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シン・日本経済入門
 [経済・ビジネス]

シン・日本経済入門 (日経文庫)
 
藤井彰夫/著
出版社名:日経BP日本経済新聞出版本部(日経文庫 1436)
出版年月:2021年4月
ISBNコード:978-4-532-11436-7
税込価格:1,100円
頁数・縦:229p・18cm
 
 平成以降の30年の日本経済の変化を、日本経済新聞社の論説委員長が概観する。
 世界の「日本化」という現象が起こっているという。高齢化・人口減少や非伝統的金融政策など、これまで他国が経験したことのない状況に日本は置かれている。世界は「トップランナー」(?)たる日本の取り組みを注視し、見習おうとしているというのだ。世界の範たる日本、ということか。喜ばしいのか、誇らしいのか……。うまく乗り切れればいいだが。
 
【目次】
第1章 平成の30年と波乱の令和
第2章 デジタル革命の衝撃
第3章 脱炭素革命とエネルギー
第4章 人口減少と少子・高齢化
第5章 金融政策・財政の試練
第6章 グローバル経済と日本
 
【著者】
藤井 彰夫 (フジイ アキオ)
 日本経済新聞社論説委員長。1962年生まれ。85年早稲田大学政治経済学部卒、日本経済新聞社入社。経済部で経済企画庁、日銀、大蔵省などを担当し、主にマクロ経済・金融・財政を取材。ニューヨーク米州総局、ワシントン支局記者、経済部次長、編集委員兼論説委員、欧州総局編集委員、ワシントン支局長、Nikkei Asian Review編集長、上級論説委員などを経て現職。
 
【抜書】
●2040年問題(p156)
 2025年問題……団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護費用が急増する。
 2040年問題……団塊ジュニアの世代も65歳になり始め、団塊世代は90歳以上の超高齢者(日本老年学会の定義)に。
 厚生労働省の将来見通しによると、2040年度の社会保障給付は、18年度に比べて1.5倍の190兆円。そのうち年金は73.2兆円で1.3倍。医療は1.7倍の68.5兆円、介護は2.4倍の25.8兆円。
 
●フォワード・ガイダンス(p171)
 中央銀行があらかじめ将来の金融政策の指針を示して、政策の効果を強めようとする手法。
 日本銀行では、「時間軸政策」と名付けている。米欧に先駆けて世界で初めて導入。
 
●資産買入等基金(p172)
 2010年10月、日銀は「資産買入等基金」を創設し、「包括緩和」として国債以外に上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など、リスクのある資産も買い始めた。
 資産買入等基金は、当初の35億円から12年10月には80兆円まで拡大した。
 
●先頭ランナー(p190)
〔 こうしてみてくると、バブル崩壊後に日銀が先頭ランナーで進めた、ゼロ金利、量的緩和、リスク資産購入、フォワード・ガイダンスなど非伝統的政策は世界に広がり、コロナ禍後はそれが加速しているようにみえます。そしてこの金融緩和は財政支出拡大、国債増発というなかで進んでいることも同様です。これが世界の「日本化」と呼ばれる現象です。〕
 
●米中逆転(p214)
 経済協力機構(OECD)などでは、2030年代に中国の国内総生産(GDP)が米国を上回って世界一になると予測している。コロナ禍後の中国の景気回復が強いと見込まれるため、「米中逆転」の時期が28〜29年頃になるとの予測も出始めた。
〔 中国経済が急拡大しているのは皆がわかっていることですが、実際に世界第一の経済大国の座が入れ代わることが、国際政治・経済にどのような影響を及ぼすかは注意が必要です。
 全体の規模で米国を上回っても、中国の一人当たりGDPではまだ米国には遠く及ばないのですが、規模で世界一になった中国の対外姿勢にどんな変化が出るのかも要注意です。中国がより大国意識を強め、対外拡張的な政策を進めていくのでしょうか。経済規模世界一から転落した米国は、その現実をどう受け止めるのでしょうか。これまでナンバーワンであることに慣れてきた米国の国内世論の動向も気になるところです。〕
 
●日本の指導力(p220)
〔 TPP11交渉は日本が初めて多国間の通商交渉で指導力を発揮した例です。これまで通商交渉と言えば、日本は米国などから農作物などの市場自由化を求められ、それに抵抗しながら何とか自国に有利な形に持っていくという「受け身」のものでした。TPP交渉も最初は米国からの圧力という面もあったのですが、米国が抜けた後は、日本が多国間自由貿易の騎手として取りまとめにあたったのです。TPP交渉で勢いづいた日本は、17年末には欧州連合(EU)との経済連携協定も妥結し、19年に発効しました。〕
 
(2021/9/18)NM
 
〈この本の詳細〉

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