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なめらかな社会とその敵 PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論
 [社会・政治・時事]

なめらかな社会とその敵 ――PICSY・分人民主主義・構成的社会契約論 (ちくま学芸文庫 ス-28-1)
 
鈴木健/著
出版社名:筑摩書房(ちくま学芸文庫 ス28-1 Math & Science)
出版年月:2022年10月
ISBNコード:978-4-480-51120-1
税込価格:1,540円
頁数・縦:443p・15cm
 
【目次】
第1部 なめらかな社会
 生命から社会へ
 なめらかな社会
第2部 伝播投資貨幣PICSY
 価値が伝播する貨幣
 PICSYのモデル
 PICSY、その可能性と射程
第3部 分人民主主義Divicracy
 個人民主主義から分人民主主義へ
 伝播委任投票システム
第4部 自然知性
 計算と知性
 パラレルワールドを生きること
第5部 法と軍事
 構成的社会契約論
 敵
 生態系としての社会へ
 
【著者】
鈴木 健 (スズキ ケン)
 1975年長野県生まれ。1998年慶應義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は複雑系科学、自然哲学。東京財団仮想制度研究所フェローを経て、現在、東京大学特任研究員、スマートニュース株式会社代表取締役会長兼社長。
 
【抜書】
●PICSY(p99)
 Propagational Investment Currency System。伝播投資貨幣システム。
 通常の貨幣である決済貨幣は、SECSY(Settlement Currency System)。
 
●分人(p204)
 dividual。
 ジル・ドゥルーズが「管理社会について」(1990年)という短い論考の中で使った概念。
 現代社会は規律社会から管理社会へ移行している。権力のあり方が、学校、監獄、病院、工場といった閉鎖された空間における規律訓練から、生涯教育、在宅電子監視、デイケアといった時空間に開かれた管理へと変容していく。
 規律社会において、人々が同定されるのはサインと番号のペアであり、それぞれ個人(individual)と大衆(mass)のペアを意味している。
 管理社会では、パスワードというコードが重要。こうした変容はコンピュータという機械によって可能となる。人々を動かすのは、もはや閉鎖された空間での規律を獲得するための合言葉(watchword)ではなく、パスワードによって一人が複数の異なるアクセス権を状況に従って使い分けるようになる。もはや個人/大衆(individual/mass)ではなく、分人(dividual)というべき存在が生まれてくる。
 
●CRISPR-Cas9(p416)
 細菌(バクテリア)は、DNA にCRISPR領域というものをもち、過去感染したファージ(バクテリオファージ。ウイルス)のDNAを時間順に保存していくことができる。過去感染したファージを記録することによる免疫システムの一部と考えられている。新たに細菌内に侵入してきた外来性DNAと照合することにより、もしかつて感染したウイルスであれば、これを切断することで増殖を防ぐ。
 また、これらの記憶、照合、切断を実行する種々のタンパク質をコードする遺伝子群のことをCasと呼ぶ。
 CRISPR領域を使って遺伝子編集ツールを作ったのがCRISPR-Cas9である。
 
(2023/7/13)NM
 
〈この本の詳細〉


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