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教養としての上級語彙 知的人生のための500語
 [言語・語学]

教養としての上級語彙 (新潮選書)
 
宮崎哲弥/著
出版社名:新潮社(新潮選書)
出版年月:2022年11月
ISBNコード:978-4-10-603891-4
税込価格:1,650円
頁数・縦:271p・20cm
 
 著者のいう上級語彙を、「理解語彙」にとどまらずに「使用語彙」へと昇華させるための実用書。「すぐさま理解し、いきなり使用(=表現)できるように、自分自身が語彙を習得し、使用に耐えるくらいに習熟した過程をそのまま〈追体験〉してもらうことに主眼を」置いている(p.226)。
 十代半ばから書き留めていた単語帳、語彙ノートが、本稿の元になっているという。本書に登場する上級語彙を自家薬籠中のものとするまでには、何度も熟読する必要があるだろう。
 高校で漢文や古文の授業があるものの、なおざりにされて力を入れてこなかったことが、私たちの「ボキャ貧」につながっているのかもしれない。文章で描写するよりも動画で自己表現することが主流になりつつある現在、その傾向はさらに強まっていいると言えよう。
 
【目次】
第1章 イントロダクション―上木と忖度
第2章 世間の交らい―友愛・感化・恥・地位・男と女
第3章 聞こえる、見える―「私」が感受する上級表現
第4章 行う、行く、戦う―「私」が行為する上級表現
第5章 笑う、怒る、泣く―「私」が叙情する上級語彙
第6章 読む、聞く、叙説する―知的活動に関わる上級語彙
 
【著者】
宮崎 哲弥 (ミヤザキ テツヤ)
 1962年、福岡県生まれ。慶應義塾大学文学部社会学科卒業。テレビ、ラジオ、雑誌などで、政治哲学、生命倫理、仏教論、サブカルチャー分析を主軸とした評論活動を行う。
 
【抜書】
●ボキャ富(p28)
 ぼきゃふ。「ボキャ貧」の対義語。本著者の造語。
 ボキャ富が重要なのは、〔どれだけ多くの言葉を使いこなせるかが、その人の認識や感覚の細やかさ、思考の分明さや複雑さ――総じて生きてある世界の豊かさを表すからだ。使っている語彙の質によって、その人が、どんな世界と向き合い、いかに世界を味わい、いかなる世界で思惟しているかを窺い知ることができるからだ。〕
 
●高級語彙(p33)
 基本語彙……日常生活の中で誰もが普通に使う易しい言葉。
 高級語彙……主として学者や専門家が用いる難しい言葉。
 鈴木孝夫『日本語と外国語』(岩波新書)による。
 
●上級語彙(p37)
〔 日本語の日常的な基本語彙と専門的な高級語彙とのあいだには、英語ほどの隔たりはみられない。しかし、別の格差が生じようとしているように思う。
 それは高級語彙(学術用語、専門語)と基本語彙(日常語)との中間辺りに位置する言葉の衰えによる。日常語というほど頻繁には使われないが、意義としては日常語の範囲に属することの多い、やや難しい言葉や表現(言回し)。本や硬めの文書、畏まったスピーチや講演などには登場するが、日常会話ではあまり話されない語彙。本書ではこうした言葉の群れを「上級語彙」と呼ぶ。〕
 
(2023/5/5)NM
 
〈この本の詳細〉


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