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トランプ信者」潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ
 [社会・政治・時事]

「トランプ信者」潜入一年 ~私の目の前で民主主義が死んだ~
 
横田増生/著
出版社名:小学館
出版年月:2022年3月
ISBNコード:978-4-09-388852-3
税込価格:2,200円
頁数・縦:463p・19cm
 
 2019年12月から1年間、米国の中西部ミシガン州にアパートを借り、共和党の事務所にボランティアとして登録して潜入取材を敢行し、ドナルド・トランプ大統領の選挙活動から落選までをレポートする。
 ミシガンではボランティアとして戸別訪問を行い、トランプの支援者集会やデモがあれば現地に行って取材する。身分を隠すために、ボランティア登録用に運転免許証を取得したとのことだが(パスポートだとジャーナリストだとバレる心配あり)、それでなくても目立つ東洋人の風貌、面が割れないかとヒヤヒヤものである。なんとか無事に「職務」を全うできたようである。
 大統領として、人間として、トランプのダメさ加減が徹底的にあぶり出される。副題の「私の目の前で民主主義が死んだ」とは、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件に際しての著者の感想だが、トランプを支持する人間が7,100万人もいるという事実は、米国の民主主義に対する疑問を生じさせるに十分である。
 
【目次】
プロローグ アメリカの民主主義が死んだ日
第1章 トランプ劇場に魅せられて
第2章 冴えないバイデンが大統領候補になるまで
第3章 「共和党選挙ボランティア」潜入記(前編)
第4章 新型コロナVSトランプの泥仕合
第5章 BLM暴動で闇に響いた銃声
第6章 そして大統領は感染した
第7章 ウソと陰謀論の亡者を生んだ「屈辱の夜」
第8章 「共和党選挙ボランティア」潜入記(後編)
第9章 勝利を信じて疑わない“トランプ信者”の誕生
第10章 Qアノンと行く「連邦議事堂襲撃」への道
エピローグ 民主主義の守り方
 
【著者】
横田 増生 (ヨコタ マスオ)
 1965年、福岡県生まれ。関西学院大学を卒業後、予備校講師を経て、アメリカ・アイオワ大学ジャーナリズム学部で修士号を取得。93年に帰国後、物流業界紙『輸送経済』の記者、編集長を務める。99年よりフリーランスとして活躍。2020年、『潜入ルポ amazon帝国』で第19回新潮ドキュメント賞を受賞。
 
【抜書】
●大統領日報(p226)
 PDR。過去24時間にCIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)などの情報機関が集めた機密情報。毎朝、大統領の執務机に置かれる。
 米国大統領の1日は、大統領日報を読むことから始まる。
 トランプは、ホワイトハウスで半世紀以上続くこの伝統を蔑ろにしてきた。大統領日報を読むことはほとんどなかった。国内外の危機について文書で報告しても、トランプに伝わる可能性は低い。トランプには文書を読む忍耐力がない?(ワシントン・ポスト紙、2018年2月9日)
 トランプは、1日の大半を、「重役時間」と称して、テレビを見たり、ツイッターに投稿したり、手当たり次第に政界の友人や知人などに電話をかけて話にふけって過ごす。「重役時間」は、8時から17時までの6割以上にのぼる。(アクシオス、19年2月3日)
 
●真実の誇張(p271)
〔 トランプにとって事実かどうかは重要ではなく、自分がよくみられるのなら多少のウソは許される。ウソも繰り返し言えば、人びとはそれを信じるようになる、と考える。〕
 
●Qアノン(p384)
 小児性愛者と闘う極右の陰謀論集団。2017年後半に始まった。米公共宗教研究所が21年にまとめた調査結果によると、全米に3,000万人以上の信奉者がいる。共和党や右派メディアの支持者に際立って多い。
 FBIは、Qアノンが国内テロの脅威になり得ると捉えている。
 Qとは、集団の主宰者を指す。プレイング・メディックとも。
 Qが出す質問に対し、匿名(アノニマス)の信者がその答えを探し出す。「ビル・クリントンとアル・ゴアの名前が入った南部連邦旗に1992年の文字が入った写真を提示して、これを調べよ」とか、「ジョン・F・ケネディの息子(1999年に飛行機事故で死亡)が、まだ生きていると思うか」等のようなお題。信者に向けた掲示板に、こうした投稿が5,000近くある?
〔 政界やメディア、金融界のエリートが、児童の性的な人身売買を行う悪魔崇拝者に操られている」など、Qアノンの基本的な陰謀論に同意する信奉者がアメリカ全体の14%に達した。彼らは同時に、トランプを悪魔崇拝者と闘う英雄として位置付ける。〕
 
(2022/9/9)NM
 
〈この本の詳細〉


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