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日本の国会議員 政治改革後の限界と可能性
 [社会・政治・時事]

日本の国会議員-政治改革後の限界と可能性 (中公新書, 2691)
 
濱本真輔/著(中公新書 2691)
出版社名:中央公論新社
出版年月:2022年4月
ISBNコード:978-4-12-102691-0
税込価格:990円
頁数・縦:282p・18cm
 
 日本の国会議員の実態を、論文や記事、インタビューを参考に多角的に紹介する。
 
【目次】
第1章 誰が政治家になるのか
第2章 当選に向けた活動とは
第3章 立法過程への参画――議員の仕事
第4章 不安定な議員――政党制の問題
第5章 政治資金――政治家とカネの問題
終章 政治改革後の国会議員とは
 
【著者】
濱本 真輔 (ハマモト シンスケ)
 1982兵庫県生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科博士課程修了。博士(政治学)。大阪大学大学院法学研究科准教授。著書に「現代日本の政党政治」など。
 
【抜書】
●供託金(p7)
 衆議院の小選挙区は300万円、比例代表は600万円(重複立候補は300万円)。
 米国、フランスには供託金がない。
 イギリス、カナダは10万円以下。
 ドイツ(小選挙区比例代表併用制)は、政党の比例代表候補になるために、選挙区で前回選挙での有権者数の1000分の1(最低2000名)の署名が必要。小選挙区のみでの立候補は、200名の署名。
 
●女性議員(p36)
 日本の衆議院議員のうち、女性は9.9%。世界全体の下院議員の平均は25.5%。列国議会同盟(IPU)調べ。
 ただし、参議院では2016年以降、20%以上。(p23)
 
●選挙公営制度(p51)
 国や地方自治体が選挙費用の一部を負担する制度。選挙費用の抑制、経済力による選挙の不公平を防ぐ目的で実施される。
 日本では1925年に導入され、徐々に拡大してきた。
 
●政策担当秘書(p68)
 「3人目」の公設秘書。1993年に創設された。1990年の第八次選挙制度審議会の第二次答申で「国会議員の政策活動が充実し、国民の負託にこたえるよう、政策スタッフとしての議員秘書の増員」が提言された。
 資格要件は4つ。
 (1)国が実施する国会議員政策担当秘書試験に合格した者。合格率10%程度。合格者670名中、採用されたのは85名(2019年度までの累計)。
 (2)司法試験や国家公務員(一種・総合職)試験などの高度な国家試験の合格者や博士号取得者。
 (3)3冊以上の著作を出版し、専門知識を持つ者。
 (4)公設秘書などを一定期間以上務めた者が研修を受講し、修了すること。研修を受けた者のほとんどが資格を得た。
 政策担当秘書の多くは、(4)の要件を満たした者。
 現職議員は、一人当たり平均7人の秘書を抱えている(公設秘書+私設秘書。2012年、東京大学谷口研究室・朝日新聞共同政治家調査)。自民党が8.6人、民主党6.6人、公明党4.4人、共産党4.0人。
 公設秘書の給料は、第一秘書34~53万円、第二秘書27~39万円、政策担当秘書43万円(1級2号給)以上。2020年。「国会議員の秘書の給与等に関する法律」で定められている。
 
●金権民主主義(p224)
 プルトデモクラシー。「プルトス(富)」と「デモス(人民)」。選挙民の支持と経済権力の圧力の両面がある体制。
 政治資金が政治参加の手段となり、富を持っている者が影響力を行使できる程度が高まる。
(2022/12/26)NM
 
〈この本の詳細〉


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