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ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた
 [社会・政治・時事]

ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた
 
斎藤幸平/著
出版社名:KADOKAWA
出版年月:2022年11月
ISBNコード:978-4-04-400715-7
税込価格:1,650円
頁数・縦:220p・19cm
 
 「毎日新聞」文化面に、2020年4月から2022年3月まで連載された「斎藤幸平の分岐点ニッポン」に、「特別回 アイヌの今」を加えて書籍化した。哲学者が「現場」に行って様々なことを経験し、いまのニッポンに関する感想を綴る。
 
【目次】
第1章 社会の変化や違和感に向き合う 
 ウーバーイーツで配達してみた―自由と、自己責任と
 どうなのテレワーク―見直せ、大切な「無駄」
 京大タテカン文化考―表現の自由の原体験
  ほか
第2章 気候変動の地球で
 電力を考える―1人の力が大きな波に
 世界を救う?昆虫食―価値観の壁を越えれば
 未来の「切り札」?培養肉―食のかたちをどう変えるか
  ほか
第3章 偏見を見直し公正な社会へ
 差別にあえぐ外国人労働者たち―自分事として
 ミャンマーのためにできること―知ることが第一歩
 釜ケ崎で考える野宿者への差別―内なる偏見に目を
  ほか
 
【著者】
斎藤 幸平 (サイトウ コウヘイ)
 1987年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科准教授。ベルリン・フンボルト大学哲学科博士課程修了。博士(哲学)。専門は経済思想、社会思想。『Karl Marx’s Ecosocialism』(邦訳『大洪水の前に マルクスと惑星の物質代謝』角川ソフィア文庫)によって権威あるドイッチャー記念賞を日本人初、歴代最年少で受賞。同書は世界9ケ国語で翻訳刊行されている。日本国内では、晩期マルクスをめぐる先駆的な研究によって日本学術振興会賞受賞。『人新世の「資本論」』(集英社新書)で新書大賞2021を受賞。
 
【抜書】
●ミナペルホネン(p116)
 1995年にデザイナーの皆川明が設立したファッションブランド。エシカルなファッションを実践している。
 皆川明「結局はリサイクルされないものの方がサステナブル(持続可能)です。」
 「最新のテクノロジーや機械を使わなくても、解決できることがある。それは手間をかけるということだったりする。」
 ミナは、縫製工場で出た余り布をすべて回収し、別のものづくりに生かす。
 ミナは、広告をほとんど打たず、ショーもセールもしない。長く使ってもらえるように修理にも応じる。
〔 アパレル業界は「トレンド」を後追いし、「新作」と「旧作」の見分けもつかないような似た服を毎シーズン大々的に売り出している。生産現場のコストカットを断行する一方、コラボや広告費だけは膨れ上がる。その結果、消費者が要らないものを買わされるなら、誰も幸せにならない。〕
 
【ツッコミ処】
・虚無感(p19)
 ウーバーイーツの配達員。
〔 それに、配達員はアプリの指示を追っている分にはサイクリング気分だと言ったが、裏を返せばただスマホの指示をぼーっと追っているだけで、創造性を発揮する余地は少ない。「誰にでも」「空いた時間」でできる仕事は低賃金だ。それ以上のやりがいがあればいいかもしれない。お金もうけではなく、人との繋がりがシェアリング・エコノミーの醍醐味のはずだから。だが、他者と触れ合う時間は一瞬で、「お疲れ様、ありがとう」もない。何もシェアしていないのだ。ギグワークはAIやロボットにやらせるとコストが高過ぎる作業を人間が埋めているような虚無感が残る。〕
  ↓
 配達員のやりがいとは、他者との触れ合いより、暇な時間を自転車に乗ることで運動ができる、ということかなと思う。はなから創造性なんか求めてないし。
 引退して年金生活になった時の無聊を解消し、身体を動かす機会として、配達員は相応しいのではないか。お小遣い稼ぎにもなるし。
 自転車に乗るのは好きなのだが、どこかに行く目的もなく乗るのは、飽きてしまって続かない。ウーバーイーツでその目的地ができればちょうどいい。
 引退して暇になったら配達員をやってみようかな、とひそかに思っている。
 
(2023/12/4)NM
 
〈この本の詳細〉


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