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#Z世代的価値観
 [社会・政治・時事]

#Z世代的価値観
 
竹田ダニエル/著
出版社名:講談社
出版年月:2023年9月
ISBNコード:978-4-06-532945-0
税込価格:1,650円
頁数・縦:204p・19cm
 
 Z世代の旗手(?)、竹田ダニエルによる「Z世代論」。ただし、Z世代といっても米国の話。日本は、ひと世代(10~15年スパン)遅れているらしい。
 
【目次】
はじめに 日本とアメリカのZ世代の違いの話
STYLE―「ホットガール」はセルフラブがつくる
HEALTH―セラピーは心の必需品
FOOD―「リアル&楽しい」食に夢中
MOVIES―エブエブ旋風の奇跡
SNS―さよなら「インフルエンサー」消費
BOOKS―つながりが広げる読書
MONEY―ブランド価値より「今」の価値
WORK―「仕事≠人生」的な働き方
対談―#Z世代的価値観を考える
おわりに 自分は「Z世代の代弁者」ではない
 
【著者】
竹田 ダニエル (タケダ ダニエル)
 1997年生まれ、カリフォルニア州出身。「カルチャー×アイデンティティ×社会」をテーマに執筆し、リアルな発言と視点が注目されるZ世代ライター・研究者。「音楽と社会」を結びつける活動を行い、日本と海外のアーティストを繋げるエージェントとしても活躍。著書に『世界と私のA to Z』。「Forbes JAPAN 30 under 30 2023」受賞。カリフォルニア大学バークレー校大学院在学中。
 
【抜書】
●ブーマー世代(p7)
 米国における世代区分。
 ブーマー世代……1946~64年生まれ。
 X世代……1965~79年生まれ。
 ミレニアル世代……1981~95年生まれ。
 Z世代……1990年中頃~2000年代生まれ。
 
●メンタルヘルス(p46)
〔 今まで社会が頑なに維持してきた有害なサイクルを断ち切る鍵を持っているのは、Z世代だ。セラピーに通うことが一般的になり、メンタルヘルスについて発信し、親しい人と強固な信頼関係を築くことでお互いにかつてはタブーだったような対話を行い、セルフケアを優先できるような世界を、Z世代は作っている。
 「毎日を楽しく生きなくても良い。たとえ社会に希望が感じられなくて生きることが辛かったとしても、未来への希望を持ち続ける、ただそれだけのことが必要なのです」。私がセラピストに言われたことで、強く印象に残っている言葉だ。「幸せ」や「完ぺき」を求めなくても、少しでも今より良い未来が来ると希望を持って自分と向き合っていけたら、自分にも、そして周りの人々に対しても優しくなれるかもしれない。〕
 
●10分の1(p90)
 2020年、プリンストン大学の報告書。
 工場の操業や製品の洗浄に使用する水のうち、アパレル産業がその10分の1を占め、廃棄される衣服のうち、57%が埋め立て地へ向かう。
 Nature Reviews Earth & Environmentに掲載された研究では、アパレル産業は毎年9200万トンの廃棄物を出し、79兆リットルもの水を消費している。
 
●dupe(p111)
 いま米国では、Z世代の間で「dupe」の革命が起きている。
 dupe……duplicateを略したスラング。正規品に似せている低価格商品。模倣品(counterfeit)とは意味合いが異なり、化粧品であれば発色が似ているもの、電化製品であれば機能が似ているもの、服であればデザインが似ているもの、を指す。
 〔dupeという語が安価な代替品という意味で一般的に使われるようになったのは、2008年の不況の頃だと言われている。一昔前は「ホンモノ」でないものを買うことに躊躇や羞恥心があったかもしれないが、大手インフルエンサーや一般人がことごとくdupeを買って紹介したり、dupeを見つけたことをポジティブにひけらかすところを見ると、もはやそれは「悪いこと、恥ずかしいこと」ではなく、むしろ「ストリートスマート」であると受け止められるのは当然のことだろう。〕
 
●Dupe Swap(p118)
 2023年5月、人気アスレチックブランドのLululemonが、「コピー商品を持ち込んでくれたら本物と交換する」という「Dupe Swap」をロサンゼルスのセンチュリーシティで開催し、9万8000ドル分の商品を無料で配った。
 〔素晴らしい品質でありながら、高くてなかなか手が出ないというAlignレギンスを実際に客に穿いてもらうことで、dupe商品との質の違いを体感させる、という試みだ。〕
 スワップに来た1000人のうち、50%は新規顧客で、その半数は30歳未満だったという。
 
●矛盾の世代(p135)
〔 いろいろなところで述べているが、Z世代は「矛盾の世代」とも言える。環境問題に配慮したいけれど、ファストファッションブランドで買い物もする。資本主義には反対だけれど、毎日頑張っている自分に「ご褒美」を買ってあげたくもなる。多様なバックグラウンドを持つ人々が集まっている世代だからこそ、価値観も非常に多様で、一括りにすることは不可能だ。しかしその多様性の中でも、一貫して「もっと生きやすい世界になってほしい」という思いが強く存在しているように、私には感じられる。自分が生きやすい世界にしたいという気持ちは、今の社会が生きづらいことの裏返しでもあるとも捉えられる。Z世代は、自分で簡単にこのトロールできる「身の回りのこと」だけに集中しよう、という「丁寧な暮らし」や「自分のことだけをする」といった試みによって「個人の力で気分良く過ごす」だけではない。
 そこから目を転じて大きなシステムの枠組みにまで疑いを持ち、なぜ自分の生活が豊かにならないのか、前の世代のように恩恵を受けるのが難しいのか、なぜ自分が好きなように生きられないのか、苦労をしなければならないのかを繰り返し問うてきた。だからこそ、その理由をZ世代は若い頃からどこかで悟っている。誰かが大いに得をし、誰かが搾取される格差社会が悪化しており、根幹に後期資本主義の問題があることを。
 「大人に任せておけばいい」という時代は、もうすでに終わっている。自分たちの手で、「昔からそうだったから変わらない」という前提ごと覆してしまう。どんどん「変化の前例」を作っていくことで、自分たちの手で腐った社会を少しずつ変えられることを証明している。我慢していても誰の得にもならない、という「絶望」と「希望」を抱えながら、「生きているという手応え」を感じるために、彼らは行動しているのだ。〕
 
●正解はないけど間違いはある(p191、永井玲衣)
 〔ある哲学対話の際に学生がぽつりと漏らしたひと言が忘れられないんです。「社会に“正解はない”っていうのはわかりました。でも正解はないけど“間違い”はありますよね」と。だから、声を上げると「それは違う」と叩かれたり、誰かを傷つけたりしてしまうんじゃないかと言うんです。正解はないのに間違いだけがある社会って、どれだけ苦しいんだろうと思います。その学生の、怒りをはらんだ悲しげな雰囲気が忘れられないです。〕
 
【ツッコミ処】
・女性らしい男性(p23)
〔 「Bimbo」という言葉は、元々はイタリア語の「bambino」に由来し、1800年代には女性らしい男性を揶揄するために使われたという。〕
  ↓
 女性らしい男性?? 女なのか、男なのか……。
 普通、「男らしい男」という言い方はするが、「女らしい男」とは言わないだろう。「女性っぽい男性」もしくは「女性みたいな男性」か?
 
(2023/12/18)NM
 
〈この本の詳細〉


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