SSブログ

イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち
 [スポーツ]

イップス 魔病を乗り越えたアスリートたち (角川新書)
 
澤宮優/〔著〕
出版社名:KADOAWA(角川新書 K-372)
出版年月:2021年10月
ISBNコード:978-4-04-082397-3
税込価格:1,056円
頁数・縦:273p・18cm
 
 ゴルフでパットの際に腕が固まって狙いどおりに打てない、野球の投手で指が緊張してストライクが入らない……。これらの症状を「イップス」と呼ぶ。
 身体的原因、精神的原因のいずれも考えられるが、本書では、実際にイップスに苛まれ、克服したプロ野球選手およびプロゴルファー5名の実例を取り上げ、イップスの身体的なメカニズムについて考察する。
 
【目次】
第1章 捕手にボールが届かない―岩本勉(元北海道日本ハムファイターズ投手)
第2章 一塁への送球がスライドしてしまう―土橋勝征(元東京ヤクルトスワローズ内野手)
第3章 ボールが指にひっかかる―森本稀哲(元北海道日本ハムファイターズ外野手)
第4章 自分の写真を見たことでパター不振に―佐藤信人(プロゴルファー)
第5章 パターする腕に電気が走った―横田真一(プロゴルファー)
第6章 イップスのメカニズム
 
【著者】
澤宮 優 (サワミヤ ユウ)
 1964年、熊本県生まれ。ノンフィクション作家。青山学院大学文学部史学科卒業、早稲田大学第二文学部日本文学専修卒業。主に陰の世界で懸命に生きる者に光を当てることをテーマに幅広く執筆。2003年に刊行された『巨人軍最強の捕手 伝説のファイター吉原正喜の生涯を追う』(晶文社、のち『戦火に散った巨人軍最強の捕手 吉原正喜・炎の生涯』と改題のうえ河出文庫)で第14回ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。
 
【抜書】
●イップス(p7)
 Yips。もともとゴルフから来た用語。
 1930年前後に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマーが、パットがうまくいかなくなり、ゴルフ生命を絶たれた。1967年に、彼がこの症状を「イップス」と名付けたのが始まり。
 「イップス」の語源は、子犬が鳴く声を表したもの。あるいは人が突発的に出す声で、「ひゃあ」「うわあ」を意味する。アメリカでは、何か失敗したときにとっさに「ウップス」と声を上げる。「やってしまった」「しまった」という意味。
 言葉自体も学術的な根拠からできたものではない。
 
●ジストニア(p226)
 大脳基底核に障害が起こり、筋肉に意思を伝える中枢神経機能の抑制系が低下して異常をきたす症状。過度に筋肉が作動して運動の目的を遂行できないという障害。
 理容師がハサミを使いすぎて、ハサミを持った瞬間に手が震える。歌手で声が突然でなくなる。ギタリストで薬指と中指が同時に動いてしまう。書痙。弓道の早気(はやけ:矢を放つとき、弓を引いた状態のまま矢を放つタイミングをはかる「会〈かい〉」という段階があるが、会を十分に待てずに早期に発射してしまう癖)。など。
 イップスは、ジストニアの一種?
 イップスは、クローズスキルのときに起こりやすい。
 クローズスキル……運動の動き出しが相手ではなく自分にあるとき。キャッチボールでいえば、相手からボールを受けるのではなく、自分から投げる時。
 
●課題固有(p248)
 イップスは、「職業性ジストニア」に似ているが、イップスの症状が職業と関係ない場合もある。そこで、「課題固有の局所性ジストニア」という呼び方が適正かもしれない。
 
(2022/3/17)NM
 
〈この本の詳細〉


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。