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学校の大問題 これからの「教育リスク」を考える
 [教育・学参]

学校の大問題 これからの「教育リスク」を考える (SB新書)
 
石川一郎/著
出版社名:SBクリエイティブ(SB新書 524)
出版年月:2020年11月
ISBNコード:978-4-8156-0801-9
税込価格:990円
頁数・縦:271p・18cm
 
 探究的な学習や、ICTを活用した学習など、これからの教育に必要なことについて論じる。
 肝はブルーム・タキソノミーに乗っ取った教育法の確立ということか。ただ、肝心のブルーム・タキソノミーについての解説が不十分なので、今ひとつピンとこない。カッコ付きで「教育目標の分類学」と表現されているのだが(p.85)……。また、『認知領域』『情意領域』『精神運動領域』の3領域が「設定された」らしいのだが、『認知領域』に絞って解説していて、他の2領域の解説や相互の関係の説明がなく、全体的な構造が分からない。
 ブルーム・タキソノミーについては、専門の解説書を読んでください、ということか。
 
【目次】
第1章 コロナ禍で露呈した自律できない学校の問題
第2章 未来の教育を予感させる学校―休校対応の差から考える
第3章 入試問題の変化と学習評価の構造―ブルーム・タキソノミーと評価
第4章 探究と評価の折り合いをつけるマインドとは―対談 矢萩邦彦
第5章 学校における探究型の学びとPBL―ブルーム・タキソノミーの活用
第6章 ICTと学校をつなぐためには―対談 田中康平
第7章 いかにICTリテラシーを身につけるか―ブルーム・タキソノミーの新解釈
終章 これからの教育でおさえておくべきこと
 
【著者】
石川 一郎 (イシカワ イチロウ)
 「聖ドミニコ学園」カリキュラムマネージャー。「21世紀型教育機構」理事。経済産業省「未来の教室」教育コーチ(2019年度)。知窓学舎カリキュラムマネージャー。1962年東京都出身、暁星学園に小学校4年生から9年間学び、85年早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。暁星国際学園、ロサンゼルスインターナショナルスクールなどで教鞭を執る。前かえつ有明中・高等学校校長。前香里ヌヴェール学院学院長。「21世紀型教育」を研究、教師の研究組織「21世紀型教育を創る会」を立ち上げ幹事を務めた。
 
矢萩 邦彦 (ヤハギ クニヒコ)
 実践教育ジャーナリスト。リベラルアーツ・アーキテクト。株式会社スタディオアフタモード代表取締役CEO。知窓学舎塾長。教養の未来研究所所長。一般社団法人リベラルコンサルティング協議会理事。聖学院中学校・高等学校学習プログラムデザイナー。ラーンネット・エッジ カリキュラムマネージャー。探究型学習・想像力教育、パラレルキャリアの第一人者。
 
田中 康平 (タナカ コウヘイ)
 株式会社NEL&M代表取締役。幼児〜小中高生のICT活用や学習環境デザインの専門家。教育情報化コーディネータ1級。佐賀県を中心に、教育ICT環境整備やICT支援員事業等に従事する。2014年4月、ICTスクールNELを開校し、幼稚園・保育園での「ICTたいむ」を開始。
 
【抜書】
●サイエンス科(p174)
 かえつ有明中・高等学校では、「自分軸の確立」「共に生きる」「学び方を学ぶ」がカリキュラム・ポリシーの三本柱。
 「学び方」を学ぶための科目が、中学校で学ぶ「サイエンス科」。カリキュラム上は「総合的な学習の時間」に該当。すべての教科の基礎・中心(ハブ)として位置づけている。
 〔生徒たちの学力を向上させるには、思考力の育成が必要不可欠です。以前から思考力の育成の重要性は語られてきましたが、具体的に何をしたらいいのかは明確にされてきませんでした。かえつ有明は、「考える」ための「方法(プロセス〕」・「スキル」を学ぶ授業を全教科の教員で開発してきたのです。「考える道筋」の方法論は、「情報収集」から「整理・分析」そして「統合」とブルーム・タキソノミーをベースに考えられており、それぞれの過程でのスキルも明示されていて、授業で生徒たちはワークシートなどを使ってトレーニングします。〕
 
●パソコン(p208、田中)
〔あとホントに気をつけてほしいのは、情報デバイスとの出会い方です。これ、手遅れの方もたくさんいると思うんですけど。いちばん最初に、安易にゲーム機から入らないことが重要です。情報機器が子どもにとって、報酬をもらえる消費的な余暇の道具になりさがるような出会い方、与え方にならないように気をつけてほしいんです。理想は、最初の情報デバイスがパソコンだったら良いな、と思います。自分から働きかけないと動いてくれない、けれど動かせるようになるとすごく楽しい道具。これは、積み木や粘土なんかと同じなんですが、何かを表現したり、何かを提供したり、発信するために楽しく使える道具という出会い方です。すでにゲームどっぷりになってしまった子でも、例えばタイピングのゲームにはまってくれたりすると、コンピューターとの付き合い方が、ちょっと変わったりもします。〕
 
●掛け算(p215、田中)
 紙と鉛筆ではできなかったことが、コンピュータを使うことでできるようになる。できることが加速度的に増えてくる。
〔 イメージ的には、足し算と掛け算。たとえば1+2+3+4って、足し算だと10にしかならないですけど。1×2×3×4になると24になりますよね。1×2×3までは、同じく6なんですけど。4まで掛けていくことができれば、そこからは、もう、どんどん増えるだけ。だから、6になるまでは待ったり、あるいは6までは基本として身につけておかないといけない。それがないままに、ポンと渡したって、掛け算にはならないんですね。〕
 
(2021/6/13)NM
 
〈この本の詳細〉


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