バルサ・コンプレックス “ドリームチーム”から“FCメッシ”までの栄光と凋落
[スポーツ]
サイモン・クーパー/著 山中忍/訳
出版社名:ソル・メディア(footballista)
出版年月:2022年4月
ISBNコード:978-4-905349-62-4
税込価格:2,200円
頁数・縦:522p・19cm
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クライフから現在のメッシにつながる、バルサ流―サッカーの遷移を語る。
クライフに対してもメッシに対しても、辛口な筆致が印象的である。
【目次】
第1部 大聖堂の裏側
バルサに触れ、バルサを知る
「バルサの館」名士録
第2部 ザ・創造者
足で語った男
FCバルセロナ(教祖ヨハン・クライフ作)
ほか
第3部 黄金期2008-2015
身長不問の寄宿学校、アカデミー以上の存在
リオネル・メッシの摩訶不思議
ほか
第4部 ザ・タレント
“タレント”とは
“絶対才人制”
ほか
第5部 大聖堂の崩壊
移籍市場の悲喜劇
盗まれたマシア
ほか
【著者】
クーパー,サイモン (Kuper, Simon)
ベストセラー『Soccernomics』の共著者。ウィリアム・ヒル主催の年間スポーツ本大賞を受賞した処女作『サッカーの敵』(白水社)は、サッカー関連書籍の名著として広く知られる。かつては英国の『タイムズ』紙と『オブザーバー』紙でフットボールコラムを担当し、現在は英紙『フィナンシャル・タイムズ』のコラムニスト。
山中 忍 (ヤマナカ シノブ)
1966年生まれ。青山学院大学卒。94年に渡欧し、駐在員からフリーライターに。第二の故郷である西ロンドンのチェルシーをはじめ、「サッカーの母国」におけるピッチ内外での関心事を、時には自らの言葉で、時には訳文として綴る。英国スポーツ記者協会およびフットボールライター協会会員。
【抜書】
●クライフ対クライフ(p156)
〔 そして、サッカーそのものをも変えた。以前、ファビオ・カペッロは「フットボールの近代史における3大レガシー」として、「ダッチ・スクール(オランダの“トータルフットボール”)、サッキ時代(於ミラン)、バルサの一時代(グアルディオラ体制下)」を挙げている。いずれも、素早くパスを繋いで攻め、ハイプレスでボールを奪う特徴を持つ、クライフに触発されたチームだ。2010年のワールドカップ決勝は、クライフ個人にとっての栄光の瞬間でもあった。「クライフ対クライフ」とも言われたスペインとオランダの一騎打ちでは、ピッチに立ったスペイン代表選手のうち7名が、クライフ流の育成組織であるマシアで教育を受けた背景を持ち、オランダ代表にも、アヤックスのクライフ流アカデミー卒業生が7名いた。ちなみに本人は、自身のスタイルにより忠実であるとしてスペインを応援していた。〕
●カンテラ(p163)
スペイン語で「石切り場」を意味する。cantera。
●マシア(p177)
カタルーニャ語で「農家」の意味。masia。
●15本、4秒(p267)
グアルディオラがバルサのチームに課したルール。
パス15本……ビルドアップに最低でもパスを15本つないだうえで相手ゴールに襲いかかる。
4秒ルール……バルサがボールを失った瞬間、群れを成してボール奪取を狙う4秒間。
●第一夜効果(p379)
普段とは異なる睡眠環境での1泊目は、脳の半分(主に左脳)が起きたままの異常な状態にある。脳の半球間における信号のやり取りも通常の睡眠中とは違って活発。
アメリカのブラウン大学による研究結果。
おそらく、サバイバルモードの脳が見知らぬ環境での安全性を確認しようとしている。
(2022/9/28)NM
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