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サピエンス減少 縮減する未来の課題を探る
 [社会・政治・時事]

サピエンス減少 縮減する未来の課題を探る (岩波新書)
 
原俊彦/著
出版社名:岩波書店(岩波新書 新赤版 1965)
出版年月:2023年3月
ISBNコード:978-4-00-431965-8
税込価格:968円
頁数・縦:167p・18cm
 
 これまで、人口転換は、高動揺期(多産多死)→初期膨張期(多産中死)→後期膨張期(中産少死)→低動揺期(少産少死)という推移をたどり、最終的に世界の人口は安定する、と考えられてきた(p.59)。しかし、ここにきて第二の人口転換ともいうべき状況が生まれ、出生率と死亡率が逆転し、世界全体の人口減少が始まろうとしている。すでに日本や先進諸国では経験中の現象である。
 将来の人口縮減に備え、人類はどうするべきなのか。
 本書では、人口学の基礎的な知見を披露しつつ、将来のあるべき姿を模索する。
 
【目次】
序 世界人口の増加と日本の人口減少をどう考えるべきか?
第1章 縮減に向かう世界人口
第2章 持続可能な人口の原理
第3章 多産多死から少産少死へ
第4章 人口が減ると何が問題なのか?
第5章 サピエンス減少の未来
 
【著者】
原 俊彦 (ハラ トシヒコ)
 1953年東京都生まれ。人口学者。早稲田大学政治経済学部卒、フライブルク大学博士(Ph.D.)。(財)エネルギー総合工学研究所、北海道東海大学、札幌市立大学を経て札幌市立大学名誉教授。日本人口学会理事、国立社会保障・人口問題研究所研究評価委員などを歴任。
 
【抜書】
●平均寿命(p12)
 世界全体の平均寿命。
 1950年46.5歳、2022年71.7歳、2100年82.1歳?
日本は、
 1950年59.2歳、2022年84.8歳、2100年94.2歳?
 
●移民(p96)
〔 したがって、日本に代表される人口転換の先発地域が人口の持続可能性を維持し社会システムの崩壊を防ぐには、生産年齢人口の爆発的な増加が期待されるサブサハラ・アフリカなどへの経済支援、投資を積極的に進めるとともに、その旺盛な需要に応えることで経済成長を続け、国際人口移動(移民)の受け入れを通じ、少子高齢・人口減少のスピードを緩和するしかないと考える。〕
 
●生き残りゲーム(p104)
〔 これに対し人口が急激に減少する場合にも様々な問題が発生するが、人口減少では人口の縮減自体が生産年齢人口の減少を通じ、社会資本の蓄積や社会的生産の拡大を困難にする。また人口減少では社会経済システムを縮んでゆく人口規模に合わせ、常に縮減再編し続けなければならないという問題が発生する。パイの縮小、ストロー(吸い上げ)効果(straw effect)などと呼ばれるが、縮減する社会資本や社会的生産のもとでは就業機会が減り、分け前にあずかれる人が減る一方、わずかな余剰も削減され、吸い上げられることになる。また人口減少に合わせ組織の無駄を省きスリム化することが常に求められるため、人口増加時のような、全員参加型の前向きの競争はなくなるが、ギスギスして陰湿な生き残りゲームのような競争が生じる傾向が強い。このような状況が社会全体に浸透していけば社会的不満や不安が鬱積し、集団として組織化することはあまりないとしても、突然、個人的に爆発したり暴走する危険性が強い。〕
 
【ツッコミ処】
・数百万人(p1)
 〔世界人口については、現在までのところ地球外との人の出入りはほとんどないので(航空機で大気圏内を移動中の数百万人は地球にいると見なす)、人口の増減は自然動態(出生と死亡)のみで決まるが、世界の様々な地域や国の間では人の移動があるので、自然動態に加え社会動態(転入と転出)も影響する。〕
  ↓
 数百万人! そんなにたくさんの人が同時に飛行機で空を飛んでいるのか!?
 
(2023/12/26)NM
 
〈この本の詳細〉


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