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相対化する知性 人工知能が世界の見方をどう変えるのか
 [コンピュータ・情報科学]

相対化する知性---人工知能が世界の見方をどう変えるのか  
西山圭太/著 松尾豊/著 小林慶一郎/著
出版社名:日本評論社
出版年月:2020年3月
ISBNコード:978-4-535-55907-3
税込価格:2,970円
頁数・縦:336, 8p・19cm
 
 人工知能に関して、ディープラーニングを中心としたその「技術」について解説し、強い同型論を手掛かりに普遍的な「知性」「認知構造」について論じ、人工知能が果たす近未来社会での役割と人間との関係を考察する。
 モヤっとした理解しか得られなかったが、いくつか類書を読んでいくうちに、頭の中ですっきりと整理されるようになるだろうか?
 
【目次】
第1部 人工知能―ディープラーニングの新展開……松尾豊
 人工知能のこれまで
 ディープラーニングとは何か
 ディープラーニングによる今後の技術進化
 消費インテリジェンス
 人間を超える人工知能
第2部 人工知能と世界の見方―強い同型論……西山圭太
 人工知能が「世界の見方」を変える
 認知構造はどう変わろうとしているのか
 強い同型論
 強い同型論で知能を説明する
 我々の「世界の見方」はどこからきてどこに向かうのか
第3部 人工知能と社会―可謬性の哲学……小林慶一郎
 人工知能と人間社会
 自由主義の政治哲学が直面する課題
 人工知能とイノベーションの正義論
 世代間資産としての正義システム
 自由の根拠としての可謬性
 
【著者】
西山 圭太 (ニシヤマ ケイタ)
 1963年、東京都生まれ。1985年、東京大学法学部卒業後、通商産業省入省。1992年、オックスフォード大学哲学・政治学・経済学コース修了。中央大学大学院公共政策研究科客員教授、株式会社産業革新機構執行役員、経済産業省大臣官房審議官、東京電力ホールディングス株式会社取締役などを経て、経済産業研究所コンサルティングフェロー、経済産業省商務情報政策局長。
 
松尾 豊 (マツオ ユタカ)
 1975年、香川県生まれ。1997年、東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年、東京大学大学院工学系研究科電子情報工学博士課程修了。博士(工学)。スタンフォード大学CSLI客員研究員、シンガポール国立大学(NUS)客員准教授などを経て、東京大学大学院工学系研究科教授。
 
小林 慶一郎 (コバヤシ ケイイチロウ)
 1966年、兵庫県生まれ。1991年、東京大学大学院計数工学科修士課程修了(工学修士)後、通商産業省入省。1998年8月シカゴ大学よりPh. D.(経済学)取得。経済産業研究所上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授などを経て、公益財団法人東京財団政策研究所研究主幹。慶應義塾大学経済学部客員教授、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹などを兼務。著書:『日本経済の罠』(共著、日経・経済図書文化賞受賞、2001年)ほか。
 
【抜書】
●マルコフ・ブランケット(p146)
 人工知能研究者ジュディア・バールによる。
 システムが相対的に局所的な作用関係を中心に構成される場合、「遠い」サブシステム同士は影響し合わないので、その結果として常に「内部」と「外部」との区分けが起こり、「内部」と「外部」との間に仕切り(マルコフ・ブランケット)が生じ、「内部」は「外部」の変化を推論して適応しようとするメカニズムが生成される。
 脳神経学者カール・フリストンは、細胞膜もマルコフ・ブランケットであると考えた。細胞はその周辺の環境から「サプライズ・ショック」受けないように周辺環境に働きかけ、その働きかけを通じて周辺環境を感知するという機能を果たしている。
 細胞は内部のエントロピーの拡大を防ぐために細胞膜が機能しているのではなく、細胞膜がマルコフ・ブランケットのように働くことにより、内部のエントロピーの拡大をおさえ、自由エネルギーを極小化しているように見える。
 
(2020/8/17)KG
 
〈この本の詳細〉


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