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師弟百景 “技”をつないでいく職人という生き方
 [社会・政治・時事]

師弟百景 “技”をつないでいく職人という生き方
 
井上理津子/著
出版社名:辰巳出版
出版年月:2023年3月
ISBNコード:978-4-7778-2825-8
税込価格:1,760円
頁数・縦:215p・19cm
 
 さまざまな職人たちの仕事を紹介しながら、職人の世界における師匠と弟子との関係の機微を伝える。茶の湯の文化を中心に紹介する月刊誌『なごみ』(淡交社)に掲載された連載記事11本に、追加取材した5本を収録。
 師匠たちの世代は、「俺の背中を見ろ」「技は盗め」という環境で育った人が多いが、その弟子たちは言葉を介して技術を教わり、師匠に丁寧に接してもらっている例が多いようだ。時代が変わった。その背景には、伝統技術を後世に伝えたいという職人たちの切実な思いと、弟子入りする人たちの年齢層の上昇があるらしい。以前は10代半ばくらいで弟子入りしていたが、いまでは大学・大学院卒、社会人経験者など、職人の世界に入ってくる年齢が上がっているのである。
 
【目次】
庭師
釜師
仏師
染織家
左官
刀匠
江戸切子職人
文化財修理装潢師
江戸小紋染織人
宮大工
江戸木版画彫師
洋傘職人
英国靴職人
硯職人
宮絵師
茅葺き職人
 
【著者】
井上 理津子 (イノウエ リツコ)
 日本文藝家協会会員。1955年、奈良市生まれ。ライター。大阪を拠点に人物ルポ、旅、酒場などをテーマに取材・執筆をつづけ、2010年に東京に移住。現代社会における性や死をテーマに取り組んだノンフィクション作品を次々と発表し話題となる。
 
【抜書】
●江戸切子(p98)
 江戸切子の発祥は江戸時代後期。約180年前。
 日本橋大伝馬町のビロード屋(ガラス屋)の主人がガラスの表面に彫刻したのが始まり。今につながるカットの技法は明治期にイギリス人がもたらした。江東区、墨田区など東京東部地区で作られ、庶民の日用品として愛用されてきた。
 単に「切子」と呼ばれていたが、1985年に東京都伝統工芸品に指定されたころから「江戸切子」とブランディングされるに至った。2002年には、国の伝統的工芸品に指定された。
 業界団体の江戸切子協同組合(江東区)が定める江戸切子の条件は、① ガラス、② 手作業、③ 主に回転道具を使用、④ 関東一円で生産、の4点。
 
●ビスポーク(p167)
 bespoke。
 依頼者と話をし、使用目的やファッションの全体的は嗜好などをヒアリングし、最適な素材やデザインを提案して商品を作る。作り手の特色が前面に出る点が「フルオーダー」と異なる。作り手のテイストを気に入った人のみを対象とする。
 
●鋒鋩(p179)
 ほうぼう。硯の表面にある、目に見えないほどの大きさの凸凹のこと。墨をすりおろすときに威力を発揮する表面の極小のギザギザ。
 もともとは、刀の切っ先を意味する。
 山梨県早川町の雨畑(あめはた)硯は、この鋒鋩ゆえにすり味が滑らかで、水分の吸収が少ないため水持ちがよいらしい。
 
(2023/5/6)NM
 
〈この本の詳細〉


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