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日本の童貞
 [歴史・地理・民俗]

日本の童貞 (河出文庫)

澁谷知美/著
出版社名 :河出書房新社(河出文庫 し23-1)
出版年月 :2015年6月
ISBNコード :978-4-309-41381-5
税込価格 :875円
頁数・縦 :292p・15cm


 女性社会学者による童貞論。2003年5月に刊行された文春新書の文庫版。1997年1月に東京大学大学院教育学研究科に提出した修士学論文「青少年のセクシュアリティをめぐる言説――一八八〇~一九九五年日本、男子篇」に大幅加筆・修正。

【目次】
第1章 「新妻にささげる贈り物」としての童貞―一九二〇年代の学生たち
第2章 童貞のススメ―男の性の問題化と医療化
第3章 貞操の男女平等の暗面―「花柳病男子拒婚同盟」への反応
第4章 女の童貞、男の童貞―「童貞」という言葉の変遷
第5章 「恥ずかしいもの」としての童貞―戦後の雑誌言説
第6章 シロウト童貞というカテゴリー―「恋愛の自由市場」の一側面
第7章 「やらはた」の誕生―童貞喪失年齢の規範化
第8章 マザコン・包茎・インポ―童貞の病理化
第9章 「童貞は見てわかる」―童貞の可視化
第10章 童貞の復権?

【著者】
澁谷 知美 (シブヤ トモミ)
 1972年、大阪市生まれ。社会学者、東京経済大学准教授。専門は男性のセクシュアリティの社会史。

【抜書】
●筆おろし(p46)
 筆おろし、ヒラキ……精通期の男性をつかまえて、初体験をさせること。一部の農村・漁村で行われていた。
 筆おろしの相手は、共同体が近所のおばさんや遠い親戚の女性から選択するか、相手をつとめる女性が「あんたも年頃だからヒラいたらどうぢやろ」と声をかけるかして決まる。高倉薫「童貞開きの伝習奇習」『犯罪科学』1930年10月号、p.179より。
 筆おろしを済ませた少年たちは、「若者組」に入り、年上から共同体のルールを教わる。
 未婚女性には、「娘組」があり、筆おろしのかわりに「破瓜(はか)」がある。

●聖母マリア(p108)
 童貞は、女性のことも指す。特にカトリック教の世界では、1970年代まで用いられていた。 
 「聖母マリア」をさす用法もある。アンドレ・ブルトン&ポール・エリュアール『童貞女受胎』(山中散生訳、ボン書店、1936年)。のちに『処女懐胎』と訳される。和辻哲郎「童貞聖母」(1923年)は、聖母マリアに関する小論。

(2015/11/27)KG

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