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賃金の日本史 仕事と暮らしの一五〇〇年
 [歴史・地理・民俗]

賃金の日本史: 仕事と暮らしの一五〇〇年 (575) (歴史文化ライブラリー 575)
 
高島正憲/著
出版社名:吉川弘文館(歴史文化ライブラリー 575)
出版年月:2023年9月
ISBNコード:978-4-642-05975-6
税込価格:2,200円
頁数・縦:309p・19cm
 
 古代から近代にかけて、主に職人の賃金の歴史を詳述する。
 政府発表の統計資料などない時代の、数量経済史の難しさについてもおおいに語る。
 
【目次】
歴史にあらわれた賃金―プロローグ
古代 日本の賃金のはじまり
 神話と貨幣
 古代の労働者たち
 律令官人の仕事と生活
 古代の格差
 銭の使い方
中世 職人の誕生とその時代
 浸透する銭貨
 職人の時代
 中世職人の賃金
近世 都市化の進展と職業の多様化
 近世都市の労働者たち
 都市に生まれた職業
 災害と賃金
 賃金に関係するもの
 長期の賃金を概観する
 新しい賃金史研究
近代へ
 変化する職人たち
 工業化のなかで
近代の職人はどのように描かれたのか―エピローグ
 
【著者】
高島 正憲 (タカシマ マサノリ)
 1974年、大阪府に生まれる。現在、関西学院大学経済学部准教授、博士(経済学)。
 
【抜書】
●頴稲(p30)
 えいとう。
 稲首で刈り取って稲穂が付いた状態の稲。布などと同じく、古代の日本では貨幣として流通していた。
 
●金属貨幣(p33)
 古代日本では、7世紀後半には金属貨幣が造られていた。
 『日本書紀』天武12年(683年)三月乙酉条、『続日本紀』文武3年(699年)十二月庚子条に、銭貨を作るための鋳銭司〈じゅせんし〉が設置されたという記録がある。
 1998年には、奈良県飛鳥池遺跡から、富本銭が鋳型などのさまざまな鋳造用語(ママ。用具?)とともに出土。
 
●律令官人の給与(p62)
 古代の律令官人に与えられる給与は、律令のうちの令によって詳細に定められた規程により、位階(身分的給与)と官職(職務的給与)それぞれに対して支給された。
 禄……絁〈あしぎぬ〉、糸、布などの現物を原則とする。支給の大部分を占める。
 禄以外に、位階・官職に応じて田地(位田、職田)、封戸(位封、職封)が支給された。
 
●中世の職人(p100)
 賃仕事……道具のみで原材料を持たず、注文と同時に原材料を与えられて、製品の制作・加工に従事し、その労働に対して報酬=賃金を得る仕事。おもに建物建築や高級品の注文に対する仕事。
 代金仕事……道具の他に原材料も持ち、消費者の注文の有無にかかわらず、製品を制作・加工し、完成品を商品として販売する仕事。主として日常的な手工業品の制作・販売。
 
●100文(p122)
 中世の京都の大工の賃金は、長い期間100~110文であった。14世紀後半から16世紀後半のデータより。
 
●大坂城(p145)
 豊臣秀吉は、織田信長と10年にわたる争いを繰り広げた石山本願寺の跡地に大坂城を建設した。
 大坂夏の陣(1615年)で焼け落ちた後、その地に徳川幕府によって新たに大坂城が造られた。
 
●猫の蚤取り(p159)
 江戸時代には、猫の蚤取り、耳垢とり、掃除屋、親孝行、すたすた坊主など、珍妙な職業があった。
 猫の蚤取り……猫をお湯をかけて洗い、濡れた身のまま狼の皮をかぶせ、蚤をそちらに移動させる。その皮を振るって蚤をはらう。『西鶴織留〈さいかくおりどめ〉』(元禄7年、1694年)。
 親孝行……「張りぬきの男人形を胸につり、衣服二つを上下に着し、手足も張りぬきを用ひ、孝子父を負ふに扮す」。『守貞謾稿』。
 すたすた坊主……願人〈がんにん〉坊主を装う乞食。人家や商店の入り口で歌い踊り、金品を受け取る。裸で縄の鉢巻き・蓑のついたしめ縄の腰巻、片手に扇や錫杖という出で立ち。
 
(2024/1/24)NM
 
〈この本の詳細〉


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