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プロ司書の検索術 「本当に欲しかった情報」の見つけ方
 [ 読書・出版・書店]

プロ司書の検索術: 「本当に欲しかった情報」の見つけ方 (図書館サポートフォーラムシリーズ)
 
入矢玲子/著
出版社名:日外アソシエーツ(図書館サポートフォーラムシリーズ)
出版年月:2020年10月
ISBNコード:978-4-8169-2851-2
税込価格:2,530円
頁数・縦:241p・19cm
 
 大学図書館で長くレファレンスに携わった「プロ司書」が、その検索のコツや方法論を体系的にまとめた書。
 大学の情報リテラシーの教科書・入門書として使えそうな内容である。それどころか、本書でも言及しているように、「探究学習」が重要度を増している中学・高校時代から知っておきたい内容である。もちろん、社会人も……。
 インターネットを中心に論じているが、紙の本の重要さにも目配りし、「昭和な私」も随所に顔を出す。そのへんは、いち司書としての随想として、教科書とは異質な読みどころである。
 
【目次】
まえがき―探すチカラを基礎から鍛える
第1章 こんな時代に情報のプロがなぜ必要?―検索概説
第2章 基本はあらゆる本を探せること―本の検索
第3章 新聞・雑誌を発想の鍵の束に使う―記事と論文の検索
第4章 不慣れな分野を効率よく調べる―領域別の検索
第5章 信頼できる情報だけを選りすぐる―信頼性の向上
第6章 いいキーワードを次々と発想する―検索の質の向上
第7章 世界の視点で受信と発信を見直す―情報学ガイド
 
【著者】
入矢 玲子 (イリヤ レイコ)
 1978年、大阪外国語大学(現大阪大学)イスパニア語学科卒。同年から中央大学職員として図書館に勤務。同大学図書館事務部レファレンス・情報リテラシー担当副部長を務める。1991年~92年、米国イリノイ大学モーテンソンセンター日本人初フェローとして派遣され、同大学商学部客員研究員、日本関係レファレンスサービスなどを担当。1996年~2004年、日本図書館協会「日本の参考図書」編纂委員。
 
【抜書】
●情報の成熟(p50)
 情報は、一般に次のような時間的ステップを踏んで成熟していく。
 (1)報道……テレビ、ラジオといったメディアが報じる。速報性がある半面、情報量が少なく細切れになりがち。
 (2)記事……新聞、雑誌が報じる。翌日か数日後に新聞が報じ、一週間から数か月後に週刊誌、月刊誌などの一般雑誌が追う。
 (3)論文……学術雑誌が掲載する。信頼性が高い半面、一般の人には目につきにくく、扱いづらい。
 (4)本……書籍になる。著者、編者が何年もかけて情報を知識、知恵に練り上げた成果。情報の全体像を体系的につかめるようになる。
 (5)定説……辞典や事典に載る。さらに長い年月をかけて(1)~(4)が選別され、辞典や事典、教科書に載るような簡潔な記述になる。情報としての成熟を終えた形。
 
●ジャパンサーチ(p65)
 国の分野横断統合ポータル。
 EUのデジタルプラットフォーム「ヨーロピアナ(Europeana)」のいわば日本版。
 2020年8月に公開。
 
●紙とウェブ(p112)
〔 ウェブだけで検索するよりも、「紙の本とウェブを組み合わせたほうが早い」「紙の本で探すほうが網羅的に目を通せる」「図書館に出向くほうがムダがない」場合があることは、くり返し強調したいと思います。〕
 
●Mindsガイドラインライブラリ(p138)
 診療ガイドラインの検索サイト。日本医療機能評価機構が提供。
 
●デジタルネイティブ(p158)
 1980年代以降に生まれた世代。
 
●百科事典(p163)
〔 紙の事典など必要ないと思う方も多いでしょう。でも、百科事典を全巻読み通して勉強した偉人たちの話を聞いて育った昭和な私は、紙の百科事典に心が高鳴る郷愁を感じるのです。〕
 
●ダークアーカイブ(p195)
 電子ジャーナルは、出版社の事情や災害などによってアクセスできなくなる危険がある。
 それを回避するために、大学と出版社は共同でダークアーカイブという、一種のバックアップを作った。
 保存されているコンテンツには通常はアクセスできず、出版社の倒産や災害といったトリガーイベントが起きた場合にのみアクセスできるようになっている。
 CLOCKSS……スタンフォード大学が主導し、世界の主要な図書館、学術出版社が共同運営。
 Portico……米国の非営利団体Ithakaが運営。
 
(2021/1/3)KG
 
〈この本の詳細〉

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