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データエコノミー入門 激変するマネー、銀行、企業
 [経済・ビジネス]

データエコノミー入門 激変するマネー、銀行、企業 (PHP新書)
 
野口悠紀雄/著(PHP新書 1282)
出版社名:PHP研究所
出版年月:2021年10月
ISBNコード:978-4-569-85052-8
税込価格:1,089円
頁数・縦:251, 6p・18cm
 
 マネーとはデータである。この命題に沿って、近未来の経済を論じる。
 
【目次】
第1章 データを制する者が世界を制する
第2章 ビッグデータの利用には規制が強まる
第3章 マネーを制する者がデータを制する
第4章 マネーのデータを本人がコントロールできるか?
第5章 オープンバンキングで進むデータ利用
第6章 分散型金融と分散自律型組織は、金融の世界を一変させるか?
第7章 マネーのデータ活用で日本再生を図れ
 
【著者】
野口 悠紀雄 (ノグチ ユキオ)
 1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問を歴任。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。著書に『財政危機の構造』(東洋経済新報社、サントリー学芸賞)、『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)ほか多数。
 
【抜書】
●ITP(p76)
 Intelligent Tracking Prevention。トラッキング防止機能。
 2017年、Appleは、SafariにITPを導入した。
 2020年には、ITPが強化され、デフォルトでサードバーティ―・クッキーを完全にブロックするブラウザとなった。
 Googleも、Chromeにおいて、サードバーティー・クッキーを停止することを決めた。
 サードバーティー・クッキーが使用できなくなると、リターゲティング広告などができないことになり、広告会社の収入は激減する。
 
●金融包摂(p110)
 Financial Inclusion。これまで融資などの金融サービスを受けられなかった人々が、受けられるようになること。
 従来の中国では、国民の大部分が金融サービスを受けることができなかった。「利用履歴や担保がないために信用度が評価できず、そのために金融サービスを受けられない」という悪循環に陥っていた。それが、Antグループの「芝麻(ジーマ)信用」(2015年1月開始)、Tencentの「微信支付分」(2019年1月発表)などの信用スコアリングにより、金融サービスを受けられるようになった。
 
●マイナンバー(p142)
 スウェーデンでは、1947年に個人識別番号(PIN: Personal Identification Number)が導入された。日本の「マイナンバー」に相当。
 2003年には、Bank IDが導入された。PINと氏名、電子証明書を結合したもので、日本の「マイナンバーカード」に相当。パスポート、運転免許証などに匹敵する電子身分証明書。Bank IDで作成された電子署名は、物理的な署名と同等の法的立証力を有する。
 
●スマートコントラクト(p214)
 「ある条件で作動するプログラムをブロックチェーンに登録し、条件が満たされた際に自動的に作動させ、その結果をブロックチェーンに自動的に記録する仕組み」。
 
●手数料ゼロ(p241)
〔 本格的な変化はCBDC(中央銀行デジタル通貨)の導入でもたらされる。あるいは、Diemのような大規模デジタル通貨が一般に使えるようになれば生じる。
 これらの送金料は、事実上ゼロになると考えられる。そして、現在ある様々な送金サービスよりも、はるかに便利に使えるだろう。
 送金決済はいかなる経済活動でも必要なことであるから、そのコストがゼロになることは、生産性の向上に重要な役割を果たす。世界の趨勢がそのようなものであるなかで、日本だけが高い送金料の送金手段を使い続ければ、生産性はさらに落ち込んでいく。
 したがって、いずれ日本でもCBDCが発行されるだろう。CBDCでは、利用者にとっても、店舗にとっても、コストはゼロになるだろう。したがって、これが導入されれば、現在あるキャッシュレスの手段は、ことごとく淘汰されてしまうだろう。〕
 
(2022/2/10)NM
 
〈この本の詳細〉

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