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世界の辺境とハードボイルド室町時代
 [歴史・地理・民俗]

世界の辺境とハードボイルド室町時代(集英社インターナショナル) 
高野秀行/著 清水克行/著
出版社名 集英社(集英社文庫 た58-18)
出版年月:2019年5月
ISBNコード:978-4-08-745878-7
税込価格:924円
頁数・縦:445p・16cm
 
 世界の辺境を旅するノンフィクション作家と、中世史を専門とする歴史学者の対談。中世の日本の社会は、世界の辺境の社会と似ていてとってもハードボイルド!
 
【目次】
第1章 かぶりすぎている室町社会とソマリ社会
第2章 未来に向かってバックせよ!
第3章 伊達政宗のイタい恋
第4章 独裁者は平和がお好き
第5章 異端のふたりにできること
第6章 むしろ特殊な現代日本
 
【著者】
高野 秀行 (タカノ ヒデユキ)
 1966年東京都生まれ。『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。2005年『ワセダ三畳青春記』で第1回酒飲み書店員大賞を、13年『謎の独立国家ソマリランド』で第35回講談社ノンフィクション賞、14年同作で第3回梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。
 
清水 克行 (シミズ カツユキ)
 1971年東京都生まれ。歴史家。明治大学商学部教授。専門は日本中世史。
 
【抜書】
●荒木酒(p157、注)
 トルコでは、「ラク」という蒸留酒を飲む。ラクはブドウを原料とし、アラビア語のアラックに相当する。
 中東や北アフリカで伝統的に作られ、ヨーロッパ、インド、東南アジア、日本に伝播。原料は地域によって異なり、ナツメヤシ、コメ、サトウキビなども用いる。
 日本には、戦国時代の終わりに蒸留酒(アラック)が伝わり、荒木酒(あらきざけ)と呼ばれた。
 
●中世史(p219、清水)
〔 同業者ともよく話すんですが、中世史の古文書は適量なんですよ。近世史になると量が膨大になって。古代史になると今度は少なすぎて、六国史と少数の文書ぐらいしか残っていないんですが、中世の文書は、一人の研究者が一生をかけてざっと見ることができるぐらいの量が残っているので、トータルな時代のイメージを作りあげていくのに一番向いているんです。
 だから、日本史の世界では、新しい方法論を真っ先に開拓するのは、だいたい中世史の研究者だと言われているんです。歴史学の新たなブームが起きるときに、その口火を切るのは必ず中世史で、マルクス主義歴史学を最初に取り入れたのも中世史だったんですよ。社会史のブームを最初に作りだしたのも、網野善彦さんのような中世史の研究者で。それはたぶん史料の量が適度だからで、新しい方法論を使って、それまで死んでいた史料を見直して、歴史像を組み立てることができるんです。〕
 
●中古車(p364、高野)
 ソマリランドでは、日本で作った日本の中古車ばかり輸入されている。
 日本以外では、中古でもそれほど値段が下がらない。「車の持ち主が代わった瞬間に、価格が六割に下落するなんていう国は日本しかない」(中古車の輸出会社の社長談)。2、3回転売されると車の価値はほぼゼロに。
 しかも、日本人はものすごく丁寧に車に乗るから、めちゃめちゃ質のいい中古車がタダ同然で手に入る。中古車を輸出するビジネスは日本でしか成り立たない。
 
(2022/8/31)NM
 
〈この本の詳細〉

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