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世界を変えた10のトマト
 [歴史・地理・民俗]

世界を変えた10のトマト
 
ウィリアム・アレキサンダー/著 飯嶋貴子/訳
出版社名:青土社
出版年月:2022年11月
ISBNコード:978-4-7917-7506-4
税込価格:2,640円
頁数・縦:349p・19cm
 
 トマトが現在の食卓を潤すきっかけとなった10の物語を披露。トマトの博物誌である。
 
【目次】
1 メディチ家のポモドーロ
2 ジョンソン大佐のバケツ
3 サンマルツァーノの奇跡
4 女王、作家とその妻、そして彼らのピザ
5 期待
6 スパゲッティの王者
7 ビッグボーイ
8 誰がトマトを殺したか?
9 エアルーム・トマトの襲撃
10 冬がやって来る
 
【著者】
アレキサンダー,ウィリアム (Alexander, William)
 『ニューヨーク・タイムズ』のベストセラー作家。『ニューヨーク・タイムズ』、『ロサンゼルス・タイムズ』などに寄稿している。
 
【抜書】
●シトマトゥル(p16)
 「膨らんだ果実」の意味。「トマト」の語源。
 ペルーとエクアドルの海岸高地が原産。エンドウ豆ほどの大きさだった。メキシコで栽培品種化され、テノチティトランで栽培され、食されていた。
 アステカ人はこれをスープやシチューに入れて風味を加えたり、ピーマンと一緒に炒めたり、生のまま細かく刻んでトウガラシやハーブと混ぜ、サルサ(単純に「ソース」の意味)を作ったりするのに利用した。
 1529年にメキシコにやって来た、ベルナルディーノ・デ・サアグンというフランシス会のスペイン人宣教師によって報告されていた。「最初の人類学者」とも呼ばれている。
 
●瓶詰(p54)
 瓶詰の発明は、ナポレオン・ボナパルトがきっかけだった。
 1800年、兵士たちの食事環境に投資し、より良い食品保存法を考えた人に1万2000フランを与えることにした。
 パリでシェフをしていたニコラス・アペールは、1806年の博覧会で、肉、果物、野菜を、コルクとワックスで密封したガラス瓶に詰めてグツグツ煮た湯に浸すという食品保存法を披露。
 その後、10年もしないうちに、イギリス人のピーター・デュランドが、割れやすい瓶を(防錆のため)ブリキで裏打ちした鉄製の缶に変えた。
 缶切りの発明は1855年、ロバート・イエーツによる。それまで缶詰が流行することはなかった。
 
●果物か野菜か(p63)
 1883年、米国では輸入野菜に10%の関税を課した。
 米国最大の青果輸入業を営んでいたジョン・ニックスは、植物学的に言えばトマトは果物であり、関税の対象にならないと訴え、最終的に1893年、最高裁判所で裁定が下された。敗訴。
 「植物学的に言って、トマトはキュウリやカボチャ、インゲンマメやエンドウマメと同じツル科の果物である。しかし人びとの共通言語では、食糧の販売者であろうと消費者であろうと、これらはすべて野菜であり、キッチンガーデンで栽培され、調理して食べようと生のまま食べようと、ジャガイモ、ニンジン、パースニップ、カブ、ビーツ、カリフラワー、キャベツ、セロリ、レタスなどと同様、通常はスープや魚料理や肉料理の中に、またはそれに添えて、もしくはその後に提供されるもので、これらは食事の重要な部分を占め、一般的な果物のようにデザートとして提供されるものではない。」
 
●ピザハット(p131)
 ピザは、ナポリ発祥。ナポリにトマトがあったから。
 チェーン店のピザはカンザス州から始まった。そこに学生がいたから。
 1958年、フランクとダンのカーニー兄弟はウィチタ州立大学の学生で、母親から600ドルを借りて大学のキャンパス近くに「ピザハット」をオープンした。安価な軽食は学生仲間の間で大当たりした。
 半年もたたないうちに別の場所で2店目をオープン。1年間で6店舗まで拡大。20年間で4000を超える店舗に拡大し、そのチェーンを3億ドル以上でペプシコに売却した。
 1960年に、トム・モナハシとジェームズ・モナガンの兄弟が、東ミシガン大学の本拠地イプシランティの街角に「ドミニックス」というローカルチェーンを購入。8か月後、ジェームズは苦戦していたビジネスの半分をトムに引き渡し、代わりに配達のために使っていたビートルを手に入れた。経営が持ち直すと、トムは「ドミノ・ピザ」の名で自分だけのフランチャイズを始めた。
 
●マーグローブ(p218)
 最も名の知れたトマト・ブリーダーのアレキサンダー・W・リヴィングストンが品種改良したグローブは、マーヴェルと呼ばれる栽培変種植物と交配され、「マーグローブ」という交配名がつけられ、1917年に発売された。数十年間、立ち枯れ病に強いということから栽培業者に高く評価されていた。
 今日の多くの交配種はこのトマトを継承しており、1951年、新たに発見された品種を説明するための基準点を必要としていたトマト研究者たちは、マーグローブを「標準」トマトに選んだ。トマトはこのような外観と習性を持つべきであるという定義的な概念。
 
(2023/4/9)NM
 
〈この本の詳細〉


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