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脱「中国依存」は可能か 中国経済の虚実
 [経済・ビジネス]

脱「中国依存」は可能か-中国経済の虚実 (中公選書 132)
 
三浦有史/著
出版社名:中央公論新社(中公選書 132)
出版年月:2023年1月
ISBNコード:978-4-12-110133-4
税込価格:1,980円
頁数・縦:282p・20cm
 
 経済において「中国依存」からの脱却がいかに難しいかを、中立的に論じる。
 そんな中、日本はASEANとの関係を深めるべきであると提案する。
 
【目次】
序章 中国依存から出発する中国経済の見方
第1章 米中通商摩擦―脱「中国依存」の行方
第2章 貿易依存度の低下が示す内製化の進展
第3章 中国はなぜ米国との対立を厭わないのか
第4章 米中対立の行方
第5章 不動産バブル崩壊を防げるか
第6章 過剰債務体質を改善できるか
第7章 共同富裕は格差を是正するか
第8章 対外融資と債権国としての責任
終章 付加価値貿易からみた日本の製造業
 
【著者】
三浦 有史 (ミウラ ユウジ)
 日本総合研究所調査部上席主任研究員。1964年、島根県に生まれる。早稲田大学社会科学部卒業。日本貿易振興会(JETRO)入会、初代ハノイ事務所所長などを経て、現職。著書に『ODA(政府開発援助)―日本に何ができるか』(中公新書、渡辺利夫氏との共著)、『不安定化する中国―成長の持続性を揺るがす格差の構造』(東洋経済新報社、第6回樫山純三賞受賞)などがある。
 
【抜書】
●ロックイン効果(p35)
 集積が新たな集積を呼ぶこと。正のフィードバック。
 脱「中国依存」が進まない理由のひとつ。
 
●貿易大崩壊(p43)
 2009年の金融危機時に、世界の貿易の依存度が大幅に低下した。GDPに対する財・サービス貿易(輸出入額の合計)の比率が、前年の61.6%から52.5%に落ちた。
 同依存度はその後回復したが、2011年から再び緩やかに低下し、2020年には新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、51.6%となった。
 
●双循環(p57)
 2020年5月の共産党中央政治局常務委員会で提議された概念。
 米国との通商摩擦激化や新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、輸出に依存した成長パターンが続かないことに対する不安から、海外市場だけでなく国内市場にも目を向けようという政策。
 
●中国模式(p64)
 中国の経済発展の経験を積極的に評価すること。経済発展の持続可能性と第三国への移植可能性を肯定する概念。
 2000年代後半に米国だけでなく、中国においても盛んに議論された。
 
●私営企業(p108)
 民営企業の一形態で、国有資本の割合が最も少ない小規模企業群。
 
●集団所有(p112)
 中国では、土地は全人民すなわち国家の所有である。
 住宅の所有者は、期限付きの土地使用権を持っているに過ぎない。都市の住宅は、新築、中古ともに需要と供給に基づく市場価値で取引される。
 農地は集団所有。農民に期限付きの耕作権が与えられているに過ぎないため、市場化の対象外。政府は食糧の安定供給を確保するため、農地の宅地転用を厳しく制限している。
 
●横たわり、内巻(p137)
 横たわり……物欲が乏しく、競争、勤労、結婚、出産に消極的な人たち。
 内巻……皆が競争を勝ち抜く努力をしているため、努力の価値が下がり、皆が疲弊するだけという「社会現象」。
 
●超大都市(p140)
 都市部の人口が1000万人を超える都市。
 北京、上海、長慶、広州、深圳、天津。
 さらに、2022年の「第7次全国人口普査」を受け、成都が加わった。
 
●ブラックスワン、灰色のサイ(p152)
 ブラックスワン……滅多に起こらないが、起これば壊滅的被害をもたらす問題。
 灰色のサイ……高い確率で起こり、甚大な被害をもたらすにもかかわらず、軽視されがちな問題。
 
【ツッコミ処】
・人口知能(p95)
〔 最新の通信規格5Gや人口知能(AI)など、中国の科学技術力に目をみはるものがあるのは確かだ。しかし、中国は容易に克服できないいくつかの弱点を抱えている。〕
  ↓
 「人口」知能!
 中国は科学技術以外にも、「人口」においても目をみはるものがあるのは事実。しかしながら最近の報道では、いよいよインドに抜かれるようだ。
 
(2023/4/21)NM
 
〈この本の詳細〉


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