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反日種族主義との闘争
 [社会・政治・時事]

反日種族主義との闘争
 
李栄薫/編著
出版社名:文藝春秋
出版年月:2020年9月
ISBNコード:978-4-16-391259-2
税込価格:1,815円
頁数・縦:391p・19cm
 
 前著『反日種族主義』に対する「反日種族主義者(?)」からの反論への再反論集。
 
【目次】
プロローグ 幻想の国(李栄薫)
第1編 日本軍慰安婦
第2編 戦時動員
第3編 独島
第4編 土地・林野調査
第5編 植民地近代化
エピローグ 悪い風俗、浅薄な文化、国家危機(李栄薫)
 
【著者】
李 栄薫 (イ ヨンフン)
 ソウル大において韓国経済史研究で博士学位取得。韓神大、成均館大を経てソウル大経済学部教授に就任。定年退職後は、李承晩学堂の校長として活動している。
 
【抜書】
●明の皇室(p24、李栄薫)
 18~19世紀の朝鮮王朝の国王たちは、大報壇での祭祀を通じて明の皇帝たちの霊魂と接触し、すでに消滅した明の皇室の一員として昇格した。朝鮮の王朝は、その血統が中国化した。
 
●日本に背向(p25、李栄薫)
 「韓半島は、人間が両足を広げて西方の中国に向けて手を広げているような形をしている。韓国と中国は、地理的にも、歴史的にも親しい。しかし、日本とは背を向けているような形だ。韓国と日本は、地理的にも歴史的にも親しくない。」
 『取り戻す我々の歴史』(韓永愚、1997年)からの引用。韓教授の国土生命体論。
 
●就業承諾書(p44、李栄薫)
 従軍慰安婦になるには、戸籍謄本(のような書類)と戸主の就業承諾書が必要だった。
 1942年『在支半島人名録』には、日本人慰安所とそこに所属する慰安婦の名簿が掲載されている。
 朝鮮人同胞社会の一員であるという証。奴隷的存在とはみなしていない。
 慰安婦は自分の名前も書けない無学な者が多かった。名簿に名前が載っているということは、戸籍謄本と就業承諾書が揃っていた可能性が高い。略取や誘拐ではない。
 
●残忍な心性(p53、李栄薫)
 セウォル号事故の発生日が近づくと、全教組の教師たちは、「おい、僕、本当に死ぬの?」などの、事故当時に生徒たちが書いた携帯電話の文字メッセージを読ませ、「もし自分がセウォル号にいたら言ったと思う言葉を想像してみろ」と子どもたちに迫るらしい。ある精神科医師は、「外国では想像すらできない児童虐待」と断言(金泰勲〈きむちふん〉「慰安婦歴史、小学生が学ぶべきか」『朝鮮日報』、2018年7月)。
〔 全教組の教師たちが、セウォル号事故をそんなに執拗に教える理由は何でしょうか。その事故が起きたときの右派政府を攻撃し、呪うための政治的意図からです。その点を否定することは難しいと思います。この国の教育は、そのような政治的な偏りの中で、子供たちに限りなく残忍な心性を教え込んでいます。慰安婦問題に対する教育も同様です。日本との友好は永遠にできないという憎悪心を植え付けるために、そのような教育をしているのです。〕
 
●我々の中の慰安婦(p59、李栄薫)
〔 多くの慰安婦が妊娠の被害にさらされるのは、むしろ解放後の“我々の中の慰安婦”の時代です。韓国軍、米国軍、民間の慰安婦の総数は、なんと解放前の一〇倍以上に膨張しました。彼女たち、即ち”我々の中の慰安婦”の境遇は、労働強度、所得水準、性病感染、妊娠被害、業主との関係などの面で、開放以前の日本軍慰安婦よりはるかに劣悪なものでした。その点を、私は『反日種族主義』の中で納得しやすく伝えたと自負しています。〕
 
●常民(p152、注23)
 「良民」「常人(サンノム)」とも呼ばれる。社会の大多数を占める農民・手工業者・商人ら。
 朝鮮王朝の身分は、支配階級の両班(やんばん:文班・武班)、中人(翻訳や医学等に従事する技術者)、常民、賤眠(奴婢など)に大別される。
 両班と常人との差別的身分制度を「班常(ぱんさん)制」と呼ぶ。
 
●想像の政治的共同体(p153、鄭安基〈チョン・アンギ〉)
〔 果たして民族意識が皇民化政策によって、そんなにもたやすく抹殺されるものなのか、についても疑問です。実は民族とは、二〇世紀初葉に朝鮮人が日本の統治を受けるようになってから発見された、想像の政治共同体です。実体性が欠如した想像の集団意識であるため、民族はむしろ強靭な生命力を持っています。我々は檀君を始祖とした拡大家族としての運命共同体だ、という歴史意識がまさにそれです。朝鮮人は、植民地期を経ながら民族としての“正体/民族的アイデンティティ”を発見し、彼らの歴史と伝統文化に対し自負心を持ち始めました。〕
 
●1万人の密航者(p221、李栄薫)
〔 一九五三年七月に韓国戦争が終わりました。一九五四年四月にはジュネーブ会議で戦後処理の会談が開かれますが、そのとき「大韓民国を解体し韓半島の統一問題をもう一度交渉し直そう」と提案する北朝鮮と中国の攻勢を、李承晩大統領は成功裡に防ぎました。大韓民国が国際社会において国家としての地位を確保するのは、このジュネーブ会議を通じてでした。その後、李承晩大統領が自国民に訴えたのは、大韓民国の精神的独立でした。当時の韓国人たちの精神は、まとまりがなくバラバラでした。多くの人が、南北の分断と戦争による貧困と混乱に疲れ果て、日本に密航しました。日本で逮捕され長崎の収容所に入れられた人たちが、一時期は一万人を超えました。多くの人々が、「日政期のほうが良かった」と過去を偲びました。多くの人々が、日本の歌を好んで歌いました。内心で日本の再統治を望む人々も、少なくありませんでした。〕
 
●一歩ずつ引き下がる(p230、李栄薫)
 〔私は、地理的要件からすれば独島領有の正当性がなくはないが、また、李承晩大統領の独島編入が持つ歴史的意義も大きいが、それだけで国際社会を説得するのは力不足だと思います。于山島は幻想の島でした。“石島=独島”説は有効ではありません。したがって、日本と断交する覚悟でなければ、両国が一歩ずつ引き下がって紛争を封印するのが正しいと思います。一九六五年の独島密約のように、お互いに譲り、尊重し、配慮する姿勢に戻らなければなりません。それからは、両国の政府と国民が協力する中で、明るい未来の東アジアを作っていかなければなりません。そのような姿勢で、独島を海の真ん中にある無用の岩島ではなく、夜空に光る星へと昇格させなければなりません。両国民が共有する永遠不変の理性と自由と道徳律の象徴としてです。〕 
 
(2021/3/28)KG
 
〈この本の詳細〉


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