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オシント新時代 ルポ・情報戦争
 [社会・政治・時事]

オシント新時代 ルポ・情報戦争
 
毎日新聞取材班/著
出版社名:毎日新聞出版
出版年月:2022年9月
ISBNコード:978-4-620-32750-1
税込価格:1,760円
頁数・縦:239p・19cm
 
 SNSが普及し、誰もがネットで発信できるようになって、オシント(open-source intelligence)が幅広く効率的に行えるようになった。今では、専門家でなくてもネットで収集できる情報をもとに「探偵」ができる。
 そんな時代を反映した世界の情報戦争(国家間の争いとは限らない)をレポートする。
 
【目次】
序章 ウクライナ侵攻とSNS時代の「情報戦」
第1章 ベリングキャットの衝撃―「気持ちいい情報は危うい感情の世紀、どう生きるか」
 インタビュー:中西輝政さん
第2章 「隠れ株主」中国を探せ―「サプライチェーンのAI解析で見えた『無責任企業のつながり』」
 インタビュー:水野貴之さん
第3章 市民もオシント―「グローバル企業の監視をあきらめるな」
 インタビュー:林香里さん
第4章 ワクチンめぐるデマも拡散
第5章 迫る「ディープフェイク」の脅威―「ディープフェイク最大の脅威は『うそつきの配当』」
 インタビュー:ニーナ・シックさん
第6章 公開情報を分析せよ 動き出した政府―「日本のインテリジェンスは米の周回遅れ」
 インタビュー:兼原信克さん
 
【抜書】
●4分の1(p100)
 売り上げベースで見たとき、中国政府は国有企業を通じて、間接的に香港全体で約4分の1の企業に影響力を持っている。
 インフラ関連では全体の6割、採掘業にいたっては9割以上に及んでいる。
 1997年の返還当時、人口約650万人だった香港の域内総生産(GDP)は、約12億人の中国本土の約18%相当あった。2021年には2%に下がった。
 
●水際の画像(p142)
 2018年7月7日(土)、岡山県倉敷市真備(まび)町で高梁川支流の小田川水系が氾濫した際、国土地理院地理情報処理課所属の古田一希(31歳)は、即座に自宅で浸水マップを作製した。ツイッターに投降された水際の画像などを参考にして浸水地域をマップに落とし込んでいった。
 翌日曜日、自主出勤してそのマップを上司に見せると、ほぼそのままの形で国土地理院ホームページに公開された。
 通常は、高度約2300mから撮影した航空写真を手掛かりに浸水マップを作成している。しかし、悪天候の中では専用の航空機を飛ばすことは難しく、撮影しても雨雲に隠れてうまくいかないことも多い。
 
●シビックテック(p147)
 国や自治体が公開する統計などの「オープンデータ」を市民が活用し、様々な社会課題を解決すること。
 2020年、東京都は、コロナ情報を伝える専用HPを、一般社団法人コード・フォー・ジャパン(CfJ)に依頼して作った。CfJは、都の入札に参加する段階でHP製作の下準備をはじめ、3月2日に正式に契約を結ぶと、都職員とも協力しながら一気にプログラムを組み上げ、翌3日深夜に公開した。
 ただし、「完成品」とは言えないサイト。HPのプログラム(ソースコード)をGitHubというウェブサービス上に無料公開し、そこに改善点や要望を誰でも書き込めるようにした。全国のIT技術者らから、プログラムの改善点や様々な提案が寄せられた。台湾デジタル担当相オードリー・タン氏から、「繁体字」の表記を現地で使われる「繁體字」に改めることはできないかという要望も寄せられた。
 
●4chan(p205)
 英語圏最大規模の掲示板。2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)を開設したひろゆき(本名・西村博之)が運営。
 Qアノンの発信元「Q」が、2017年10月に最初に投降したとされる掲示板。Qの投稿は4chanから8chan(現・8kun)に移ったと言われている。
 8chanは、ロン・ワトキンスが管理人を務めていた。2020年11月3日に辞任を表明。父親のジム・ワトキンスは、米国の8kunと日本の5ちゃんねるの両方を運営している。
 
(2023/1/7)NM
 
〈この本の詳細〉


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