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成長戦略は台湾に学べ 日本人が知らない隣人の実力
 [社会・政治・時事]

成長戦略は台湾に学べ
 
御堂裕実子/著
出版社名:かんき出版
出版年月:2023年1月
ISBNコード:978-4-7612-7650-8
税込価格:1,760円
頁数・縦:223p・19cm
 
 台湾の良さ、今こそ日本・日本人が見習うべき点を力説した、台湾愛に満ちた書。
 改めて台湾に行ってみたいと思った。マンゴーが美味しい。
 
【目次】
第1章 台湾ってどんなところ?
 日本人が抱くイメージに収まりきらない台湾の素顔
 日本人よりも幸せな人生を送る台湾人!?
  ほか
第2章 日本人がまだまだ知らない台湾人の考え方
 似ているようで似ていない日本と台湾―台湾人は金銭にまつわる話題に開放的
 会社とプライベートの間の壁が低いアットホームな台湾企業―社内イベントを通じて距離を縮める
  ほか
第3章 日本とはまるっきり異なる台湾式ビジネスの進め方
 臨機応変がきく台湾人のメンタリティ―業種にこだわらず互いに手を組める適応力
 日本で売れないものは台湾でも売れない―親日だからと言って、何にでも日本流は通用しない
  ほか
第4章 台湾人の私生活
 値段にシビアな台湾人―「団体購入」や「代理購入」が発達
 台湾が誇る多彩な食文化―古くから根付く素食文化とは
  ほか
第5章 台湾はどうやって新型コロナ禍を乗り切ったのか(コロナ対策の初動に見事成功した台湾―政府による素早い対策の導入と国民に安心を与える丁寧な説明
コロナ期間中の景気刺激策 ほか
 
【著者】
御堂 裕実子 (ミドウ ユミコ)
 1979年東京生まれ。明治学院大学卒業後、日本での広告代理店勤務を経て、台湾国立政治大学へ留学。帰国後2008年に台湾と日本の事業の架け橋となるべく、合同会社ファブリッジを立ち上げる。2017年には台湾Fabridgeを設立。台湾企業とのマッチングや現地デパート、スーパーでの販売プロモーション、EC販売企画運営、日台輸出入物流サポート、マーケットリサーチなどの事業を行っている。日本の地方自治体のアウトバウンド支援や、食品会社、不動産企業、教育事業など様々な業界の台湾進出を手がけ、支援企業は200社を超える。本書は初めての著書となる。
 
【抜書】
●オードリー・タン(p35)
 唐鳳。鳳を日本語の「オオトリ」という読みに寄せて「オードリー」という英語名を付けた?
 2016年、35歳で蔡英文政権のデジタル担当大臣に任命された。
 きっかけとなったのは、2012年に立ち上がったシビックハッカー・コミュニティ「g0v(零時政府)」での活動。
 シビックハッカー……インターネットなどに公開されたデータを活用し、市民が利用しやすいアプリやサービスを開発することで、社会問題を解決しようとするエンジニア。
 
●萌典(p37)
 g0vが開発したスマホ対応の辞書アプリ。
 繁体字の中国語の他に、客家語、原住民の言語、さらに台湾独特の言葉を加えたものがベースになっており、各言語間、さらに英語、フランス語、ドイツ語の対訳が付いている。
 原住民の言葉も幅広く網羅。アミ族のアミ語に関しては8万語以上を登録。
 台湾の教育部(文部科学省)が開発したオンライン辞書が存在していたが、使い勝手が悪かった。スマホでの検索ができない、IDがないと使えない、など。この辞書を改良しようと、g0vのオードリー・タンが中心となって開発がスタートした。
 教育部の英語名称は「Ministry of Education」、略称「MoE」。MoEと日本語の「萌え」が同じ発音だったので、「萌典〈マァンディエン〉」と命名。
 
●損しないように(p48)
 日本では、「他人に迷惑をかけないように」と親に言われながら子どもが育つ。
 韓国では、「人に負けるな」。
 中国では、「他人に騙されるな」。
 台湾では、「損しないように」「後れないように先んじて」。
 
