複雑な世界、単純な世界
[コンピュータ・情報科学]
マーク・ブキャナン著
阪本 芳久訳
税込価格 : \2,310 (本体 : \2,200)
出版 : 草思社
サイズ : 四六判 / 357p
ISBN : 4-7942-1385-9
発行年月 : 2005.3
●世界は6人の友人を介してつながっている?
世の中は、不思議なネットワークの法則に従っている。例えば、スタンレー・ミルグラムの実験によれば、アメリカ人のすべては6人の友人を介してつながっているという。「六次の隔たり」の法則だ。
本書では、現代の知的営為の最先端、「ネットワーク科学」の世界を概観できる。「ネットワーク科学」とは、物と物とのつながりを純粋に数学的に解明する科学なのだそうだが、小難しい数式などなしに、素人にも分かりやすく解説している。
先の「六次の隔たり」の例のように、世の中が極めて少ない絆によってつながっている様子を「スモールワールド」と呼ぶ。例えば円周上に1,000の点があるとして、近隣の10の点にのみリンクが張ってある状態を考える。これは、とても規則的なネットワークとなるが、このネットワークの一方の側から反対側に行くには50段階かかってしまう。しかし、この規則的なネットワークの点をいくつかランダムに選び、離れた点同士にリンクを結ぶと、最初50であった「隔たり次数」が劇的に減少する。ネットワーク(つながり方)を分析する際に、この「ランダムなリンク」=「弱い絆」がキーとなる。本書では、「弱い絆」がネットワークの中でどのように機能していくかということを、電力網、神経細胞、エイズの広がり、インターネットなどを例に検証していく。
科学雑誌の編集者あがりのサイエンスライターらしく、本書に登場する科学者たちのエピソードも興味深く書かれており、読んでいて楽しめる。
(05/5/27)【蔵】
<この本の詳細>
http://www.bk1.co.jp/product/2527395
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