と姻戚関係
 王妃シャシャ
 王妃アビシムティ
第3部 王家の組織と文書
 初期王朝時代の王妃の家政組織
 ウル第三王朝時代の公的経営体と神殿
 職人・商人と道化師・聖歌僧
 食料生産と料理
 初期王朝時代の行政経済文書
 ウル第三王朝時代の行政経済文書
 ウル第三王朝時代の決算文書
第4部 シュメールの社会
 家族、女性
 王妃の家政組織における任用
 労働と身分・生活保障
 差別と迫害
 
【著者】
前田 徹 (マエダ トオル)
 1947年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程東洋史学専攻中退。早稲田大学名誉教授。
 
【抜書】
●楔形文字(p15)
 楔形文字で書き写された言語は、シュメール語(未知の民族)、アッカド語(セム語族)、ヒッタイト語、ペルシャ語(印欧語族)など。
 
●農業(p156)
 シュメール農業の特色の一つは、ウシ・ロバに牽かせた大型犂の利用。
 乾燥地帯における人工灌漑の必然として起こる塩害を抑えるため。毛細現象によって塩分を含む水分が地表に上がってくるのを断つ工夫として、大型の犂で深く掘り起こす必要があった。
 小麦ではなく大麦が多く植えられたのも、塩害に備えてのこと。
 さらに、地味を維持するための連作を避け、隔年耕作が実施された。
 犂を使って播種もした。畝を作り、犂に取り付けた播種器を使って筋状に播いた。出芽すると、潅水が行われた。『農事暦』によれば、4回行うこととされている。「そうすれば多大の収穫がもたらされる」。
 
●9日労働(p185)
 ウル第三王朝時代、男性は10日ごとに休日が与えられた。9日働いて1日の休み。
 女性は、5日働いて1日の休みだった。
 ただし、休日が週休的な取り方だったかどうかは確認できない。仕事を「雨のために休む」とか、「ネルガル神のエルヌム祭の日は休み」のような記録があるので、時に応じての休日はあった。
 
(2022/5/9)NM
 
〈この本の詳細〉


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