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会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション
 [言語・語学]

会話を哲学する~コミュニケーションとマニピュレーション~ (光文社新書)
 
三木那由他/著
出版社名:光文社(光文社新書 1215)
出版年月:2022年8月
ISBNコード:978-4-334-04622-4
税込価格:1,012円
頁数・縦:299p・18cm
 
 コミックや小説などの創作物内で語られた会話を題材に、「約束事」をキーワードにして会話のもつ様々な機能を探る。
 ボーイズ・ラブとか、レズビアンとか、引用される作品に性的マイノリティを扱ったものが多いなぁ、と思っていたら、著者自身がトランスジェンダーなのだそうだ。本人の弁。
 
【目次】
第1章 コミュニケーションとマニピュレーション
第2章 わかり切ったことをそれでも言う
第3章 間違っているとわかっていても
第4章 伝わらないからこそ言えること
第5章 すれ違うコミュニケーション
第6章 本心を潜ませる
第7章 操るための言葉
 
【著者】
三木 那由他 (ミキ ナユタ)
 1985年、神奈川県生まれ。大阪大学大学院人文学研究科講師。京都大学大学院文学研究科博士課程指導認定退学。博士(文学)。
 
【抜書】
●マニピュレーション(p30)
 会話を通じて誰かの心理や行動を操作しようとすること。
 
●意味の占有(p204)
 〔わたしは、こうした当事者間の力関係や社会的な力関係によって、会話参加者のいずれかが不利益を被るような仕方でコミュニケーションがなされることを、「コミュニケーション的暴力」と呼んだりしています。なかでも本書で取り上げたような、コミュニケーションによってつくられた約束事を一方にとって都合がいいように捻じ曲げてしまうようなコミュニケーション的暴力を、「意味の占有」と呼んでいます。発話がどのような意味を持っているのかの決定権を独り占めし、相手が口出しできないようにしたうえで、そのようにして自分に都合のよいように捻じ曲げた約束事に相手を服従させる、というイメージですね。〕
 
●『言語の七番目の機能』(p265)
 ローラン・ビネの小説。東京創元社。
 ロラン・バルトの事故死を題材にした風変わりなミステリ。言語学者ローマン・ヤコブソンは言語が持つ六つの機能を分類したが、それに収まらない七つ目の機能がテーマである。
 
●約束事(p290)
 コミュニケーションには、「約束事を形成する」という側面がある。これは、哲学者マーガレット・ギルバートが提唱する「共同的コミットメント」という概念に対応している。
 
(2023/10/12)NM
 
〈この本の詳細〉


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海賊たちは黄金を目指す 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘
 [歴史・地理・民俗]

海賊たちは黄金を目指す: 日誌から見る海賊たちのリアルな生活、航海、そして戦闘
 
キース・トムスン/著 杉田七重/訳
出版社名:東京創元社
出版年月:2023年7月
ISBNコード:978-4-488-00398-2
税込価格:2,970円
頁数・縦:367, 13p・20cm
 
 1680年春、コロンビアとパナマの間に横たわる未開のジャングル、ダリエン地峡を越えて太平洋に躍り出たバッカニアたちの冒険の物語。無法者たちは、クナ族の王アンドレアスに頼まれ、スペイン人にさらわれた孫娘を救出するため、南海(太平洋)側要塞サンタ・マリアに進撃する。
 冒険に加わった7人の海賊たちの航海日誌をもとに綴ったノン・フィクションということである。バジル・リングローズ(『アメリカのバッカニアの歴史第2巻』、1685年)、バーソロミュー・シャープ、ウィリアム・ダンピア(『最新世界周航記』、1697年)、ライオネル・フェイファー、ジョン・コックス(『バーソロミュー・シャープ船長の航海日誌と冒険』、1684年:実際にはコックスの日誌)、ウィリアム・ディック、エドワード・ポウヴィー、の7人である。
 
【目次】
第1部 黄金への渇望
 プリンセス
 黄金の剣士
 地峡
 ゴールデン・キャップ
 決死隊
 西半球で二番目に大きい都市
 根っからの海賊
 気楽なカヌーの旅
 漂流者たち
 奇襲
 ドラゴン
 運任せの勝負
 甲板を流れる奔流のような血潮
 叛乱
第2部 南海
 我らが銃の銃口
 海に呑みこまれる
 高潔であっぱれな勇者
 ヘビの髪を持つ姉妹
 浮かれ野郎ども
 水、水
 代償金
 八十五人の屈強な仲間たち
 ロビンソン・クルーソー
 非常に美しく堂々とした町、セント・マーク・オブ・アリカ
 うずき
第3部 苦境
 射殺を覚悟する
 積み薪
 瀉血
 温められた甲板
 ホーン岬
 陸地初認
 銀のオール
 続編
 
【著者】
トムスン,キース (Thomson, Keith)
 セミプロの野球選手や風刺漫画家、脚本家などさまざまな職業を経て作家に。現在はアラバマ州バーミングハムに家族と暮らす。
 
杉田 七重 (スギタ ナナエ)
 東京都生まれ。東京学芸大学卒。英米文学翻訳家。
 
【抜書】
●プライベーティア(p24)
 私掠船。他国の船舶を略奪する免許を政府から公式に与えられた船。
 
●バッカニア(p24)
 海賊のこと。
 イスパニョーラ島やトルツガ島で猪や雄牛を狩るboucaniersとして知られる猟師たちに、イングランドやフランスの植民地長官が委任状や「他国籍商船拿捕免許状」を発行し始めた17世紀後半に端を発する。boucaniersとは、もともとブラジルの先住民トゥピ族が使っていた、木製のグリルを意味するフランス語のboucanに由来。猟師たちが好んで使っていた。
 ただし、「堕落した人間たちとつるむ」「下劣な雄山羊のような振る舞いをする」という意味のフランス語boucanerからきているという説もある。
 
●ワグナー(p350)
 海事用語。海図や地図を集めた本。
 1584年に、この種の収集物を初めて出版した、オランダ人の地図製作者ルーカス・ワグナーにちなんだ名前。
 
(2023/10/12)NM
 
〈この本の詳細〉


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