●妻名義(p85)
 住宅購入の際、台湾では妻名義にすることが圧倒的に多い。住宅以外の不動産も同様。住宅は男が妻に残すものという感覚がある。
 台湾では、女性や妻の意見を尊重される文化が根付いている。母の地位も高い。
 
●Gogoro(p138)
 2011年設立。香港生まれ、アメリカ育ちの陸学森が率いる。
 2015年7月に電動スクーター「Gogoro」の出荷を開始。16年8月に1万台を突破。
 17年5月、最新モデルGogoro2が登場。1ヵ月で1万5,000台のセールスを記録。台湾シェアの4分の1を占めるまでに成長。
 台湾全土にバッテリー交換ステーションを設置、2022年現在、2,215か所。93万8,045個のバッテリーが流通、バッテリーユーザーは45万3,300人。
 台湾のオートバイ市場は、ヤマハと光陽、三陽が不動の御三家だった。
 台湾はスクーター社会で、市民の二人に一人がスクーターを所有。
 
●素食(p161)
 スシー。菜食主義者用の料理。
 台湾には菜食主義の人が多く、全人口2,360万人のうちの約14%。インドに次ぐ菜食主義者大国。
 素食食品の成分の表記方法は法律で規定されている。肉や魚が含まれていてはいけない。さらに、卵、牛乳、五葷〈ウーフェン〉(ニンニク、玉ネギ、ネギ、ニラ、ラッキョウ)が使われているかどうか、細かく表記しなくてはならない。
 上記のすべてを含まないものを全素〈チュェンス〉という。
 
●産後保養センター(p171)
 かつての台湾には、「産後一か月間、母親は水に触れてはいけない」という風習があった。この期間は「坐月子〈ツォユエズ〉」と呼ばれ、妊産婦はなるべく体を動かさないようにし、栄養補給に徹する。
 坐月子の間は、洗髪や入浴も禁じられていた。
 今では、病院に併設された「産後保養センター」での静養が普及している。約1ヵ月、母体を休ませ、体調の回復に努める。
 センターに助産師が常駐し、食事も毎食用意してくれる。家族が同室で寝泊まりできる施設もある。
 料金は1泊1万5,000~5万円。
 産後保養センターに入れない人は、坐月子の期間、母親や義母が身の回りの世話をしてくれる。産後ケアシッターの派遣サービスもある。
 
●慈済基金会(p180)
 世界的に有名な慈善団体。仏教系の団体で、世界54か国・地域に組織を有し、様々なボランティア活動を行っている。台湾内では、大学や病院、テレビ局を運営している。
 ビジネスで財を成した人がしばしば寄付先として選ぶのも慈済基金会である。
 2011年の東日本大震災の際にも、震災翌日に現地入りしたのが慈済基金会のメンバーたちだった。3万円の現金が入った封筒を被災者たちに配って回った。
 
●ピンクマスク運動(p204)
 2020年4月、台湾では市民全員に向けてマスクを配布した。性別に関係なく、白やブルー、ピンクのマスクを配布。
 ピンクのマスクを受けとり、「学校に行きたくない」と訴える小学生の男子が続出。
 これを受けた定例記者会見で、CECC(中央流行疫情指揮センター)の陳時中センター長をはじめ、同席した関係者たちが皆ピンクのマスクを着用して登場。「ピンクはいい色だよ。マスクは色より、ウィルスから身を守る機能が大切ですよ」と訴える。その後、総英文総統もインスタグラムにて「ピンクは女性だけの色ではない」というメッセージを投稿。
 政府の姿勢に共鳴した企業各社は、自社のロゴをピンクにして「ピンクマスク運動」に賛同を示す。
 大人たちが率先して「身につけているものの色で人を差別してはいけない」という姿勢を見せることで、社会全体にジェンダーフリーの意識が広まっていった。
 
(2023/6/22)NM
 
〈この本の詳細〉


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